認知症患者で減少するといわれる「プラズマローゲン」摂取による認知機能、睡眠の質への効果を検証
認知症有病者数は年々増加を示し、厚生労働省の統計によると2025年には700万人に達し、65歳以上の約4人に1人が罹患すると予測[1]されています。この発症を予防するために、生活習慣の改善や、機能性表示食品素材を用いて認知機能の維持・認知機能障害の軽減を試みることに関心が高まっています。認知症患者で健常者に比し優位に血清中で減少していることが報告されている物質に「プラズマローゲン」があり、これはリン脂質の一種で加齢やストレスによって減少するといわれています。
今回の研究では、嚥下困難のために従来の「プラズマローゲン」(カプセル/ソフトカプセル)が摂取できない高齢者を対象として、プラズマローゲン顆粒を使用し認知症の中核症状及び、睡眠の質への影響を確認するために臨床試験を実施しました。[1]厚生労働省老健局 認知症施策の総合的な推進について(参考資料)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf【研究の概要】
■ 期間: 2020年10月~2021年5月■ 対象: 介護付き有料老人ホーム入居者 21名(61歳-97歳 平均86.9歳、男性8名、女性13名。/MMSE[2]スコア20.5点)を対象
※被験食の摂取が可能で、臨床試験の目的・内容を理解し参加に同意を得た方を対象
※リゾートトラストグループのシニアレジデンス「トラストガーデン」7施設にて実施[2]MMSE: Mini Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)。国際的に使用されている認知症スクリーニング検査の一種。■ 内容: 対象者を「プラズマローゲン(PL)」顆粒群(PL1,000㎍含有サプリメント)とプラセボ群(PL顆粒の賦形剤である難消化デキストリン1.5g含有)に分け、それぞれ1日1回12週間(Phase1)摂取後、2週間非摂取期間を設け、その後別の被験食を12週間(Phase2)摂取する計24週間に渡り実施。なお、PL顆粒はお茶等に溶かして摂取した。被験者にはいずれのサプリメントを摂取しているのか認識できない、ランダム化クロスオーバーシングルブラインド比較試験を実施しました。
■ 検査項目と判断基準: 下記の 4つの評価方法にて実施。
1.「のうKNOW TM[3]」(エーザイ株式会社)※のうKNOWは医療機器ではありません
「Cogstate Brief Battery」に基づいたブレインパフォーマンス(脳の健康度)セルフチェック「のうKNOW TM」を4週間ごとに実施し、ブレインパフォーマンスの評価を下記の項目に分けて調査。
集中力 ①脳の反応速度、②注意力 から算出
記憶力 ③視覚学習、④直前(短期)記憶 から算出
(A)20.0~50.0点 (B)15.0~19.9点 (C)0~14.9点
2. MMSE(Mini Mental State Examination)[2]
認知症スクリーニング検査を試験開始時とPhaseの終了ごと、計3回実施。
判定:(正常)27~30点 (軽度認知障/MCI)22~26点 (認知症)21点以下
3.睡眠の質
世界保健機関で作成された世界基準である「アテネ不眠尺度」の質問票を用いて4週間ごとに調査。
判定:(正常睡眠)1~3点 (不眠症の疑い)4~5点 (不眠症)6点以上
4. フェイススケール
フェイスケールによる気分の変化を4週間ごとに調査。
判定:(満足)1 (やや満足)2 (普通)3 (どちらともいえない)4 (やや不満)5
■ 研究結果: 本研究では、90歳以上の超高齢者が多いグループにおいても「プラズマローゲン」顆粒服用により、検査項目1.「ブレインパフォーマンス(脳の健康度)のセルフチェック」の「集中力①②」および、「④直前(短期)記憶」の有意な向上が認めらました。
今回の臨床試験では、対象者の平均年齢が86.9歳と超高齢者が多く、上記以外の項目ではプラズマローゲン服用群に有意な向上は認められませんでしたが、今後は症例数を増やして70歳台グループに対して試験を行い、早期の軽度認知障害(MCI)などに対する効果を検討する予定です。
超高齢者を対象とした臨床試験の報告が少ない中、本結果から「プラズマローゲン」顆粒は介護施設の現場においても有用な認知症介入手段になり得ると考えています。
<集中力:①脳の反応速度+②注意力>
「プラズマローゲン」は、「デキストリン」に比べて「集中力スコア」(①脳の反応速度と、②注意力から算出したスコア)において有意な向上が認められました。
① 脳の反応速度:カードがめくられたら直ぐにボタンを押す
