スポーツにおける心の在り方とは?データの見える化は役立つのか?元女子バドミントン選手・小椋久美子さん


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現代社会はストレスとの闘いです。「こころを整える」ためにどうすればいいのか、各界の著名人をゲストに招いてCOCOLOLOライフmagazine編集部がメンタル面の変化に着目しながら切り込んでいく「こころトーク」。

今回のゲストは、前回に引き続きバドミントンの女子ダブルスペア日本代表として「オグシオ」コンビで世界中を沸かせた元女子バドミントン選手の小椋久美子さん。COCOLOLOライフmagazine編集部の板生研一(WINフロンティア㈱代表・医学博士)との対談形式で、スポーツ選手のメンタル面とデータの見える化について語って頂きました。

 

プレイスタイルには国民性がある。
日本人選手のメンタルレベルは高い!

編集部:小椋さんから見る日本人選手と海外選手の違いってありますか?例えばメンタル面とか。

小椋:今のバドミントン業界では日本人選手のメンタルは強いと思いますよ。海外の…例えばインドネシアやマレーシアは遊び感覚のような。国技で幼いころから触れていることもあって楽しみながらプレイしている印象を受けます。技術的なことも遊びの延長で覚えていくような…遊びながら技術を高めているという感じ。インドネシアの選手なんかは、型にはまったプレッシャーというものがあまり無いようにも感じられます。とはいえ、昔からの国技であり伝統がある国だから、大きな大会ではやはり気持ちの入り方が違いますけどね。それ以外はけっこう楽しみながらプレイしているなと思います。

 

編集部:国によって選手のメンタル面は意外と違うものなんですね。

小椋:オリンピックのような大舞台での試合になると、アジアの選手はけっこうプレッシャーに圧されて負けてしまうことも。反対にヨーロッパの選手は「こうでなくちゃいけない!」というものがないので結果を出したりしていますね。オリンピックの空気感を楽しんでいる感があるので、「この選手がメダルを獲るのか!!」と驚かされることもあります。

 

編集部:他にもメンタル面が強いと思う国ってありますか?

小椋:私の個人的な分析ですけど、中国は組織として強いです。もちろん個人の能力も高いですし実力もありますが、組織になればなるほど強いというか。万が一自分が負けても仲間が勝ってくれるという安心感があるのかなって。もし私だったら、私が負けたらもうダメだ…みたいな国を背負う感覚になってしまうのですが。組織的な強さがメンタルの強さにも繋がっているのではないかと思わせるものが、中国にはあるのだろうなと私は思っています。

 

編集部:韓国の選手はどうですか?

小椋:韓国は少し軍隊的なところがありますよね。すごく真面目で規律を守るというか、型に収まるような指導を受けている感じ。上下関係が厳しい世界だから何か決まり切ったものが「自信」として確立されていないと力が発揮できないイメージがあります。そう考えると、日本はわりとバランスが取れているのかも。でもやっぱり、土壇場になるとメンタルの強さって発揮されるんですよ。1番最後に救われる部分でもありますね。

 

データの「見える化」は適確な自己分析ができるツールの1つ

編集部:メンタル面について色々とお伺いしましたが、科学的な面でもお聞きしたいと思います。もしスポーツをする上であらゆる数値が「見える化」されたら役立つと思いますか?

小椋:そうですね、使い方次第だと思います。例えば試合前で緊張している時。「この前の試合とどっちが緊張しているのかな?」とふと考えたときに感覚じゃなくてデータで分かると役に立ちそうですよね。「この前よりは緊張していないな〜」とか比較ができそう。

 

編集部:データが「見える化」することによって、試合に入る前の事前準備も変わりますよね、きっと。

小椋:そうですね。試合の運び方とか予測つけやすいかなと思いますし、適確な自己分析にもなりそうです。負ける選手って自己分析できていない選手が多いのではないかと思うんですよ。私も昔はがむしゃらに向かっていくタイプだったので(笑)そういう時って怖いもの知らずだから、それで勝っているうちはいいんです。でも、躓くときが必ず来るんですよ。その時に自己分析ができないと何度も同じ過ちを繰り返してしまうだけ。自分の課題をしっかり理解して対策を考えていくことで安心感に繋がるんです。だから、データの「見える化」は自己分析の手助けをしてくれるという意味ではすごく良いと思います。

 

編集部:バイタルサインとか心拍数とか…。そういったデータは現役の時に記録したことはないんですか?

小椋:ありませんでしたね。トレーニングでどれだけ脈拍が上がった…とかそれくらいです。あとは血糖値や脈拍も測りましたね。

 

編集部:その時に計測されたデータは何かに活かしましたか?

小椋:たしかに自分を客観的に見るきっかけにはなりました。例えば私の場合、すごく息が上がりやすいんです。なぜかというと、鼻でなく口呼吸をしていたからなんですけど。口で呼吸をするから息が上がっているように見えるのに脈拍は平常だったりするんです。それから脈拍が200まで上がってしまっても私は走れるタイプだということが分かって。普通の人が限界だと思うさらに上を実はいける人だった…というのがデータから分かりました。脈拍が上がる・落ちるのデータを分析することで、新しい自分の強みを知ることができました。

 

編集部:それってスポーツ選手としては大きな強みになりますよね。

小椋:はい。自分の身体と向き合うことで安心感もあるし自信にも繋がります。「脈拍が上がってもすぐに落ち着く。だから次のラリーにもそこまで支障は出ない」そんな風に判断できるようになるんです。これってすごいことですよね。データの「見える化」はある意味、自分の安心材料になるのだと感じます。

 

 

国による選手のメンタル面の違いから、スポーツをする上での自己分析について現役時代を振り返りながら語ってくれた小椋さん。

ラストの次回は未来に向かって小椋さんが今考えていることをインタビュー。どうぞお楽しみに。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部


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