医療従事者に寄り添うアロマテラピー。ストレスや不安の軽減、仮眠の質向上等の可能性を示唆

<ニュースレター>公益社団法人 日本アロマ環境協会(略称:AEAJ、東京都渋谷区)は、アロマテラピーに関連する最新研究を紹介します。

新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮う中、医療現場への負荷はかつてないほどに高まっています。今回は、アロマテラピーによって医療従事者の精神的なストレスを軽減できる可能性が示唆された実験を紹介します。

  • アロマテラピーで看護師のストレス、不安感と疲労感が軽減

ウェストバージニア大学が行った実験では、19名の看護師を対象に、精油を染み込ませたパッチを貼ったカードを4~8時間着用して勤務した前後の気分を調査。その結果、着用後にストレスが約50%、不安感と疲労感が有意に減少したことが確認されました

<研究概要>

対象 看護師19名
精油 レモン、オレンジ、マンダリン、ピンクグレープフルーツ
レモングラス、ライム、ペパーミント
測定方法 精油を染み込ませたパッチを貼ったプラスチック製カードを、一日4~8時間、8日間着用し、その前後の気分を調査
評価項目 自己評価による不安、ストレス、圧迫感、疲労、エネルギーレベル、モチベーションを図る数値アンケート(Ⅱ-point numeric rating scale)
研究結果 アロマパッチ着用後にストレスのスコアが約50%、不安感と疲労感のスコアが有意に減少しました。

 

本研究により、アロマテラピーを行うことによって、看護師のストレスや不安感が下がり、患者のケアに良い影響を与える可能性があることが示唆されました。

【出典】Marian E. Reven, et al.(2020)West Virginia University Oncology Nurses Don Aromatherapy Patches:A Pilot Feasibility Study. The International Journal of Professional Holistic Aromatherapy 8(4):7-15.

  • 医療従事者を対象としたその他の研究

■アロマの使用によって、看護師の疲労緩和が示唆された実験
特定被災地域で働く精神科病院の看護師18名を対象に、精油を入れたアロマトリートメントを行う群と、精油なしのキャリアオイルのみでトリートメントを行う群に分けて、対象者の気分や感情への影響を図る指標(POMS短縮版)を用いて調査しました。その結果、キャリアオイルのみのトリートメントは施術直後に不安な感情を緩和したことが確認されましたが、その後の身体的な「疲労」緩和の持続性においては、精油からの嗅覚刺激を通したアロマトリートメントに効果が高かったことが確認されました。
【出典】荒井春生, 他 (2017) 被災地で働く単科精神科病院の看護師を対象にしたアロマテラピー・トリートメント実施後における気分変化の検討. アロマテラピー学雑誌18(2):8-16.

■外科センターの看護チームのストレスに対するアロマトリートメントの有効性が示唆された実験
ブラジル、サンパウロの病院の外科センターの看護師ら38名を対象とした実験では、ラベンダー精油とゼラニウム精油を使ったアロマテラピーマッサージを受ける前と後の心拍数と血圧を測定。その結果、マッサージを行ったあとのほうが有意に心拍数と血圧が下がることが確認されました。
【出典】Juliana Montibeler, et al. (2018) Effectiveness of aromatherapy massage on the stress of the surgical center nursing team: a pilot study. Revista da Escole de Enfermagem da USP 52:03348.

■精油の香りを嗅ぐことで、夜勤看護師の仮眠の質向上の可能性が示唆された実験
夜勤中の看護師20名を対象に、2時間の仮眠時にアロマテラピーを導入したところ、寝る前にラベンダーの香りをかぐことで深い睡眠が得られ、起床時にローズマリーの香りを嗅ぐことで睡眠覚醒の効果が得られたことが脳波測定と体験報告から確認されました。
【出典】小野真理子, 他 (2003) 16時間夜勤看護師の仮眠時へのアロマセラピー導入効果. 信州大学医学部附属病院看護研究集録 31(1):69-74.

さまざまな実験結果から、アロマテラピーが医療現場におけるスタッフの精神的、身体的な疲労をやわらげる可能性が示唆されています。医療現場の負荷を少しでも軽減するための方法の一つとして、アロマテラピーの活用が期待されます。

 


 

掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部