ファイナンシャルウェルネスとは?日本は7割が老後の資産計画に不安。アジア・太平洋地域で最多
● 日本の特徴として、老後の計画を重要視する傾向も明らかに
世界の金融機関向けにデジタルバンキングプラットフォームを提供するBackbase(本社:オランダ・アムステルダム)は、「アジア太平洋地域におけるファイナンシャルウェルネス(※1)に関する意識調査」(※2)の結果を発表しました。本調査からは、アジア太平洋地域におけるリテールバンキング(個人向け金融サービス)の利用者が、資産管理やデジタルバンキングの利用に関して、新型コロナウイルス禍によって変化した意識も踏まえ、複数の課題を感じていることが明らかとなりました。また、日本の特徴として、老後の資産計画を重要視している傾向などが分かりました。調査結果からは、今後デジタルトランスフォーメーション(DX)が銀行業界の新たな競争力となっていくことが推測されます。
今回の調査で明らかになった主なポイントは、以下の通りです。
- 1. リテールバンキングの利用者が直面している5つの課題
アジア太平洋地域では、デジタル技術の発展に伴い、金融サービスのデジタル化が急速に進んでいます。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、個人の資産管理やデジタルバンキングの必要性が浮き彫りになった一方で、銀行の実店舗の閉鎖が進んだことから利用者は、十分な金融サービスが受けられていないと感じています。
本調査を通して明らかとなった、リテールバンキングの利用者が直面している主な課題は、以下の通りです。
● 貯蓄の目標が達成できない:アジア太平洋地域における利用者の69%が貯蓄を増やすことに難しいと感じており、長期的・短期的な貯蓄目標や負債返済目標に達成できないでいる
● すべての年齢層で心理的に困難な資産管理に直面している:金融リテラシーが比較的低い地域では、資産管理にストレスを感じる傾向がある一方で、日本・シンガポール・オーストラリア・ニュージーランドでは、利用者が心理的な困難を感じることが少なく、十分な情報にアクセスできていると感じている
● 信頼できる資産管理の情報をどこで入手したらよいか分からない:利用者は、資産管理の情報を、ニュースやSNSでまず探す傾向があり、信頼できる情報源を知っていると答えたのは、14%のみ
● 銀行が利用者個人の利益のために行動するとは思っていない:40%の利用者は、銀行が個人の資産管理のために最善の行動をとると確信しておらず、政府機関の方により高い信頼を置いている
● デジタルバンキングの体験に満足していない:利用者の半数しか、資産管理ツールに満足しておらず、さらに、33%の利用者は、銀行アプリが各個人に推奨する資産管理方法に満足していないと回答した
- 2. デジタルツールを活用した個人による資産管理の潮流
アジア太平洋地域は、デジタル化に対する知識や金融リテラシーのレベルが異なっており、各市場の状況を踏まえると、リテールバンキングのサービスを画一的に提供することが困難になっています。一方、利用者は、デジタル化の進展や個人の資産管理に活用できる多くの選択肢によって、期待感や要求が高まりを見せています。
アジア太平洋地域は世界最大級の富裕層を抱えており、2025年には30兆米ドル近い資産を運用することが見込まれています。このことからも同地域は、リテールバンキングのサービスや資産運用管理の分野で最も急速に成長している地域の一つであると言えます。
本調査では、デジタルバンキングや資産管理の現状として、以下の点が明らかになりました。
● 利用者が求める個人資産管理ツールと銀行が優先しているツールとのミスマッチ
● レガシーシステムと組織のサイロ化が妨げているデジタルバンキングの取り組み
● 従来のリテールバンキングのサービスが直面する新規参入業者との競争
● 資産管理向上によるチャネルの最適化、顧客体験とブランド認知度の向上、投資の増加
- 3. 日本の利用者の特徴:老後の資産計画を重要視する傾向に
本調査では、調査対象となった各国の特徴も分析されました。日本の特徴としては、以下のポイントが上がりました。
● 銀行による金融サービスに一定の満足度はあるものの、資産管理ツールへの信頼度は依然として高くない:資産管理のための商品・サービス・体験に関して、日本の利用者の73%が「満足」もしくは「非常に満足」と回答し、アジア太平洋地域の中で最も高い満足度が見られた。しかし、資産管理ツールを利用することに関心がないグループの内の51%が、そのようなツールを信頼していないと回答した
