ネガティブ感情はゴールデンウィークを境に僅かに好転。自宅での特別な食事などが後押し?!
3回目の発表となる今回は、ゴールデンウィークを含む2020年5月第1週までの傾向についての速報です。データは、当社が2011年から毎週継続して定点観測している意識調査「Macromill Weekly Index」を使用します。調査対象は、全国20~60代の男女1,000名、国勢調査の人口動態の比率(エリア、性別、年代)に基づき割付を行っています。
■トピックス
【1】注目ワードは依然として「新型コロナ」に集中。新型コロナ以外では、「志村けんさん死去」、「緊急事態宣言」、「給付金10万円」、「岡江久美子さん死去」、「緊急事態宣言延長」と変化
【2】生活者の気分、4月前半に「悲しかった」等のネガティブな感情がピークに達し、ゴールデンウィークには「楽しかった」がわずかに上昇 【3】景況感は緊急事態宣言の発令後、最低に。その後、ゴールデンウィークを境に上昇に転じる 【4】ゴールデンウィークの消費金額、前半12,400円、後半13,900円で、前年より6,000~7,500円減少 【5】ゴールデンウィークの消費品目、前年よりも「外食」や「旅行」等の自宅外消費が大幅減、一方で、「お酒」や「自宅の特別な食事」といった自宅内消費は増加 【6】今後1カ月の消費量、わずかに回復の兆し。経済動の再開に向けた消費マインドが上昇傾向 |
■調査結果
【1】 注目ワードは依然として「新型コロナ」に集中。新型コロナ以外では、「志村けんさん死去」、「緊急事態宣言」、「給付金10万円」、「岡江久美子さん死去」、「緊急事態宣言延長」と変化
注目されている話題やニュースを時系列に把握するため、自由記述回答をワードクラウド(※1)を用いて視覚的に示しました(図1)。2020年3月、4月に発表したレポートと同様に、引き続きすべての週において、「新型コロナウイルス」が生活者に最も注目されました。今回は、「新型コロナウイルス」というワードを除いた生活者の関心事をワードクラウドで示してみたところ(図1)、4月第1週は「志村けんさん死去」、第2週は「緊急事態宣言」、第3~4週は「給付金10万円(特別定額給付金)」、第5週は「岡江久美子さん死去」、そして5月第1週は「緊急事態宣言延長」と変化したことがわかりました。
【2】 生活者の気分、4月前半に「悲しかった」等のネガティブな感情がピークに達し、ゴールデンウィークには「楽しかった」がわずかに上昇
生活者の「気分」の変化を見ていきます(図2)。志村けんさんが死去された4月第1週に特に「悲しかった」が急上昇し、「不安だった」「憂鬱だった」を含むネガティブな感情が軒並み上昇しました。緊急事態宣言が発令された4月第2週には「不安だった」がピークに、4月第3週には「憂鬱だった」がピークに達し、その後徐々に低下しています。また、外出自粛が叫ばれた今年のゴールデンウィークは自宅で過ごした人も多かったと思われますが、このような状況下、4月第5週から5月第1週にかけて「楽しかった」のスコアが上昇しました。その要因と思われる事象が他の調査項目からも観測されていたので後の段落で改めてご紹介します。
【3】 景況感は緊急事態宣言の発令後、最低に。その後、ゴールデンウィークを境に上昇に転じる
景況感(景気に対する印象)について、「現在の身の回りの景気(以下、「現況」)」と、「2~3カ月先の景気の見通し(以下、「先行」)」を用いて、景況感DI(※2)を算出しました。スコアが50よりも大きければ景気が良い、50を下回れば景気が悪い、という判断になります。
当データの取得を開始した2013年からの推移を見ると(図3)、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、「現況」「先行」ともに急降下したことが分かります。また、2020年の推移を詳細に見てみると(図4)、生活者が最も景気が悪いと感じたタイミングは、緊急事態宣言の発令後の4月3週目でした。その後、ゴールデンウィークに入り、5月4日に緊急事態宣言の延長が発表されるも、景況感については上昇に転じています。
【4】 ゴールデンウィークの消費金額、前半12,400円、後半13,900円で、前年より6,000~7,500円減少
1週間の個人の「消費金額」はどのような推移を示しているのでしょうか。2019年と比較してみると(図5)、2月頃から新型コロナウイルスの感染が拡大するに連れて消費金額は減少し、そして緊急事態宣言が発令された4月第2週からはさらに大きく減少し続けました。
ゴールデンウィークに注目すると、例年は行楽や帰省といった消費によって消費金額が大きく増加する傾向がありますが、今年は外出自粛要請もあってか4月第5週に「12,400円」、5月第1週に「13,900円」と、前年よりも6,000~7,500円減少しました。
【5】 ゴールデンウィークの消費品目、前年よりも「外食」や「旅行」等の自宅外消費が大幅減、一方で、「お酒」や「自宅の特別な食事」といった自宅内消費は増加
