心の不調を訴える人たちに共通する口癖は「どうせ」「だめだ」「むり」などネガティブワード

 生活者の“健康と暮らし”に関する情報を発信するポータルサイト「マイライフニュース」を運営するヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社(所在地:埼玉県さいたま市、代表取締役:長 誠)では、コロナ禍における “心の健康”の実情や適切な対処法を知るため、全国医師1000名を対象にアンケート調査を行いました (実施時期:3月29日~4月1日)。
  • 調査サマリー
  1. コロナ禍以前と比べて心の不調を抱える患者は増加傾向と95.6%が回答
  2. 心の不調の原因TOP3は「コミュニケーション不足」「職場環境」「家庭環境」
  3. 心の不調を抱える患者は30~40代に多く女性の割合が高い傾向
  4. 共通の口癖は「どうせ」「だめだ」「むり」などネガティブな言葉が上位
  5. 心の不調の改善には「胃の健康が重要」と9割以上の医師が回答
  6. 「胃の健康が脳へ良い影響を与える」と考える医師は9割超
  7. 「セルフケア」には「十分な睡眠」を推奨
  8. 「心トレ法」には「ノートへの書き出し」や「会話」を提案
  9.  心の不調改善に勧める食材の1位は「ヨーグルト」

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は、生活者の心の健康にも大きな影響を及ぼしています。今回、コロナ禍以前と比べて「心の不調を抱える人が増えている」と回答した医師は9割以上に達しました。性年代別では30~40代女性の割合が高く、心の不調を抱える人に多い口癖は、「どうせ」「だめだ」「むり」というネガティブな言葉が上位に挙がりました。また、心の不調を抱える人の半数以上が胃の不調を訴えており、「心の不調の改善には胃の健康が重要である」と96.1%の医師が回答しました。この結果を受けて、「ひめのともみクリニック」院長の姫野友美先生に、胃と脳の関係について話を聞きました。

  • アンケートの主な結果(一部抜粋)

コロナ禍以前と比べて心の不調を抱える患者は増加傾向と95.6%が回答
Q 心の不調を抱える患者さんはコロナ禍以前より増加傾向にあると思いますか。(単一回答)(n=1000)

新型コロナの感染拡大前と比べて、心の不調を抱える患者は増加傾向にあると思うかを聞いたところ、95.6%の医師が「増加傾向にあると思う」(とても思う51.0%+やや思う44.6%)と回答しました。新型コロナの影響で、心の不調を訴える人が増えている実態が、医師への調査で明らかになりました。

心の不調の原因TOP3は「コミュニケーション不足」「職場環境」「家庭環境」
Q 前項で「とても思う、やや思う」と回答した方へお聞きします。
患者さんの心の不調の原因で多いものをすべて教えてください。(複数回答) (n=965)

 

心の不調を抱える患者が「増加傾向にある」と回答した医師に、心の不調の原因として多いものを聞くと、1位「コミュニケーション不足」(47.6%)、2位「職場環境」(45.3%)、3位「家庭環境」(44.9%)という結果となりました。この上位3つの原因が40%を超える回答を集めており、リモートワークへのシフトや子どもの休校など、コロナ禍で職場や家庭環境が変化したことが心の不調につながっているものと思われます。

心身症の病態で多いのは「呼吸器・アレルギー系」「消化器系」「神経筋肉系」
Q 先生の患者さんで当てはまる病態を教えてください。(複数回答) (n=1000)

心身症と診断された患者の病態について、あてはまるものを聞いてみると、「呼吸器・アレルギー系」(33.2%)、「消化器系」(31.1%)、「神経筋肉系」(30.2%)、「内分泌・代謝系」(30.1%)の4つの病態に回答が集まり、それぞれ3割を超えました。

心の不調を抱える患者は30~40代に多く女性の割合が高い傾向
Q 心の不調を抱える患者さんで多い性年代を教えてください。(複数回答)(n=1000)

心の不調を抱える患者の性年代別の割合を見ると、男性では40代(27.1%)、30代(25.9%)、50代(21.1%)の順、女性では30代(40.1%)、40代(35.6%)、20代(31.4%)の順となり、男女とも30~40代で患者が多いことがわかりました。男女の割合を比べると、全年代で女性の方が高く、男性よりも心の不調をきたしやすいことが示唆されました。

共通の口癖は「どうせ」「だめだ」「むり」などネガティブな言葉が並ぶ
Q 心の不調を抱える人の口癖で多いのはなんですか。(複数回答) (n=1000)

「心の不調を抱える人の口癖で多いのはなんですか」という質問では、「どうせ」(40.4%)、「だめだ」(31.8%)、「むり」(30.7%)、「でも」(28.9%)、「だって」(28.7%)が上位に挙がりました。医師との会話の中でも、ネガティブな言葉が多く使われていることが伺えます。

