「お笑い」で心理的安全性の高い組織作りへ!「笑育(わらいく)」研修で自己開示率の向上等を確認
松竹芸能株式会社(本社:大阪府中央区、代表取締役社長:関根 康 以下、松竹芸能)、株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳 圭一郎 以下、NTTデータ経営研究所) 、株式会社Oruche(本社:東京都大田区、代表取締役社長:上田 純也 以下、Oruche)は、松竹芸能が事業運営をしている体験型コミュニケーション研修プログラム「笑育(わらいく)」の効果・効能を、脳科学の観点から検証を行いました。その結果、以下の通り「笑育」がコミュニケーションスキルの向上効果を示すことが分かりました。
- 自己主張スキルが27.2%向上注1
- 同性初対面の人に対する欠点の自己開示が51.2%向上注1
- 同性の仲の良い友だちに対する、ネガティブな面の自己開示が30%程度向上注1
本結果は「組織の一体感が増した」「人と打ち解け合うことが楽になった」など、これまでに多く寄せられていたお客様の声を科学的に検証できたことを示唆しています。
今後は、本検証の詳細報告を目的としたオンラインイベントを皮切りに、企業・学校・自治体と連携し、笑育サービスの拡大とデータ収集によりエビデンスの更なる獲得を推進します。また、コミュニケーションスキルを含む非認知スキル向上を目的とした教育・研修サービスの効果効用の検証支援も展開していきます。
非認知スキル向上を目的とした教育・研修サービスの効果効用の検証の普及を通じて、子供・学生・従業員などの育成、新たな教育ビジネスの創出を行い、人財育成を通じて中長期的な日本産業の発展に貢献していきます。
【背景】
人工知能(AI)技術をはじめとした情報技術(IT)の加速度的な進展、グローバリゼーションの加速、新型コロナウイルスの感染拡大など、現代社会は変化に富む不確実性の高い時代になっています。このような時代では、学力テストやIQテストで高い成績を収められるようなスキルだけでなく、課題を発見・定義・解決できるスキル、自分にはないスキルや知識をもつ他者とコミュニケーションをとり新たな価値を創出するスキル、自ら設定した目標やゴールを達成するために粘り強く取り組みやり抜くことができるメンタルタフネスなど、新たなヒューマンスキルが必要不可欠です。これらのスキルは“非認知スキル”と呼ばれており、次世代の教育において重要な能力として注目を集めています注2。
松竹芸能では、非認知スキルの中でも特に重要なスキルとされる「コミュニケーションスキル」に着目。同社の最も大きな提供価値である「笑い」の要素を組み合わせた教育・研修サービス「笑育」を開発し、これまでに100社以上の企業、100校以上の教育機関に提供しています。本サービスの参加者からは、「コミュニケーションスキルが向上した」「職場や学校での人間関係が円滑になった」などのコメントが多数寄せられており、本サービスの有効性が支持されています。
しかし、笑育がコミュニケーションスキルや心身の健康等にあたえる効果・効用に関する定量的な研究はこれまで実施されておらず、上記のコメントを裏付けるエビデンスは存在しませんでした。
そこで、笑育の効果・効用に関するエビデンス獲得、ならびに非認知スキルを対象とした教育・研修サービスの普及を目的として、笑育の企画・運用を行う松竹芸能、脳科学の見地から科学的な効果・効用検証コンサルティングを行うNTTデータ経営研究所、心理学に基づく各種アプリケーションの開発を行うOrucheが連携し、笑育の効果・効用に関する科学的研究を開始いたしました。
実証研究の第一弾として、これまでに実施した笑育のデータから笑育の効果・効用に関する分析を行いました。
【体制と役割】
松竹芸能:笑育の企画・運用
NTTデータ経営研究所:研究企画の策定、実験準備・遂行、アンケートデータ分析
Oruche:データ分析
【実証実験の概要】
目的:笑育の効果効用に関するエビデンス獲得
実験時期:2019年1月~2020年5月 (上記期間で実施した笑育(3回分)のデータを活用)
※新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年5月の笑育はWEB会議システムを用いて実施。
対象者:上記期間で実施した笑育(3回分)の参加者である男女43名
実験の流れ:
事前アンケートの実施
笑育実施前の対象者のコミュニケーションスキルや心理特性等の把握を目的として、対象者のコミュニケーションスキルや心理特性等を問うWEBアンケートを実施
体験型コミュニケーション研修「笑育」の実施(図1)
参加者を対象に笑育を実施。また、笑育実施中の参加者の表情の変化を評価するために、カメラを用いて参加者の顔を撮影
事後アンケート
笑育実施後の対象者のコミュニケーションスキルや心理特性等の把握を目的として、対象者のコミュニケーションスキルや心理特性等を問うWEBアンケートを実施
図1 笑育の実施風景