ゴールデンウィークのお金の使い道を見ていきます(図6)。前年より減少したものは、「家族との外食」や「食事会・飲み会」「国内旅行」「映画・スポーツ観戦等」といった自宅外における消費でした。一方、自宅で消費する「お酒」や「自宅の特別な食事」は前年よりも増加し、外出を自粛して連休を自宅で楽しむといった消費行動によるものと考えられます。また、図2で取り上げた“気分(センチメント)”においては、ゴールデンウィークは「楽しかった」のスコアが伸びていたこともあり、自宅の食事などをポジティブな気持ちで過ごした人が多かったようです。
【6】今後1カ月の消費量、わずかに回復の兆し。経済動の再開に向けた消費マインドが上昇傾向
今後1カ月の消費量の増減予想を示す「消費マインド」※3は、スコアが50よりも大きければ消費が増え、50よりも小さければ消費が減るという消費者心理に基づく指標で、今後の消費全体の動きを予測することができます(図7)。
「消費マインド」は例年、ゴールデンウィーク前に大きく上昇する特徴がありますが、今年はその傾向が表れませんでした。しかしながら、4月3週を境に上昇に転じてきており、わずかではありますが消費に対する明るい兆しがうかがわれます。緊急事態宣言が発令されている状況下ではありますが、経済活動の再開に向けた消費マインドの変化が読み取れる結果となりました。
なお、Macromill Weekly Indexではこれまで、毎週水曜に定点観測調査を実施して、翌週火曜に調査データを公開してまいりましたが、よりタイムリーに調査データを皆様へお届けできるよう、5月より、調査実施週の金曜に公開タイミングを変更いたしました。また、今後も引き続き、定期的に調査分析レポートをお届けしてまいります。
以上
※1:出現頻度が高い単語を抽出し、その頻度に応じた大きさで図示する手法
※2:今の景況感(現況)は「良い(100点)、やや良い(75点)、変わらない(50点)、やや悪い(25点)、悪い(0点)」、
2~3か月先の景況感(先行)は「良くなる(100点)、やや良くなる(75点)、変わらない(50点)、やや悪くなる(25点)、悪くなる(0点)」とそれぞれ点数を与えた時の平均値
※3:過去1カ月間と比較した、今後1カ月間の個人消費量について、「大幅に増える(100点)、やや増える(75点)、変わらない(50点)、やや減る(25点)、大幅に減る(0点)」と点数を与えたときの平均値
■Macromill Weekly Indexとは
マクロミルが週次で行う定点観測調査データです。即時性の高い消費マインドや消費動向を把握するため、毎週水曜日に1,000名のマクロミルモニタを対象にしたインターネット調査を実施しています。当調査では、過去1週間に消費した金額や、消費したモノ・サービスのカテゴリーの消費実態のほか、内閣府が実施している消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にした消費マインドや景況感などを幅広く聴取しています。
URL: https://www.macromill.com/data_and_insights/weeklyindex/
■株式会社マクロミルについて
マクロミルは、高品質・スピーディな市場調査を提供する、国内インターネット・マーケティング・リサーチのリーディング・カンパニーです。市場シェアNo.1※の豊富なリサーチ実績とノウハウをもとに、お客様のマーケティング課題解決に向けて最適なソリューションを提供しています。世界20カ国、50の拠点を展開しており、世界に誇れる実行力と、時代を変革するテクノロジーを統合し、唯一無二のグローバル・デジタル・リサーチ・カンパニーを目指します。
(※ オンライン・マーケティング・リサーチ市場シェア=マクロミル単体及び電通マクロミルインサイトのオンライン・マーケティングリサーチに係る売上高(2018年12月末時点の12ヶ月換算(LTM)数値÷日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によって推計された日本のMR業界市場規模・アドホック調査のうちインターネット調査分(2018年度分))(出典:日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)2019年7月1日付第44回経営業務実態調査)
会社概要
資本金:971百万円(2019年6月末時点)
代表者:代表執行役社長 グローバルCEO スコット・アーンスト
本 社:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー 11F
事業内容:マーケティングリサーチ事業
売上高:44,279百万円(2019年6月期)
U R L:https://www.macromill.com
Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部