「感謝」で忍耐力を高め、健康になる

感謝の気持ちは忍耐力を高める

 かつて、パナソニック創業者の松下幸之助は、「すべての人間の幸福や喜びを生み出す根源が感謝の念であり、感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく」と述べていますが、ポジティブ心理学では、感謝(Gratitude)の効用に関する研究が盛んに行われています。

 ビジネスでもスポーツでも成功した人は、必ずと言っていいほど、他者への感謝を述べることが多いですよね。例えばサッカー選手であれば、「サポーターのみなさんの熱い声援のおかげです」や「チームメイトや陰で支えてくれたスタッフのおかげです」など。

 一方、感謝の気持ちは特別な出来事が起きた時だけでなく、常日頃から持っていることが大事なようです。アメリカのノースイースタン大学心理学部のリア・ディケンズ博士らは、感謝と忍耐力の関係について、105人の大学生を調査したところ、日頃の感謝の気持ちが弱い人は「1年後にもらえる$100は、今すぐもらえる$21と同等の価値」と評価したのに対し、感謝の気持ちが強い人は「$33と同等の価値」と評価しました。つまり、感謝の気持ちが強い人は弱い人よりも、1年後にもらえるお金の価値を約1.5倍高く評価したのです。わかりやすく解釈すると、感謝の気持ちがあると、1年後にもらえるお金に対しても忍耐強く待つことができるので、その価値を高く評価することにつながるということですね。逆にいうと、感謝の気持ちが弱い人は、1年後まで我慢できないので、1年後にもらえるお金を低く評価したと考えられます。この研究は、日頃から感謝の気持ちを持っている人は、物事を我慢する忍耐力があり、感情をコントロールできることを如実に示していると言えます。

 

感謝の気持ちは心拍の波形に表れる

感謝の気持ちは精神面だけではなく、身体面、特に心拍の波形にも影響を与えることが明らかになっています。
米ハートマス・リサーチセンターのローリン・マクレイティ博士らの研究では・・・

 

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【執筆者プロフィール】

板生 研一

WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中