仕事の後の夜時間の過ごし方。バリエーションが多様なほどプライベート充実度が高い傾向
調査対象:全国の20代〜50代の会社員800名 調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年11月22日(月)~11月23日(火)
※調査結果の数値は小数点以下を適宜四捨五入して表示しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合があります。
※調査結果をご紹介いただく際は、「夜タメ総研調べ」と注釈をご記載ください。
- 本リリースサマリー
■PART.1|コロナ禍で会社員の夜の過ごし方に変化
・コロナ禍以降、会社員の26.6%が帰宅時刻または終業時刻が早くなった。その時間平均約70分。
・コロナ禍前と比較すると、終業後に外に遊びに行く機会は週1.2回から週0.6回に半減。
■PART.2|夜の過ごし方の変化による影響
・終業後に外に遊びに行く機会が減ったことによる精神的な変化、1位は「ストレスが溜まる」
・仕事への影響、1位は「やる気、モチベーションが下がった」
■PART.3|4人に1人が自宅でやることがない“帰宅後難民”!?
・帰宅後の過ごし方、コロナ禍前の1位は「家族や友人との食事」、現在の1位は「動画視聴」
・24.6%の人が「平日の帰宅後or終業後、自宅でやることがなくて困る」“帰宅後難民”状態
■PART.4|夜の過ごし方とプライベート満足度
・夜時間の過ごし方のバリエーションが多様なほどプライベート充実度が高い傾向
・今後始めてみたいこと1位「スポーツ」、魅力的に感じること1位「動画視聴」
■PART.5|コロナ禍で“宅ガケ”(=自宅でのギャンブル)を始める人も
・夜の過ごし方による変化で最もストレスを溜めていない20代男性が自宅で始めていたこと、
多年代と比較して特徴的なのは「勉強」と「ギャンブル」
・ギャンブルの中では、「パチンコ/スロット」「競馬」に続いて「競輪」が“気軽にできそう”
・夜に限ると、“帰宅後難民”が多かった30代男性は「ミッドナイト競輪」、
20代女性は「ミッドナイトボートレース」が“気軽にできそう”と感じる
■PART.6|ナイトタイムエコノミーの専門家・齋藤貴弘先生が考える夜ならではの豊かさ
- PART.1|コロナ禍で会社員の夜の過ごし方に変化
・コロナ禍以降、会社員の26.6%が「帰宅時間または終業時刻が早くなった」と回答
会社員の人に、新型コロナウイルス感染症流行前と比較して、現在の平日の平均帰宅時刻(リモートワークの場合は終業時刻)がどうなったか聞いてみたところ、8.5%が「かなり早くなった」、18.1%が「やや早くなった」、合計26.6%が「早くなった」と回答しました。また「早くなった」と回答した人にどのくらい早くなったか調査したところ、コロナ禍前よりも平均69.4分帰宅や終業時刻が早くなっていることがわかりました。
・コロナ禍前と比較すると、終業後に外に遊びに行く機会は週1.2回から週0.6回に半減
終業後、夜の時間帯の外出を伴うプライベートの予定は、コロナ禍前と現在で比較すると、57.5%が「減った」と回答。その回数についても聞いてみたところ、コロナ禍前の外出を伴うプライベートの予定は週に平均1.2回でしたが、コロナ禍後は週0.6回となり、およそ半減していることがわかりました。
- PART.2|夜の過ごし方の変化による影響
・終業後に外に遊びに行く機会が減ったことによる精神的な変化、1位は「ストレスが溜まる」
コロナ禍前と比較して平日夜の外出を伴うプライベートの予定が「減った」ことで精神面でどのような影響があったか聞いてみたところ、「自分や家族に向き合うようになった」等のポジティブな変化もあったようですが、最も多かった変化は「ストレスが溜まるようになった」35.9%でした。時間的な余裕ができた一方で、これまで発散できていたストレスの行き場がなくなってしまった人も多いようです。
・仕事への影響、1位は「やる気、モチベーションが下がった」
今度は仕事面でどのような変化があったか聞いてみたところ、平日夜の外出を伴うプライベートの予定が減ったことによる影響の1位は「やる気、モチベーションが下がった」33.0%でした。続いて「生産性が下がった」11.1%、「効率性が下がった」8.3%、「創造性が下がった」6.5%という結果になり、仕事に関してはすべての項目でポジティブな影響をネガティブな影響が上回りました。
- PART.3|4人に1人が自宅でやることがない帰宅後難民!?