【検証結果】
事前・事後のWEBアンケートを分析し、以下の結果が得られました。
- 笑育の前後で、自己主張スキルが27.2%向上(元々スコアが低めの参加者グループにおいて)(以下 図2)
- 笑育の前後で、同性初対面の人に対する欠点の自己開示が51.2%向上(元々スコアが低めの参加者グループにおいて)
- 笑育の前後で、同性の仲の良い友だちに対する、ネガティブな面の自己開示が30%程度向上(元々スコアが低めの参加者グループにおいて)
図2 コミュニケーションスキル_自己主張の変化
※複数の尺度得点について検定を行ったため、各検定においてFRD法による補正を適用した
※図表における表記 ***:p<.001 (FRD法による補正を掛けた上で有意だった単純主効果のp値のみを表記)
※図表における表記 棒グラフ上部に記載の印(I)はエラーバーで標準誤差を意味する
【今後について】
今回、笑育の効果・効用検証を行い、コミュニケーションスキルに苦手意識を持つ参加者に対し、笑育がコミュニケーションスキル向上に寄与することが明らかになりました。この結果は、笑育が非認知スキルのひとつであるコミュニケーションスキル向上に効果的な教育・研修サービスであることを示唆しています。
今後は、以下の取り組みを実施してまいります。
- 本成果に関するオンラインイベントの開催
本結果に関する詳細報告を目的としたオンラインイベントを開催します。同イベントでは、笑育の詳細や、脳科学や人工知能(AI)を活用したコミュニケーションスキルを含む非認知スキルの評価研究などの詳細について報告します。以下申込フォームよりお申込みください。
タイトル:「お笑い」で心理的安全性の高い組織作りへ
~脳科学から見えてきた「笑育(わらいく)の可能性」~
参加費用:無料
開催日時:11月24日(火)14時~
対象:従業員や生徒のコミュニケーションスキル向上や、教育・研修サービスの効果効用検証に関心をもつ、企業経営者・人事部、学校関係者、自治体関係者、報道機関・メディア関係者
お申込みフォーム:https://mf1.jp/shochikugeino/
- 顔表情データの分析による笑育の効果・効用に関する詳細分析
笑顔は人間のポジティブな状態を示す代表的な指標の一つであり、笑育における重要な成果指標のひとつです。同実験で取得した顔データを分析し、笑育中の参加者の笑顔の程度や発生頻度などと笑育の効果・効用との関係性の解析を行います
※表情解析技術の一部に関しては、横浜国立大学、自然科学研究機構生理学研究所、NTTデータ経営研究所を中心としたCOI STREAM 精神的価値が成長する感性イノベーション拠点(生理学研究所COIサテライト拠点)の活動のもと研究開発を進めている研究成果が活用されています。生理学研究所COIサテライト拠点は、革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)の研究開発拠点である「精神的価値が成長する感性イノベーション拠点」のサテライト拠点のひとつであり、自然科学研究機構生理学研究所、横浜国立大学、NTTデータ経営研究所を中心に、人間と機械がより高度に共感しあうための新たな人工知能技術“共感コミュニケーション”の社会実装に向けた研究開発を実施しています。
- 笑育サービスの拡大とデータ収集によるエビデンスの更なる獲得
本実証実験の結果に基づいて、より多くの企業、学校に笑育サービスを提供し、コミュニケーションスキル等のスキル向上に貢献してまいります。また、笑育の効果・効用に関する追加的なエビデンス獲得のために継続してデータを収集し、より付加価値の高いサービス創出を目指します。
- 非認知スキル向上を目的とした教育・研修サービスの効果効用検証支援
今回の実証実験のスキームを活用し、企業や学校を対象にコミュニケーションスキルをはじめとする非認知スキル向上を目的とした教育・研修サービスの効果効用検証支援を行ってまいります。様々な企業・学校との連携を通じて、非認知スキルの評価方法や効果的なトレーニング方法の開発などに取り組んでまいります。非認知スキル向上を目的とした教育・研修サービスの効果効用検証の普及を通じて、子供・学生・従業員等のスキル育成、新たな教育ビジネスの創出、そして人財育成を通じた中長期的な日本産業の発展に貢献していきます。
(注1) 記載の数値は、複数の尺度得点について検定を行ったものであり、各検定においてFRD法による補正を適用したものである
(注2) 参考文献:Miloš Kankaraš et al., Assessing students’ social and emotional skills through triangulation of assessment methods, OECD Education Working Papers No. 208(2019)
Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部