ピンチや挫折があったからこそ繋がった今の仕事への思いとは? スポーツメンタルコーチ・鈴木颯人さん

仕事や趣味で最高のパフォーマンスを発揮するにはどうしたらいい?

悩みや不満など、ネガティブな気持ちはどのようにして解決すればいい?

心と身体に休息を与えて、心身のバランスを上手に保つ方法は?

 

現代はストレス社会と言われますが、適度なストレスはヒトの成長に欠かせません。日々「こころを整える」ためにどうすればいいのか、COCOLOLOライフmagazine編集部が様々な分野で活躍する人物からそのヒントを探る「こころトーク」。

前回に続き、数々のアスリートのパフォーマンスをコーチングによって激変させてきた、スポーツメンタルコーチ・鈴木颯人さんにお話を伺いました。COCOLOLOライフmagazine編集部の板生研一(WINフロンティア㈱代表・医学博士)との対談形式で鈴木さんのリラックス法や、ピンチや挫折があったからこそ繋がった今の仕事への思いについて語って頂きます。

 

鈴木さん流のリラックス法とは?

編集部:ご自身でストレスがすごい溜ったと感じたときに、こういうことをやると落ち着くとか気持ちが整うなど、鈴木さんのメンタル管理術リラックス法があれば教えていただけますか?

鈴木:メンタル管理術でいうと、15分以上走るのを大切にしています。ある方の本では、15分以上走るとエンドルフィン(多幸感をもたらすとされる脳内物質)が出るという研究結果があるそうです。

 

編集部:それは、運動強度的には、どれくらいのペースで走るんですか?

鈴木:そうですね。1キロ6分くらいのペースです。気持ち良いくらいの。

 

編集部:かなり早いですね。鍛えていない人は、結構苦しいかもしれないですね(笑)

鈴木:かもしれないですね(笑)
心地よいペースでって書いてあったので痛みがあったらよくないですよね。
本人が心地よく走れるペースでよいと思います。
あとはカラオケに行って歌を歌ったりします。

 

編集部:なるほど。走るときに意識されていることはありますか?また、時間帯や走る頻度についても教えてください。

鈴木:周りの変化をすごく大切にしています。
なるべく同じルートを走らないようにして、できるかぎり脳に刺激を与えるように意識しています。
また、街中を走りますが、自然が多そうなところを意識的に行くようにしています。

時間帯は、朝起きて、朝やらなければいけない仕事のルーティングをすませてから、10~15分走って、また仕事をします。走るのは週2~3回です。

 

編集部:チェックリスト(第6回記事ご参照下さい)にも書いてあるのですか?

鈴木:書いてあります。ただ朝走ることができないときもあります。
前日夜寝るのが遅くて睡眠時間が短い場合や、朝早くから仕事が入ってしまっていたり。
また、雨が降ってしまうこともあります。それでも週2~3回走る目標を達成するために、こういうことを色々見越しながら走りのスケジュールを考えます。

 

 

ピンチや挫折があったからこそ繋がった今の仕事への思いとは?

編集部:最後の質問をさせてください。これまでの最大のピンチはなんですか?

鈴木:そうですね。ピンチは色々あると思うんですけど、僕はうつを経験しているので、その頃のことですかね。

 

編集部:それはサラリーマン時代ですか?

鈴木:学習塾で働いていたときですね。ちょうど東日本大震災のあった2011年3月です。3月1日にうつ病を診断されまして。10日後に震災があって。大ピンチというか。どうしていいんだろう。って、過ごしていましたね。
帰宅は毎日終電でした。生徒も心のないことをガツガツ言ってくる子もいたりして。
話を聞いてほしいと言われるのですが、生徒200人もいるひとりひとりにゆっくり時間も割けない。きつかったですね。

 

編集部:そこからスポーツメンタルコーチになられたのは、どういう繋がりだったのでしょうか?

鈴木:メンタルコーチのやり方は色々あると思っています。沢山の人の前で喋るメンタルコーチもいれば、僕みたいに個別で行う人もいるし。僕はどちらかというと本当にパーソナルで付き合っていきたい思いが強かったので、パーソナルで人の心と向き合える仕事は何かと考えたときにコーチングに出会いました。

 

編集部:なるほど。そこにご自身がやられていたスポーツを組み合わせたいという風に思われたのでしょうか?

鈴木:そうですね。高校時代までは本気でプロを目指してやっていたので、その時に監督やコーチの何気ない一言で何度も傷ついた経験がありました。言葉ってとても大切だと思うんですよね。言葉を通じて苦しんでいる選手もいると思うし、逆に言葉で救われた選手もいる。そういったところでお手伝いできたらと思いました。

 

編集部:どのような言葉で傷つかれたのでしょうか?

鈴木:僕の場合は「お前には期待していない」とか(笑)
入学して数か月で膝を怪我してしまいまして。早く戻って活躍しなければいけないと思って「すぐに怪我を治して戻ってきますので待っていてください。」と監督に伝えたところ、「鈴木、お前には期待していないから、ゆっくり治せ」と言われました。

 

編集部:突き放されたようにも感じるし、焦らせないために愛情ゆえの言葉のようにも感じますね。

鈴木:今ならどっちにも受け取れますね。人によって、受け取り方は違うじゃないですか。その時笑いながら言われたので、スポーツ推薦で入学したのに期待していないというのはどういうことなのだろうか、とショックが大きかったです。今考えれば、僕らの高校は部員数も多かったので、100人をコーチと監督含めて3人で向き合うのは厳しかったと感じます。同じような立場になって初めて監督の気持ちが理解できるようになった気がしますが、知識や経験が浅い当時の自分には受け取りにくかったですね。
言葉は色々な解釈ができ、解釈の仕方によって苦しんでる人がいる。逆に言えば、本意が伝えられず苦しんでいる指導者もいる。その人にあった伝え方をしなければいけませんよね。

 

編集部:なるほど。それで今は、パーソナルに寄り添う形のコーチングを選ばれたのですね。

鈴木:そうですね。だいぶ思い入れが強いです。
つらいこともありましたがそれがなかったら今の自分はありません。
サポートをした方の『夢を実現した瞬間の輝き』は最高です。
今後もたくさんの方と出会い、一緒にワクワクしながら夢実現のサポートしていきたいです。

 

 

全7回にわたり、スポーツメンタルコーチ鈴木颯人さんのインタビューをお届けしてまいりました。ご自身のつらい経験があったからこそ、今のメンタルコーチという仕事に辿り着くことができたと語る鈴木さん。

相手に気づきを与え、本気で寄り添う姿勢が印象的でした。ぜひ第1回より読んでいただき、心の整え方や夢を実現するためのたくさんのヒントを振り返ってみてください。


鈴木颯人
スポーツメンタルコーチ

1983年、イギリスに生まれ東京で育つ。
スポーツ推薦で入学した高校時代にプロを目指した野球で挫折。その時の経験をもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮するメソッドを構築。競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによって数々のアスリートのパフォーマンスを激変させている。著書に「一流をめざすメンタル術」などがある。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部

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