最愛のペットを喪った時に気を付けることとは?悲しみを認めることで見えてくるもの。ペットロスカウンセラー・川崎恵さん
現代社会はストレスとの闘いです。「こころを整える」ためにどうすればいいのか、各界の著名人をゲストに招いてCOCOLOLOライフmagazine編集部がメンタル面の変化に着目しながら切り込んでいく「こころトーク」。
今回のゲストは、女性専用の電話カウンセリングサービスでペットロスカウンセラーとして活躍する川崎恵さん。かけがえのない家族であるペットの命が局面に立った時、飼い主の多くは不安や後悔、絶望、罪悪感など様々な感情に心が乱されます。こころのバランスが崩れている人に向けてペットロスカウンセラーが伝える言葉の裏側には「こころを整える」メソッドがあることにCOCOLOLO編集部が注目。
カウンセラーという仕事に興味がある
ペットロスから立ち直りたい
ペットロスに悩む人を励ます方法が知りたい
長年ペットロスカウンセラーとして活動されている川崎さんに「ペットロス」の現実についてお聞きしました。
ペットロスはペットを喪ってからではなく、命の期限を宣告された直後から始まっています
編集部:前回では川崎さんがペットロスカウンセラーを目指すきっかけやカウンセラーを目指そうとしている人へのアドバイスを頂きましたが、改めて「ペットロス」とは何なのでしょうか?
川崎:一般的に認知されているペットロスは、愛するペットの死に直面してずっと悲しい、ずっと辛いそんな「心の状態」と捉える人が多いかと思います。しかし、そうではなくて、幼少期からの飼育歴やペットとの関係性、最期の別れ方、そういった要素が影響した上でペットロスになりますので、誰一人として同じ体験をする人はいません。よく誤解をされるのですが、ペットロスによるストレスはペットを亡くしてから始まるものではなく、命の期限を宣告された時から始まるということ。
さらに死と向き合う事態が発生すると、悲しむ感覚すらマヒしてしまいます。そこから悲しみとともに深い後悔と罪悪感が浮き上がり、自分や周囲を憎んでしまうことも……。たとえペットロスから回復する傾向が見えてきたとしても、自分が元気になることが亡くなったペットに対する裏切りかもしれないと、ペットロスからの克服を拒んでしまう人もいます。気持ちを抑圧しすぎてしまうと、重たいペットロスに陥るケースもあるんです。
編集部:ペットロスが心と身体に引き起こす具体的な不調とは?
川崎:「もっとこうしていればよかった」「私のせいでこんなことに……」など、悲しみ、後悔、罪悪感、怒り、絶望などの想いから、不眠や倦怠感、食欲不振になってしまうのは珍しくない反応です。そして、このような反応があったからといってペットロスの過程では異常とは限らないのです。よく「ペットロス」は病気であると誤解されていますが、私は病気ではないと考えています。心と身体に衝撃を受けていて、「あの子に会いたい!」と思ってしまう状態です。ペットを本当に愛している故の心と体の自然な反応がペットロスなんです
編集部:実際にどのような相談が多いのでしょうか
川崎:偶然の重なりで訪れた突然のペットの死は後悔や罪悪感が重なりご自身を責めてしまい、重たいペットロスになってしまうケースがあります。実は私も「爪切り」が原因で愛犬を失ったことがあるんです。特に体調が悪かったわけでもなく、動物病院で愛犬の爪をケアしてもらおうと思い、スタッフさんが爪を1本切ったその時に脳梗塞を起こしてしまいそのまま亡くなりました。爪を切る行為がその子にとってストレスだったことを後から知り、「爪を切らなければあの子はもっと生きられたのに!」と後悔したのを今でも覚えています。
ペットを喪ってしまった時こそ、涙を流して心から悲しむことが大事
編集部:もし自分自身がペットロスになってしまった時、まずやるべきことは何なのでしょうか?
川崎:ペットロスは心の反応の1つで病気とは異なります。後悔や罪悪感で出来上がっているのではなく、ペットを想う愛があるからこそ起こるものだと理解をして、悲しみを許してあげてください。病気だと思うだけで不安になってしまうことありませんか?少し気持ちの在り方を変えるだけでも心の状態がずいぶん変わると思います。
編集部:ペットロスから立ち直りたいと思っている人は世の中に沢山いると思います。ペットロスを予防する「心の在り方」を挙げるとしたら、どんなことに意識すればよいのでしょうか?
川崎:様々な想いがあるかとは思いますが、どんなに悲しくても自分を認めてあげてください。「こんな私じゃダメだから……」と自分を否定するのではなく、「そうだよね、悲しいよね」と素直に自分の気持ちに寄り添ってあげること。どんな「私」であっても受け入れることが大事なんです。最愛のペットを喪った時に絶対にしてはいけないことが3つあるのでお教えしますね。
- 涙を我慢しない
- 乗り越えようとしない
- 周囲の無理解に耳を貸さない
無理に感情を押し殺しても、その悲しみは消えてなくなる訳ではありません。また、周囲に自分の気持ちを分かって欲しいと同意を求めないこと。たった1人、心から信頼できる人を見つけて、思いっきり悲しめる環境をつくってください。
不眠や食欲不振など、病気のように思われてしまうペットロスですが、その悲しみを癒す方法は必ずあります。ペットを喪ってしまったからこそ、その悲しみを我慢しないという心は「こころを整える」1つの方法なのかもしれません。
次回のインタビューでは、ペットロスになってしまった人に対して周囲の人間ができることをお聞きしています。ペットロスだけでなく、悲しい出来事に対面してしまった人の心を和らげる方法は必見!どうぞお楽しみに。
編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部