副交感神経とセルフコントロールの関係
副交感神経の役割と測定
今回は、このnoteで提唱する「クリエイティブ・メンタルマネジメント」を実践する上で重要な、セルフコントロールと副交感神経の関係について書きたいと思います。
副交感神経とは自律神経の1つですが、自律神経は、内臓や代謝、体温といった私たちの体の機能を24時間休むことなくコントロールする神経で、人間の脳や身体のはたらきをつかさどる役割を担っています。自律神経には、交感神経と副交感神経の2つの神経系があり、この2つは相反する作用を示します。
交感神経は、緊張やストレスを感じたときに活性化する、自動車のアクセルのような役割を担っています。一方、副交感神経は、リラックスした状態のとき活性化する、自動車のブレーキのような役割を担っています。
この自律神経の活動は、比較的簡単に測定することが可能です。具体的には、心電図波形のピーク(頂点)をウェアラブルデバイスなどで検知し、そのピーク間隔のバラツキ(これを心拍変動、英語ではHeart Rate Variability(HRV)といいます)を解析することによって、自律神経活動を推定することができます。
心拍変動(HRV)が小さい場合は、交感神経が優位な状態、つまり、ストレスを感じている状態です。一方、心拍変動(HRV)が大きい場合は、副交感神経が優位な状態、つまり、リラックスしている状態です。
そして、この副交感神経が優位な(心拍変動(HRV)が大きい)状態は単にリラックスしているだけではなく、セルフコントロールにも関係していることが研究で明らかになってきました。
アルコール依存と副交感神経
心拍変動(HRV)の大きさ、つまり、副交感神経の働きは、情動と感情の調節、衝動制御の増加に関連していることが様々な研究で明らかになってきていますが、ノルウェー・ベルゲン大学臨床心理学部のジョン・T・イングヤルドソン博士らは、セルフコントロールに問題を抱えているアルコール依存症患者の心拍変動(HRV)を調べる実験を行いました。
実験では・・・
↓↓↓
【執筆者プロフィール】
板生 研一
WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中