コロナ禍で仕事への価値観に変化?!仕事の幸福は、自分の役割を理解しやりがいを感じること!
新型コロナウイルスにより、あらゆることに対する価値観が変容しました。例えば、今まで当たり前のように出社し、リアルなコミュニケーションを取りながら仕事をするという業務スタイルが根底から覆されました。テレワーク、混雑を避けるための時差出勤、オンライン会議、リアルなコミュニケーションや、外出・旅行の自粛、巣ごもり時間の拡大等を経て、自身の仕事への向き合い方、人生における仕事の位置づけに変化が見られていると言われています。
この度、コロナ禍で日本が直面した幸福度(Wellbeing)の変容を確認するため、本調査を実施することにしました。2.調査概要
(1)調査期間:2021年11月17日~11月18日
(2)調査方法:インターネットアンケート調査
(3)調査対象:全国在住の仕事に従事している20歳以上の男女
(4)回答者数:1,055人3.調査結果のポイント
■コロナ禍において、44.4%の方が仕事に対する価値観に変化があったと回答しています。そのうちの半数以上がポジティブな変化だと評価しており、コロナ禍がもたらしたものが必ずしもネガティブな面だけではないことがわかりました。(Q1・Q2) ■コロナ前(2019年11月)と比較して感染拡大時(2020年11月)は幸福度(Wellbeing)が下がった方が上がった方を上回っていましたが、感染拡大時(2020年11月)と比較して感染減少時(2021年11月)は幸福度(Wellbeing)が上がった方が下がった方を上回っています。(Q3・Q5) ■上司との対話ができている人ほど、勤務先の経営理念、自身の役割とも理解しており、対話ができていないと経営理念、自身の役割とも理解が進みづらい傾向にあるため、上司との対話の重要性がうかがえます。(Q7) ■働くうえで幸福と感じるものとして、「給与」、「労働時間」、「休み」といった待遇面・労働環境に関する項目が上位を占める中で、「自身の役割を理解し、仕事にやりがいをもっている」という内面的な要素も多く選ばれています。(Q9) |
4.調査結果
Q1.コロナ禍において、仕事に対する価値観・考え方・向き合い方に変化はありましたか?
※2021年12月22日「仕事に対する価値観の変容に関する意識調査」におけるQ1と同一のものです。
(回答者数:1,055人・単一選択)
・44.4%の方が、仕事に対する価値観・考え方・向き合い方に変化があったと回答しています。 ・年代別でみると30代以下の方に「大きく変わった」「どちらかと言えば変わった」と受け止めている傾向が強く出ており、年代が上がるほどその傾向が弱くなっていくことがわかりました。 |
Q2.その変化はポジティブな変化でしたか?ネガティブな変化でしたか?
※2021年12月22日「仕事に対する価値観の変容に関する意識調査」におけるQ2と同一のものです。
(回答者数:469人・単一選択・Q1で「大きく変わった」「どちらかと言えば変わった」と回答した方)
・半数以上がポジティブな変化だと評価しており、コロナ禍がもたらしたものが必ずしもネガティブな面だけではないことがわかりました。 |
Q3.コロナ前(2019年11月)~感染拡大時(2020年11月)、感染拡大時(2020年11月)~感染減少時(2021年11月)の、「人生における幸福度(Wellbeing)」はどのように変化しましたか?
(回答者数:1,055人・単一選択)
・コロナ前(2019年11月)と比較して感染拡大時(2020年11月)は人生における幸福度(Wellbeing)が下がった方が上がった方を上回っていましたが、感染拡大時(2020年11月)と比較して感染減少時(2021年11月)は人生における幸福度(Wellbeing)が上がった方が下がった方を上回っています。 ・いずれの時点においても、約6割の方がコロナ禍により人生における幸福度(Wellbeing)の面で変化を感じていないことがわかりました。 |
Q4.Q3の回答に結び付いた項目を選択してください。(回答者数:1,055人・複数選択)
・いずれの時点でも「仕事と生活のバランス」、「生活の楽しさ」、「健康状態」、「家計や資産」、「社会とのつながり」が上位となっており、人生の幸福度の要因の軸となっていることがわかります。 ・相対的にみると「学びの機会」、「子育てや介護のしやすさ」が上昇しており、巣ごもりによる生活の変化がうかがえます。 |
Q5.コロナ前(2019年11月)~感染拡大時(2020年11月)、感染拡大時(2020年11月)~感染減少時(2021年11月)の、「仕事における幸福度(Wellbeing)」はどのように変化しましたか?
(回答者数:993人・単一選択・期間中仕事に従事していない人を除外)
・Q3「人生における幸福度(Wellbeing)」と同じ傾向がみられており、人生と仕事は連動しているものであることがうかがえます。 |
Q6.Q5の回答に結び付いた項目を選択してください。
(回答者数:993人・複数選択・期間中仕事に従事していない人を除外)
・トップは人生の幸福度の要因と同様「仕事と生活のバランス」ですが、次いで「雇用環境と賃金」が多い結果となりました。 ・「仕事と生活のバランス」、「生活の楽しさ」、「健康状態」、「家計や資産」、「社会とのつながり」も選択されており、「人生における幸福度」を決める要因と同じものが選ばれる傾向にあることがわかりました。 |
Q7.現在、勤務先の経営理念、および仕事における自身の役割は理解していますか?
(回答者数:838人・単一選択・「当てはまらない」と回答した人を除外)
・約6割の方が「勤務先の経営理念、自身の役割とも理解している」ことがわかりました。 ・上司との対話ができている人ほど、勤務先の経営理念、自身の役割とも理解しており、対話ができていないと経営理念、自身の役割とも理解が進みづらい傾向にあるため、上司との対話の重要性がうかがえます。 |
Q8.仕事以外での上司および同僚との対話について、当てはまるものはどれですか?
