副交感神経にスイッチを入れる、快眠アプローチとは?①  


日本メディカルハーブ協会主催 「心地よい眠りへのアプローチ」 シンポジウム参加レポート

東京で開催された「心地よい眠りへのアプローチ」のセミナー(9月30日@大崎ブライトコアホール)に参加してきました。
この日の登壇者は3名で、理学博士で免疫学と音楽の研究の第一人者である和合治久氏、西川産業スリープマスターの杉原桃菜氏、そして日本メディカルハーブ協会理事で薬学博士の村上志緒氏。
それぞれ異なるフィールドからのお話ではありましたが、「快眠」をテーマに、「副交感神経を優位にする」「入眠儀式を作る」「五感へのアプローチ」という点で共通の示唆があり、とても興味深いものでした。4時間半に渡りお話された理論や研究結果などから皆様の快眠に役立つと思われるポイントをまとめてCOCOLOLO編集部がお届します。

 

40代男女の4人に3人が「睡眠の質」に不満を抱えている!

まず、杉原さんのお話によると、日本人の7割が「睡眠の質」に何らかの不満を抱えるとのこと。中でも不満が高い世代は男女ともに40代で、男性76.9%、女性76%(東京西川 睡眠白書2018~日本人の睡眠調査~ N=10,000)となります。
働き盛り、子育て真っただ中が多い世代でもあり、ゆっくり休息できていないことが浮き彫りとなっています。

そして、睡眠の質に大きく関わる「不眠症」には4つのパターンがあります。
-入眠困難・・・・・・眠ろうと思ってもなかなか寝付けず1~2時間しても眠れない状態
-中途覚醒・・・・・・夜中に何度も目が覚めて、その後なかなか寝付けない状態
-早朝覚醒・・・・・・起きようと思った時刻よりも早く目覚めて、その後眠れない状態
-熟眠困難・・・・・・睡眠時間は十分だが、ぐっすり眠った感じがせず疲れが取れない状態

あ、これ自分だ…!と思われる方もいるのではないでしょうか?では、いったいどうしてこれほどまで多くの日本人は睡眠の質に悩むのでしょうか??

そこで、理学博士で免疫研究者でもある和合先生のお話をご紹介します。

 

睡眠の質を低下させる原因は、「ストレス」と「過緊張」

睡眠の質を低下させている不眠や不眠症(以下、まとめて不眠症といいます)を引き起こす要因にはいろいろありますが、見逃せないのが「ストレス」や「過緊張」による交感神経優位な状態です。

精神的ストレスや過緊張は、交感神経優位に導き、ノルアドレナリン分泌を増加させ、腸内環境や消化管機能を悪化させます。眠りに関わる神経伝達物質のメラトニンの前駆体である「セロトニン」の95%は小腸で作られることがわかっているため、腸内環境の悪化も不眠症につながる点を強調されていました。

そもそも、私たちの自律神経は38歳を境に交感神経優位に傾きやすくなるとのこと。
自律神経は不眠症だけでなく先生の専門である免疫疾患にも大きく関係します。さらに高血圧・肥満・高脂血症といった生活習慣病や、様々な未病はほぼほぼ自律神経失調とパラレルで発現することからも、交感神経を抑制する、すなわち「副交感神経を優位にする」ことが人々をWellnessに導く鍵となります。

 

欧米では1950年代から取り組んでいる! 音楽のチカラの医学的活用

理学博士である先生は、音楽は空気振動となって聴覚を刺激することに着眼し、音楽と生体機能の研究を行っておられます。

音楽療法の定義は、「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること(日本音楽療法学会)」とあり、対象者に対して音楽を計画的に使用し、さらにその効果をきちんとチェック(測定)することが課題でもあります。

そこで、PubMed(医学論文・文献等を検索するサイト)でMusic Therapyを検索してみると、音楽療法は欧米を中心に、①心身医療への応用 ②緩和医療・精神的癒しへの応用 ③ホルモン系・生理機能の正常化 ④脳神経障害克服への応用 大きくこの4分類で活用されているとのことです。
そして、この適用分野からもわかるように、音楽療法は病んでいる部位を診るのではなく、病む人全体を診るホリスティックな医学であると捉えられ、その基本思想は東洋医学にも通じるとお話をされていた点も印象的でした。

 

自律神経の中枢に働きかける4000ヘルツの音楽

音楽療法には、受動的なもの(音楽を聴覚情報として聴く)と能動的なもの(歌を唄う、楽器を演奏するなど)がありますが、ここからは、睡眠の質を高めるセルフケアに取り入れやすいという観点で、主に聴覚刺激に限定した先生の研究「聴覚療法としてのモーツァルト音楽療法」を中心に話を進めます。

胎教にいい、ぐっすり眠れる、、、など既にモーツァルト効果は様々なところで取り上げられていますが、そもそもは「トマティス理論」というフランスの耳鼻咽喉科医アルフレッド・トマティス博士が1957年に提唱した「背骨と周波数との因果関係」が発端となって一大ブームを巻き起こしました。
その理論とは、背骨の一番上の延髄から一番下の尾てい骨まで、それぞれが音の周波数と対応した関係を持つというもので、背骨の上の方が高周波(高い音)、下の方が低周波(低い音)に反応するという理論です。実際にバイオリンなどの音は頭の上の方へ、太鼓の音は肚に響く、、、といった感覚はみなさんもおわかりになるのではないでしょうか。

一方、不眠症を引き起こす自律神経を司る脳の中枢は、延髄を含む「脳幹」という部分です。トマティス理論によると、この部位に反応する周波数は4000ヘルツ周辺域であり、さらにモーツァルトの楽曲にはこの周波帯の音が豊富に含まれているということです。
脳幹は、系統学的に最も古い脳と呼ばれ生命維持の基本を司る部分で、ここへ聴覚を介して伝わる空気の振動がセラピー効果につながるというバックグラウンドがあるのですね。

 

レポートの後半は、実際の音楽の効果と、最近注目されている睡眠のゴールデンタイムのための入眠儀式のお話です。お楽しみに。

 

 


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部