心の不調を抱える患者の2人に1人以上が胃の不調も抱えている
Q 心の不調を抱える患者さんで、胃の不調を訴える方の割合を教えてください。(単一回答)(n=1000)

心の不調を抱える患者の中に、胃の不調を訴える人はどのくらいいるのか聞いたところ、「2人に1人」(21.5%)、「3人に2人」(21.4%)、「4人に3人」(10.1%)、「ほぼ全員」(7.5%)を合わせ、半数以上の医師が「2人に1人以上」と回答しました。心の不調を抱える患者は、胃の不調にも悩まされている実態が浮き彫りとなりました。

心の不調の改善には「胃の健康が重要」と9割以上の医師が回答
Q 心の不調の改善に胃の健康は重要であると思いますか。(単一回答)(n=1000)

心の不調を改善するために、胃の健康は重要なのかを聞いてみると、「重要であると思う」(「とても思う」(41.7%)+「やや思う」(54.5%))と回答した医師が9割以上(96.2%)を占めました。ほとんどの医師が、胃の健康を維持することは、心の健康にもつながると考えていることがわかりました。

「胃の健康が脳へ良い影響を与える」と考える医師は9割超
Q 胃の健康が自律神経を介して脳へ良い影響を与えると思いますか。(単一回答)(n=1000)

「胃の健康が自律神経を介して脳へ良い影響を与えると思いますか」という質問でも、9割以上(92.9%)の医師が「与えると思う」(「とても思う」(32.8%)+「やや思う」(60.1%))と回答しました。胃と脳は自律神経でつながっており、心の健康にも深く関係していることが伺える結果となりました。

3人に1人の医師が心の治療法として「食事療法」も重視
Q 心の不調を抱える患者さんに対して、重視している治療法をすべて教えてください。(複数回答) (n=1000)

心の不調を抱える患者に対して重視している治療法を聞くと、「自律訓練法」(35.9%)、「食事療法」(34.9%)、「マインドフルネス/瞑想療法」(32.5%)、「薬物療法(漢方薬も含む)」(30.7%)が上位に挙がりました。3人に1人の医師が、心の治療法として「食事療法」も重視していることがわかりました。

「セルフケア」には「十分な睡眠」を推奨
Q 心の不調を抱える患者さんに勧めたいセルフケアの方法を教えてください。(複数回答) (n=1000)

心の不調を抱える患者に勧めたいセルフケアの方法について聞いてみると、最も多かった回答は「十分な睡眠」で34.2%。次いで、「運動」(26.7%)、「胃を温める」(26.2%)、「腸を温める」(26.0%)、「食事」(25.8%)の順となりました。

「心トレ法」には「ノートへの書き出し」や「会話」を提案
Q 心の不調の患者さんに勧めたい心のトレーニング方法を教えてください。(複数回答) (n=1000)

心の不調を抱える患者に勧めたい心のトレーニング方法を聞いたところ、1位は「思っていることをノートに書き出す」で36.3%となりました。2位以下は、「積極的に誰かと会話をする」(33.9%)、「食事内容を意識する」(30.9%)、「否定的な言葉をやめる」(30.6%)と続きました。

心の不調改善に勧める食材の1位は「ヨーグルト」
Q 心の不調を抱える患者さんに勧めたい食材を教えてください。(複数回答) (n=1000)

心の不調を抱える患者に勧めたい食材を聞くと、TOP3は、1位「ヨーグルト」(32.2%)、2位「納豆」(22.3%)、3位「高カカオチョコレート」(20.0%)となりました。4位以下は、「オリーブオイル」(19.8%)、「ナッツ」(19.8%)、「豆腐」(19.4%)、「野菜」(19.3%)が僅差で並びました。1位の「ヨーグルト」は、胃で働く乳酸菌を含む商品も発売されており、心の不調改善に役立つ食材として、多くの医師が推奨していることがわかりました。

避けた方が良い習慣は「不規則な食事」「偏食」「アルコール」が上位
Q 心の不調に陥らないために避けた方が良いと思う習慣を教えてください。(複数回答) (n=1000)

心の不調に陥らないために避けた方が良いと思う習慣について聞いてみると、「不規則な食事」(37.4%)、「偏食」(33.9%)、「アルコール」(32.6%)、「過食」(30.5%)と、食事に関連する項目が上位を占めました。心の健康を保つためには、日々の正しい食習慣が大切であることが示唆される結果となりました。

調査名:「心の健康実態調査」
調査対象者:20代~60代全国の男女、医師(心療内科医、精神科医、内科医)
調査手法:インターネット調査
※グラフのパーセンテージは四捨五入されているため合計値が100にならないものがある
調査時期:2022年3月29日(火)~2022年4月1日(金)

  • 医師のコメント

姫野 友美 先生(ひめのともみクリニック 院長)

