免疫力の約6割は腸でつくられる!腸管免疫のカギとなる体内発酵とは??

イヌリア素材事務局では、健康維持の要は大腸であるという考えのもと、大腸内で起こる発酵を意味する『体内発酵』とそれにより作り出される『短鎖脂肪酸』の重要性について定期的に情報発信して参ります。
※体内発酵とは・・・大腸内で水溶性食物繊維などが善玉菌に発酵され、『短鎖脂肪酸』など有用物質が作り出されること。
 新型コロナウイルスの影響もあり、ここ半年で「免疫力」という言葉をよく耳にするようになり、世の中的な関心が高まっています。8月も後半に入り、連日の暑さと感染対策、自粛生活などでストレスや疲労がたまっている人も多いのではないでしょうか。そのままストレスや疲労を放置しておくと、免疫力低下に繋がりかねません。そういった背景もあり、納豆やキムチ、ヨーグルトなどの発酵食品の売上が伸びています。こうした事象からも、多くの方が腸内環境を整えることで免疫力UPに期待していることが伺えます。

 腸は消化器官であるだけでなく、免疫器官としても非常に重要です。腸管には、免疫の働きを担う細胞や、体外からの侵入者と戦うたんぱく質である抗体(免疫グロブリンA(IgA))が全体の約6割存在していると言われています。このような腸管免疫を鍛えるには食生活が重要です。私たちの腸内には1000種類以上40兆個以上もの細菌が存在していて、細菌たちもエサがないと活発に働いてくれません。そんな腸内細菌の中でも善玉菌のエサになるのが水溶性食物繊維です。大麦や海藻類、キウイフルーツなどに多く含まれています。善玉菌は、水溶性食物繊維を食べることで『短鎖脂肪酸』と呼ばれる腸管免疫を強化するスーパー物質を産生させます。つまり、水溶性食物繊維を摂取すると、“体内発酵”により短鎖脂肪酸が作られ、この短鎖脂肪酸が全身の免疫を強くしてくれます。

善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維の中でも、最近注目されているのがチコリ由来の『イヌリン』です。イヌリンは大腸内で善玉菌に発酵されやすく、免疫力の向上や腸管バリア機能を高める『短鎖脂肪酸』の産生量も多いので、体内発酵を活発にしてくれます。
イヌリンは、チコリや菊芋、ごぼうなどに多く含まれる他、最近では粉末状のサプリメント商品も展開されています。

<記事監修>
森田英利(もりた ひでとし)
学術博士 岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授
岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了。1991年 米国ミネソタ州立大学ポスドク。1992年 麻布大学獣医学部に助手、2010年 同大学の教授を経て、2015年から現職。
腸内細菌学会広報委員、日本乳酸菌学会評議員。任期を終えたものに、内閣府消費者委員会新開発食品調査部会新開発食品評価第二調査会委員、日本畜産学会常務理事、日本乳酸菌学会理事、日本NO学会評議員。腸内細菌・腸内フローラ(腸内細菌叢)・プロバイオティクスに関する研究での共著論文のjournalの掲載歴に、Nature、Cell、Science、Nature Medicine、Nature Biotechnologyなどがある。

 


掲載元:@Press

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部