目標を達成するための自己管理術とは? スポーツメンタルコーチ・鈴木颯人さん

仕事や趣味で最高のパフォーマンスを発揮するにはどうしたらいい?

悩みや不満など、ネガティブな気持ちはどのようにして解決すればいい?

心と身体に休息を与えて、心身のバランスを上手に保つ方法は?

 

現代はストレス社会と言われますが、適度なストレスはヒトの成長に欠かせません。日々「こころを整える」ためにどうすればいいのか、COCOLOLOライフmagazine編集部が様々な分野で活躍する人物からそのヒントを探る「こころトーク」。

前回に続き、数々のアスリートのパフォーマンスをコーチングによって激変させてきた、スポーツメンタルコーチ・鈴木颯人さんにお話を伺いました。COCOLOLOライフmagazine編集部の板生研一(WINフロンティア㈱代表・医学博士)との対談形式でアスリート版メンタルトレーニング術のビジネスパーソンへの活かし方について語って頂きます。

 

やるべきことを見える化してチェックリストをつくる

 

編集部:これまでアスリートの方へのコーチングについて伺ってまいりましたが、ビジネスパーソンの方へ向けて応用できるものはありますか?また実際にアドバイスもされていらっしゃるのでしょうか?

鈴木:そうですね。コーチングやセミナーは実施しています。
自己管理術についてのアドバイスなどは喜ばれますね。
ビジネスの世界では、なかなか自分の思い通りに物事を進めていくのが難しい場面もありますよね。
例えば、上司や部下は直接コントロールできませんよね。ですのでコントロールできないことはしないっていうのが大原則だと思います。その上で、日々のルーティーン業務を習慣化するようなチェックリストをつけてもらいます。自分がやるべきことをリストにして、できたことに全部丸をつけていく。

 

編集部:なるほど。具体的に教えていただけますか?

鈴木:僕がつけているのは、起床時間と就寝時間、その時の調子と気温・室温・天気まで書いています。
すると大体自分の調子が分かってくるんですね。
その調子が分かれば、対策をとることができます。睡眠時間も人によっては6時間でいい人も、7時間でいい人もいるかもしれない。その時の調子の良し悪しを確認できるんですよね。でも意外と、ビジネスパーソンの方はやっていないことが多いです。

 

編集部:そうですね。アスリートの方はやはり試合があるのでそこに調子のピークをもっていく、というように目標が分かりやすい。その点ビジネスパーソンは、大事なプレゼンや商談があったりはしますが、そういうのがない方も沢山います。意識していかないと、平日休日のオンオフも含めて長い時間軸でのピークのオンオフが見えづらいですよね。

鈴木:チェックリストは、もともと飛行機のパイロットの考え方からきています。飛行機のパイロットは、飛ぶ前に、『ビフォアーテイクオフチェックリスト』があって、そのチェックリストをきちんと確認をして初めて離陸するんですよね。離陸後は、『アフターテイクオフチェックリスト』というものもある。工程ごとにきちんと確認して次の段階へ移るのですね。一種のルーティーンなんでしょうけど、こういう取り組みがあるから世界一安全な乗り物と言われている訳ですよね。世界一安全な乗り物=世界一確実に目標に到達する乗り物だと思うんですよ。ですので、目標達成したい人にはこの仕組み(チェックリストの見える化)を応用しているメソッドを提供しています。

 

編集部:チェックリストで何を抑えれば目標に到達できるのか?目標によって抑えるべきチェックリストも違うでしょうし、その作り方が大事ですよね。
そこをうまくリスト化できれば、ある種半分勝ったようなものではないでしょうか?(笑)

鈴木:そうですね。そこが試行錯誤ですよね。
ある地方のスーパーにもう何十年も継続して高い売り上げをあげている店長の方がいるのですが、過去の天気をアナログで記録しているそうなのです。全部見返して、あ、今日はこの天気になる可能性が高いな、というのが分かるから入荷を調整したりしてある程度安定した売り上げを伸ばせるそうです。そう考えると、結果をすぐ求めるのではなく、いかに未来に目を向けて今からコツコツとデータ集計できるかということでもありますよね。

 

編集部:弊社もデータを重視してやっているのですが、溜めてる過程って地味なんですよね。このデータは何かに役立つのかな、というような。でもある程度溜まると、実は価値があったということがあります。

鈴木:統計学的な考えかもしれないのですが、そこから心理学とかに発展している訳ですしね。
自分自身を心理学でひも解くような考え方で向き合えたらいいと思います。そうしたら多分、マインドフルネスになりやすい気がします。

 

何気なく過ごしてしまいがちな日々を記録し積み上げていくことで、見えてくるものがあると教えていただきました。まさに継続は力なりですね。

次回はピンチや挫折があったからこそ繋がった、今の仕事への思いについてお届けします。お楽しみに!

 


鈴木颯人
スポーツメンタルコーチ

1983年、イギリスに生まれ東京で育つ。
スポーツ推薦で入学した高校時代にプロを目指した野球で挫折。その時の経験をもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮するメソッドを構築。競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによって数々のアスリートのパフォーマンスを激変させている。著書に「一流をめざすメンタル術」などがある。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部

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