・帰宅後の過ごし方、コロナ禍前の1位は「家族や友人との食事」、現在の1位は「動画視聴」
平日の帰宅後or終業後の夜の時間帯に余暇として自宅でしていること、コロナ禍前は「家族や友人、恋人との食事」55.4%が最多で、続いて「ショッピング」43.1%という結果でしたが、現在は「インターネットなどの動画視聴」46.6%が1位、2位は「ネットサーフィン」43.4%という順になり、コロナ禍前後でランキングは様変わりしました。
・4人に1人は「平日の帰宅後or終業後、自宅でやることがなくて困る」“帰宅後難民”!?
平日の帰宅後or終業後、自宅でやることがなくて困ることが「頻繁にある」3.4%、「たまにある」21.4%で、合計24.6%の人が“帰宅後難民”といえる状態にあることがわかりました。性/年代別に見ると、男性では30代、女性では20代に“帰宅後難民”が多いようです。
- PART.4|夜の過ごし方とプライベート充実度
・夜時間の過ごし方のバリエーションが多いほどプライベート充実度が高い傾向
平日終業後の夜の時間帯におけるプライベートの充実度は、全体平均で10点満点中5.6点でした。これを、平日夜に余暇としてしていることの種類(「家族や友人、恋人との食事」や「インターネットなどの動画視聴」など)の数で比較してみたところ、余暇としてしていることの種類が5種類以下の人のプライベート充実度は5.4点で、6種類以上の人の充実度は6.3点と、1点近くの差があることがわかりました。平日夜の充実度アップには、新しいことにチャレンジして、過ごし方のバリエーションを増やしてみるのもいいかもしれません。
・今後始めてみたいこと1位「スポーツ」、魅力的に感じること1位「動画視聴」
では新たに始める夜時間の過ごし方として、どんなことに興味があるか調査したところ、今後始めてみたいと思うことの1位は「スポーツ」14.4%で、魅力的に感じること1位は「インターネットなどの動画視聴」23.3%という結果になりました。夜の過ごし方のトレンドとして「スポーツ」と「動画視聴」がキーワードになってくるのかもしれません。
- PART.5|コロナ禍で“宅ガケ”(=自宅でのギャンブル)を始める人も
・夜の過ごし方による変化で最もストレスを溜めていない20代男性が自宅で始めていたこと、
多年代と比較して特徴的なのは「勉強」と「ギャンブル」
PART.2で述べた通り、平日夜の外出を伴うプライベートの予定が減ったことで35.9%の人が「ストレスが溜まるようになった」と回答しました。これを性/年代別に見ると、20代の男性が最も「ストレスが溜まった」割合が少ない(28.6%)ことがわかりました。なぜ20代男性は夜の過ごし方が変わってもストレスを比較的溜めずに済んでいるのか。彼らがコロナ禍以降の平日夜に自宅で何を始めたのか見てみたところ、他の性/年代と比較して特徴的(具体的には全体平均より6ポイント以上高い)だったのは「自宅で勉強」と「自宅でギャンブル」=“宅ガケ”ということがわかりました。これらが20代男性の夜のストレスを解消している要素のひとつなのかもしれません。
・ギャンブルの中では、「パチンコ/スロット」「競馬」に続いて「競輪」が“気軽にできそうと感じる”
ギャンブルの中で“気軽にできそうと感じる”のは、 1位「パチンコ/スロット」「競馬」に続いて「競輪」という結果になりました。
・夜に限ると、“帰宅後難民”が多かった30代男性は「ミッドナイト競輪」、20代女性は「ミッドナイトボートレース」が“気軽にできそう”と感じる
では、“帰宅後難民”にとって課題である夜についてはどうでしょうか。夜のギャンブルについて、PART.3で他の性/年代と比較して帰宅後難民の割合が高かった30代男性と20代女性について見てみると、30代男性は「ミッドナイト競輪」、20代女性は「ミッドナイトボートレース」が最も“気軽にできそう”と感じているという結果になりました。
