不安定な秋のセルフケアに、手軽なストレス緩和法
自ら緊張をほぐしてストレス緩和に導く「自律訓練法」
ストレス社会の現代にあって、今や多種多様なセルフメンテナンス法が紹介されています。
今回は、中でも20世紀初頭に提唱されてから、世界中の臨床現場で用いられている「自律訓練法」をご紹介します。
その名前から「自律神経を訓練する方法」と誤解されがちですが、autogenes trainingといって「自然に(リラクセーション状態を)生む」といった意味です。精神医学の研究が進み始めた20世紀初頭、ドイツの精神科医シュルツが催眠療法にヒントを得て導き出した「自ら緊張を緩める」方法です。
私たちが日頃ちょっとしたことで受けるストレスは、呼吸を浅くして血流を制御し、その状態が続くと全身の筋肉をこわばらせ、交感神経を高止まりに導きます。
一方、ストレス緩和法とも呼ばれる自律訓練法は、自らの「脱力」を通して副交感神経を優位にしてリラックスに導きます。気づいた時に行う習慣ができれば、効果的なストレス予防法にもなるのです。
催眠状態を作り出す3つの公式
自律訓練法では、催眠状態に陥る患者ほど精神疾患からの回復が早く、風邪などもひきにくくなったということから、催眠状態の身体の特徴を逆引きして誰もがその状態になれるための公式を用います。
その公式は7段階あるのですが、日常のストレス緩和に使うのは、公式の初めの3つで十分だと言うことですので、以下に簡単にご紹介します。
まずは、落ち着ける静かな環境で椅子に腰かけます。踵は床につけ、目を軽く閉じて身体の余分な力を抜きます。
そして、心の中で以下の公式を順に唱えながら、その感覚を感じていきます。
○第1公式:「気持ちが落ち着いている」
何度か唱え、自然に気持ちが落ち着いてくるのを感じる
○第2公式:「両手両足が重たい」
利き手から始めて両手、そして両足と順を追って進めていきます。何となく重さが感じられたらOK
○第3公式:「両手両足が温かい」
温かさを感じる。重さと温かさは一緒に感じられることもあります。
1回は3-4分程度とし、必ず最後に「消去運動」を行います。副交感神経が優位になってボーっとした状態を、両手のグッパッを繰り返したり、大きく伸びをしてしっかりと覚醒させて日常生活に戻ります。
重さや温かさを感じなきゃ!と思うと余計に力が入るので、無理に「感じよう」とせず、ボーっとした状態で身体に生じる変化をただ受け止めるのがポイントです。
今ではストレス緩和のためだけでなく、疲労や不眠、様々な心身症、さらにはアスリートや教育の現場まで、世界各国で幅広く適用されています。PCの前、電車の中、カフェで一息つくときなど・・・・・・。心の中でちょっと唱えてみてはいかがでしょうか。
参考:新版自律訓練法/佐々木雄二著
日本自律訓練学会資料
プロフィール
殿村江美
有限会社E.flat代表マーケティングプランナー
産業カウンセラー、ハーバルセラピスト
「健康価値マーケティングでくらしをトーンアップ」をテーマとする+TONEで、商品開発、リサーチ、プロモーション開発等で企業のマーケティング活動をサポートする。
現代社会におけるストレスケアに向けて、メディカルハーブ、音楽療法、カウンセリングを活かしたコンテンツ制作や編集なども行う。
著書に「Me time こころをほぐす12ヶ月のメディカルハーブティ」
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