チームになると手を抜く心理とその対策:パフォーマンスを引き出す行動科学

チームで働いているとき、「なぜか自分のやる気が出ない」「なんとなく他人任せになってしまう」と感じた経験はありませんか?
これは単なる怠け心ではなく、私たち誰もが持つ“ある心理的なメカニズム”が影響している可能性があります。
今回は、集団で起こる「手抜き行動」の正体と、それにどう対処すれば個人とチームの力を最大限に引き出せるのかを、行動科学の観点からひも解いていきます。

 

なぜ、チームになると人は力を抜いてしまうのか?

たとえば、綱引きや拍手といった活動を思い浮かべてみてください。これらは、メンバー全員の力がそのまま合算されて結果に反映される「加算的課題」と呼ばれるものです。こうした場面では、人は「自分ひとりが少しサボったところで、全体の成果にはさほど影響がないだろう」と無意識に判断してしまう傾向があります。

このように、集団になると本来発揮できるはずのパフォーマンスが下がってしまう現象は、「社会的手抜き(social loafing)」と呼ばれています。この行動にはいくつかの心理的な背景がありますが、特に大きな要因として指摘されているのが「責任の拡散」です。つまり、「誰かがやってくれるだろう」「自分ひとりが頑張ってもどうせ変わらない」といった気持ちが生まれやすくなり、結果的にやる気や責任感が薄れていってしまうのです。

この心理は、個々の能力や性格に関係なく、多くの人に共通して現れるものであり、特に集団でのタスクにおいては顕著です。だからこそ、個人に「もっと頑張れ」とプレッシャーをかけるのではなく、そもそも「なぜそうなるのか」を構造的に理解し、対策を打つことが重要なのです。

手抜きが起こりやすい課題と起こりにくい課題

とはいえ、すべてのチーム活動で社会的手抜きが起こるわけではありません。行動科学の研究によれば・・・

 

 

↓↓↓

【執筆者プロフィール】

板生 研一

WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中