【ミッドナイト競輪について】
ミッドナイト競輪はほぼ毎日夜8時半〜11時半までおこなわれる、新しい夜のエンターテイメントです。通常の競輪とは違い、7車立てで「予想しやすく」、「気軽に楽しめる」のが特徴です。 競輪アプリWINTICKETでは、競輪初心者の方向けにオリジナル番組「WINTICEKTミッドナイト競輪」を毎日生放送しています。
参考: https://www.winticket.jp/
- PART.6|ナイトタイムエコノミーの専門家・齋藤貴弘先生が考える夜ならではの豊かさ
数年前まで日本の法律で、夜、お酒とともにダンスや音楽を提供することが強く規制されていましたが、それは夜に対するネガティブな印象が根強くあったからでしょう。コロナ禍でも夜の街は諸悪の根源として吊し上げられました。
しかし、実際のところ皆にとっての夜はどんな場なのだろう。夜の様々な営業を規制する風営法改正にかかわり、改正後はナイトタイムエコノミーを推進してきた立場として、“夜の過ごし方に関する調査レポート”を興味深く拝見しました。
4人に1人が平日夜の帰宅後にやることがなくて困る= “帰宅後難民”というのは、コロナ禍以降に帰宅や終業が早まった人が一定数いること、また外出を伴う夜の予定が減ったことからも納得の結果かと思います。
夜は多様な交流の場、そして様々な文化が生まれる創造的な場でもあります。そんな夜ならではの体験は日中の活力にもつながっていくでしょう。夜の外遊びが減ったことで「ストレスが溜まった」という人が35.9%いることからも、それがわかりますね。昼間の肩書きや立場を取り払ってくれる夜は、私たちに偶然に満ちた出会いをもたらしてくれるし、昼間とは違う素敵な雰囲気で演出してくれます。人との距離は近くなり、街はより親密度を増していくのが夜の面白さだと感じます。
また自分の時間に没頭できるのも夜の特徴です。昼間の仕事から解放された後の自分だけの時間。趣味に没頭しても、ゲームや動画に興じてもいい。夜は経済合理性や生産性といった指標を切り離してくれると同時に、自分らしい時間に導いてくれる。実はそれは、とても豊かで創造的なことなんだと思います。
ぜひ“帰宅後難民”状態の方には、自宅での夜の楽しみを方を増やしてほしいと思います。その選択肢としては「スポーツ」や「動画視聴」などが人気のようですね。また、夜の外遊びが減っても比較的ストレスを溜めていない20代男性は「自宅で勉強」や「自宅でギャンブル=“宅ガケ”」を楽しんでいるのが特徴のようです。今までやったことがない種類の楽しみ方を発見するのもナイトタイムの充実につながるかもしれません。
新しい夜の可能性を垣間見ることができ、これからの夜の再起動、そこに広がる夜の風景がとても楽しみになる調査レポートでした。
齋藤貴弘
Field-R法律事務所弁護士、ナイトタイムエコノミー推進協議会代表理事
弁護士として文化芸術、エンターテイメント領域を中心とした法務コンサルティングを行うとともに、各種事業や文化を推進していくためのルール整備や政策提言を行う。著書に“ルールメイキング: ナイトタイムエコノミーで実践した社会を変える方法論(学芸出版社)”
- 夜タメ総研について
新型コロナウイルス感染症の流行は夜の過ごし方を大きく変化させました。
飲食店の時短営業や閉鎖といった外的要因に加え働き方や生活の変化による生活者の意識の変化も大きな要因です。
そんなライフスタイルの変化、特に夜の過ごし方に焦点を当て
With/Afterコロナの新しい夜のエンターテイメントを 調査・研究するのが夜タメ総研です。