東京医科歯科大学医学部卒業、九州大学医学部付属病院、北九州市立小倉病院、麻生飯塚病院、愛風会さく病院、Mayo clinic Emergency Room(U.S.A) Visiting Clinician、東京都立広尾病院、木原病院、テーオーシービル診療所、女性のための生涯医療センターViVi勤務を経て、2005年 ひめのともみクリニック 開設。2006年 日本薬科大学 漢方薬学科 教授就任(21年まで)。日本心身医学会専門医(代議員)。日本東洋医学会専門医。日本心療内科学会登録医(評議員)。麻酔科標榜医。日本オーソモレキュラー医学会理事。テレビ・ラジオ・雑誌などメディアに多数出演。

コロナ禍で心の不調を抱える人が増えている理由とは?
今回の調査では、9割以上の医師が、新型コロナの感染拡大後、心の不調を抱える患者さんが増加傾向にあると回答しました。実際に私のクリニックでも、コロナ禍で心の不調を訴える患者さんは増えています。その理由としては、緊急事態宣言による外出自粛や行動制限など閉塞的な日々が続いたことで、疎外感や拘束感、孤独感を感じるようになったことです。
特に、最も割合が高かった30~40代女性は、子育て世代であり、学校が休校になったことで一日中、子どもの面倒をみなくてはなりません。また、夫もリモートワークで家にいるようになり、毎日毎食、家族全員の食事を作るなど家事の負担も増大します。その結果、自分の時間がほとんどなくなり、家庭内の不協和音が生じ、心の不調を引き起した人が多いと思われます。

心の不調を抱えている人の口癖がネガティブになるのはなぜ?
心の不調を抱える人の口癖では、「どうせ」「だめだ」「むり」「でも」「だって」など、ネガティブな言葉が並びました。これは、心の不調を抱えていると、何をするにも思考パターンがマイナス思考に陥りやすい状態にあるからです。そのため、つい口癖として、ネガティブな言葉が出てしまうと考えられます。こうした言葉を親が家庭で使っていると、子どもも思考パターンが似てくることがあるので注意が必要です。

「心の不調」と「胃の健康」はどのように関係している?
調査結果にも出ていましたが、「心の不調」と「胃の健康」は、自律神経を介して密接に関係していると考えられています。脳内には自律神経の中枢があり、胃や腸などの内臓諸器官は自律神経の支配を受けています。このため、心の不調によって自律神経のバランスが崩れると、胃の消化機能がうまく働かなくなり、胃もたれや胃痛など、さまざまな症状が現れます。一方で、胃の調子が良い状態では、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌が促されます。ドーパミンには、意欲の向上、集中力アップ、ポジティブ思考などの作用があり、心や身体に良い影響を与えるといわれています。このような「胃脳相関」の関係から、心の不調改善には、胃の健康が重要であるといえます。

「ジューン・シック・シンドローム」に要注意!
ゴールデンウィーク明け頃から心の不調を訴える人が増えてくることで「五月病」という言葉がよく使われますが、私のクリニックでは以前より、6月から7月にかけて心身の不調を訴える患者さんが急増する傾向にありました。そこで、私はこの症状を「ジューン・シック・シンドローム」と名付け、注意を呼びかけています。4月から進学や就職など新生活が始まって、5月まではなんとか乗り切れたものの、その間に多くのエネルギーを消費し、さらに湿気の多い梅雨時期も重なって、6月以降に急速に、心身の不調に陥ってしまうケースが増えるのです。「ジューン・シック・シンドローム」を防ぐためには、5月を頑張りすぎず、十分栄養をとって、自分のペースを守りながら、6月に向けてしっかりエネルギーチャージしておくことを推奨しています。

心の不調を改善するための食生活のポイントは?
今回の調査結果でも、医師が勧めたいセルフケアの上位に挙がっていましたが、心の不調を改善するためには、「睡眠」「運動」「食事」の3つの生活習慣を見直すことが大切です。この中でも、胃の健康と関連の深い「食事」のポイントとしては、まずタンパク質をしっかり摂ることです。タンパク質は、ドーパミンやセロトニンなど自律神経を整える脳内神経伝達物質の原料になります。そして、朝8時から9時までに朝食をとることも大切です。ストレス対抗ホルモンであるコルチゾールは、朝8時頃にピークを迎えます。そのため、このタイミングで朝食をとって体の代謝を上げることで、ホルモンと代謝のリズムが一致して、一日の生活をスムーズに始めることができます。

心の健康を保つための朝食メニューとして、私がおすすめしているのが「朝スープ」です。スープは、胃が温まり、消化も良く、簡単に作れるので忙しい朝にピッタリ。さらに、スープに野菜や卵を入れて具だくさんにすれば、栄養もしっかり補給することができます。特に、卵には良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素が含まれています。また、医師が勧めたい食材で第1位となった「ヨーグルト」を朝食に取り入れるのもおすすめです。


 

掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部