●老後の資産計画を重要視する傾向が顕著である:71%の回答者が、老後の資産計画に不安に感じており、アジア太平洋地域の中で最も高い割合となった。さらに、日本の利用者の半数しか、老後のためにどのように貯蓄すればよいか分かっていないことが明らかとなった
● PFM (Personal Financial Management、個人資産管理)ツールやサービスに優先的に取り組む必要がある:日本の80%の利用者が自身の資産を管理する上で、銀行によるPFMツールやサービスが非常に重要であると考えており、回答者の69%が過去1年以内に銀行のウェブサイトやモバイルアプリを活用したと答えた
Backbaseの日本法人Backbase Japan株式会社(本社:東京都港区)の代表取締役社長であるジェイソン・リーは、次のように述べています。
「今回の調査で、アジア太平洋地域の利用者が直面している金融サービスや資産管理の課題、金融界のDXの現状が明らかになりました。銀行は、お客様のデータを基に、潜在的なニーズを把握しサービス向上に挑み続けなくてはならないと同時に、お客様に絶えず情報を提供し、個々に合った資産管理方法を提案していかなければいけません。それら全てを整合性のとれた形で実現するためには、金融サービスに特化した一元化されたプラットフォームを活用して、お客様にとっても行員にとっても、満足度の高いユーザー体験を提供することが必要であると考えます。今、金融業界に求められている高いレベルのDXは、プラットフォームを起点に推し進められていくべきです」
※1:ファイナンシャルウェルネス
金銭的な不安がなく、日々や老後の暮らしが過ごせるという経済的な安定性を意味しています。収入・支出管理や、AIを利用した投資アドバイス等のアプリも、ファイナンシャルウェルネスを高めるために生まれサービスと言えます。
※2:「アジア太平洋地域のファイナンシャルウェルネス意識調査」
本調査は、Backbaseが米調査会社のForrester Consultingに委託し、アジア太平洋地域の10カ国(日本、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、インド、マレーシア、シンガポール)のリテールバンキング利用者900名と金融機関幹部等450名を対象に、2021年2~3月に実施した調査です。本調査レポート「State of Banking and Financial Wellness」の全文(英語)は、こちらからご覧いただけます。
<Backbaseについて>
Backbaseは、金融機関がお客様との信頼関係、及びエンゲージメントを高めるために、バンキングシステムを変革することをミッションに掲げています。
Backbaseの Engagement Banking Platformは、リテールから法人、資産運用まで、あらゆる事業を単一のプラットフォームによりサポートします。またプラットフォームはデジタルセールスから日々の銀行業務まで、金融機関のお客様と従業員双方に、シームレスかつ魅力的な体験を提供できるよう設計されています。
Backbaseは2003年にオランダで設立され、現在アムステルダム、アトランタ、ニューヨーク、ロンドン、ムンバイ、シンガポール、東京に拠点を置いています。バックベースは市場調査会社のフォレスターやオーバム、セレントから業界のリーダーとして評価されているほか、これまでシティバンク、HSBC、バークレイズ、ゴールドマン・サックスなどの世界150以上の大手金融機関に対して、プラットフォームを提供してきた実績があります。
Backbase Engagement Banking Platformは、以下を含む金融機関にご利用いただいています:
AIB, Barclays, Banamex, Bank United, Bank of the Philippine Islands, BNP Paribas, Bremer Bank, Islands, Citibank, Citizens Bank, CheBanca!, Discovery Bank, Greater Bank, HDFC, IDFC First, KeyBank, Lloyds Banking Group, Metrobank, Navy Federal Credit Union, PostFinance, RBC, Société Générale, TPBank, Vantage Bank Texas, Westpac
より詳しい情報はバックベースのホームページ(www.backbase.co.jp ) をご覧ください。