② 注意力:めくられたカードの色を判断する
<記憶力:④直前(短期)記憶>
「プラズマローゲン」は、「デキストリン」に比べて「記憶力」(直前、短期記憶)において、有意な向上が認められました。
直前(短期)記憶:めくられたカードが直前のカードと同じか否かを回答する
<医師紹介>
田口 淳一(たぐち じゅんいち)医師
東京ミッドタウンクリニック 院長
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 総院長
1984年 東京大学医学部卒業。
1993年 ワシントン州立大学へ留学。
東京大学医学部附属病院助手、宮内庁侍従職侍医、東海大学医学部付属八王子病院循環器内科准教授を経て、2007年 東京ミッドタウンクリニック院長、2010年 東京ミッドタウン先端医療研究所所長に就任。2020年5月 日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック総院長に就任。
【認定資格】
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会循環器専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
東京医科歯科大学 難治疾患 研究所 非常勤講師
日本人間ドック学会 遺伝子検査に関わる検討委員会 委員長
東京医科大学 客員教授日中医学交流センター 理事 他
反頭 裕一郎 (たんどう ゆういちろう) 医師
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 副院長
山中湖クリニック 副院長(2021年7月より)
2001年山梨医科大学医学部卒業
トラストクリニック等々力 元副院長
社団医療法人トラストクリニック 元非常勤医師
大月市立中央病院 元副理事長・元副院長
医療法人慶友会サンクール石和クリニック 元院長 兼 医療法人慶友会城東病院 元理事
東山梨行政組合介護保険審査会 元副議長
【東京ミッドタウンクリニック】
・クリニック名: 東京ミッドタウンクリニック
・所在地: 〒107-6206 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー6F
・TEL: 03-5413-0080(月~金 9:00-12:30 / 14:00~17:30 ※土日・祝祭日除く)
・URL: https://www.tokyomidtown-mc.jp/
【日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック】
・クリニック名: 日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック
・所 在地: 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-2-1日本橋室町三井タワー7F
・TEL: 03-3231-2071 (月~金9:00~12:30 / 14:00~17:30 ※土日・祝祭日除く)
・URL: https://www.mtc-nihonbashi.jp/
【トラストガーデン株式会社】
・所 在 地: 〒151-0053東京都渋谷区代々木4-36-19リゾートトラスト東京ビル6F
・代表者:代表取締役 伏見 有貴
・主な業務内容: 有料老人ホームの経営|サービス付き高齢者向け住宅の経営|介護保険法に係る居宅介護サービス|前各号に付帯する一切の業務
・URL: https://www.trustgarden.jp/
【株式会社アドバンスト・メディカル・ケア】
会員制ホテル事業などを展開するリゾートトラスト株式会社のグループ企業。東京ミッドタウンクリニックをはじめ、全国の医療施設のプロデュースを行い、日本の長寿社会において“より健康に”“より美しく”生きるためのベストソリューションを提案。メディカルサービスだけではなく、医師監修による高付加価値サプリメントや、化粧品開発といった分野にも積極的に取り組んでいる。
・所在地: 〒107-6206 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー6F
・設立: 2006年2月
・代表者: 代表取締役社長 古川 哲也
・資本金: 100,000,000円
・主な業務内容: 医療施設の運営支援ならびにサプリメント・化粧品の企画、販売等
・URL: https://www.amcare.co.jp/
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