(回答者数:929人(上司)、949名(同僚)・単一選択・「当てはまらない」と回答した人を除外)
・約半数の方が上司・同僚との対話ができていると回答している一方で、約2割の方は対話ができていないことがわかりました。 ・上司と対話できている場合、概ね同僚とも対話できている傾向にあるため、職場のコミュニケーションを活発化させるために、上長や管理職の役割が重要であることがうかがえます。 |
Q9.働くうえで幸福(Wellbeing)と感じるものを選択してください。
※2021年12月22日「仕事に対する価値観の変容に関する意識調査」におけるQ7と同一のものです。
(回答者数:1,055人・複数選択)
・「給与」、「労働時間」、「休み」といった待遇面・労働環境に関する項目が上位を占める中で、「自身の役割を理解し、仕事にやりがいをもっている」という内面的な要素も多く選ばれています。 ・5人に1人は「特にない/わからない」と回答しており、仕事を通じて幸福を感じてもらう取組み、従業員への働きかけが必要と考えられます。 ・Q2において、コロナ禍で仕事に対する価値観・考え方・向き合い方の変化をポジティブと捉えている方のほうが多くの項目で幸福(Wellbeing)を感じ、ネガティブと捉えている方のほうが選択する項目が少ない、「特にない/わからない」を選択する傾向にあることがわかりました。 |
Q10.ニューノーマルな時代を迎えるにあたり、新たに身につけたいと思うスキル・知識はありますか?
(回答者数:1,055人・複数選択)
・「語学」、「ビジネススキル」、「IT・OAスキル」という汎用性の高いスキルに次いで、「データ分析」、「プログラミング」というデジタル関連のスキルを身につけたい方が多いことがわかりました。 ・「幸福度(Wellbeing)を高めるためのマインドフルネス・スキル」も8人に1人の人が身につけたいことがわかりました。 ・20代・30代は「データ分析」、「プログラミング」、「マーケティング」、「簿記・会計」などで他の世代よりも多く選択する方が多い一方で、40代以上は「特にない」を約半数の方が選択する等、中高年のリスキリングへの意識はまだ高める余地があることがうかがえます。 |
Q11.Q10を選んだ理由を教えてください。
(回答者数:602人・複数選択・Q14で「特にない」を選択した人以外)
・ニューノーマルな時代を迎えるにあたり、「現在の仕事に活かすため」と同水準で「今後のキャリア形成のため」に新たなスキル・知識を身につけたい方がいることがわかりました。 ・20代は「時間ができたため」、30代・40代は「今後のキャリア形成のため」、50代は「現在の仕事へ活かすため」、60代は「現役引退後も含めた人生設計のため」が最も多く選ばれています。 ・昨今注目が集まる「副業・兼業」については、60代が全世代で最も重視しており、「人生100年時代」の考え方の浸透がうかがえます。 |
5.専門家コメント
SOMPO未来研究所 主任研究員 内田 真穂新型コロナウイルスの感染拡大は、従来の働き方や行動様式を大きく変化させました。自身の仕事観や人生観、ひいては幸福観を改めて考えた人も多かったのではないでしょうか。今回の調査項目である「幸福度(Wellbeing)」は抽象的な概念で、個人の価値観に左右されますが、世界保健機関(WHO)憲章では、“肉体的・精神的・社会的に全てが満たされた状態”とされています。Q4・Q6“人生や仕事における幸福度(Wellbeing)を決める項目”では、4分の1の方が「仕事と生活のバランス」と回答しており、感染拡大の状況に関わらず、バランスの取れた生活を続ける重要性が浮き彫りとなっています。また、「生活の楽しさ」、「健康状態」、「家計や資産」、「雇用環境と賃金」、「社会とのつながり」といった項目が上位に挙げられており、これらはWHO憲章での定義とも概ね一致しているとともに、さまざまな要素が個人の幸福度(Wellbeing)に関連しているといえます。Q9.“働くうえで幸福(Wellbeing)と感じる項目”の上位に、待遇面・労働環境以外で、「自身の役割を理解し、仕事にやりがいを持っている」がランクインしていることは、興味深い結果です。最近、「ウエルビーイング(Wellbeing)」を経営の柱に掲げ、従業員の心身の健康に加えて、エンゲージメントの向上にも取り組む企業が増えてきています。本調査結果は「ウエルビーイング(Wellbeing)」を高めるうえで、仕事のやりがいの重要性を裏付けています。今後は経営戦略として、仕事のやりがいや従業員のエンゲージメント向上を通じて、「ウエルビーイング(Wellbeing)」を実現することが、ますます大切になってくるといえそうです。「ウエルビーイング(Wellbeing)」の実現には生活の質向上も重要な要素です。企業にとって、育児や介護を行っている従業員への支援、学び(リスキリング)の機会の提供なども積極的に取り組む価値があると考えられます。一方で、今後の課題といえる点もあります。Q7.“勤務先の経営理念、および仕事における自身の役割”では、約6割の方が理解していると回答していますが、Q9.の回答では「勤務先の経営理念・ビジョンに賛同している」が低い結果となっています。これは、従業員が経営理念で掲げられている仕事の意義を、自身の仕事における役割に十分落とし込めていないためかもしれません。経営理念を自身の仕事における役割に置き換えて理解するには、職場における上司と従業員との深度ある対話が重要となります。テレワークといった新しい働き方が浸透する中でも、引き続き職場内でのコミュニケーションを向上していく取り組みが望まれます。 |
以上