レトルト食にプラスα食品を!タンパク質、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンD、亜鉛など
気温差も激しく季節の変わり目でもあるこの時期は、身体のコンディションもゆらぎがちに。
なおかつ、免疫を高めておくべきこの時期、ストックできる食材とどう向き合うと、元気な身体、免疫力を維持できるのでしょうか?管理栄養士の藤橋ひとみさんに伺います。
■監修者:藤橋ひとみさん プロフィール
管理栄養士、栄養士、製菓衛生師、調理師、インナービューティーダイエットアドバイザー、インナービューティープランナー、インナービューティー美腸マイスター、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、おから味噌インストラクター等、美と健康を作る指導を行う資格多数。自身が最も大切にしている「EBN=科学的根拠に基づく栄養学」の考え方を広め、信頼できる情報の取捨選択を行い、適切に伝える活動ができる「食医」と呼べる食と健康の専門家を増やすべく、栄養士・管理栄養士などの有資格者のスキルアップ、起業サポートに注力。東京大学大学院 医学系研究科にてアカデミックな分野からも、栄養疫学の発展に貢献すべく研究活動を進める。お茶の水女子大学 生活科学部 食物栄養学科 卒業、東京医科歯科大学 大学院 生命情報科学研究科 博士課程前期修了、東京大学先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラトリー 交流研究生。
■便利なレトルト食品…だけだと、やっぱりダメ!
レトルト食品ばかりに頼った食生活をしていると、栄養素の過不足を起こしてしまい、健康を損なう可能性があります。
自宅で食事をする機会が増えた昨今、調理済み・半調理済みの加工食品は手軽で、経済的にみても比較的安価であるといった利点もありますが、利用頻度が高くなるとエネルギーや脂質(飽和脂肪酸)・食塩などの過剰摂取につながるといった問題点もあるため、食生活のなかで上手に利用することが重要です。[1]
レトルト食品の多くは、ビタミン、ミネラルといった微量栄養素に関する栄養表示がされていないケースが多いというのが現状。そのため、各栄養素の摂取可能な量が不明であることが問題視されます。
常温で長期間の保存が可能というのは、レトルト食品の最大のメリットではありますが、実は栄養学的にはデメリットに繋がることも。原材料の食品がもともとは含んでいた、免疫力アップにも重要な『微量栄養素』(ビタミン、ミネラルなど)が製造過程で損失してしまったり、時間の経過とともに変質したり壊れたりしてしまうために、摂取効率が下がってしまうケースもあります。
■とはいえ便利なレトルト食品。どれを選べばいい?
おすすめは、具だくさんカレーや中華丼
レトルト食品の王道といえば、カレーやパスタソースを思い浮かべる方が多いと思います。ですが、これらばかりを食べていると、脂質や食塩、糖質の過剰摂取のリスクがあると考えられます。
まずおすすめしたいのは、糖質・脂質と並ぶ3大栄養素の1つであり、筋肉や皮膚、臓器など体の構成成分となり、さらに免疫細胞の材料にもなるタンパク質を摂ることができる、肉や魚介類、卵、豆などを含むものを選ぶこと。
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、タンパク質の1日あたりの推奨量は下記になります。
パッケージの栄養成分表示を確認しながら、体に必要な量のタンパク質が摂れるものを選びましょう。
タンパク質の1日あたりの推奨量 (厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)
【男性】6~7歳で30g、8~9歳で40g、10~11歳で45g、
12~14歳で60g、15~64歳で65g、65歳以上で60g
【女性】6~7歳で30g、8~9歳で40g、10~11歳で50g、
12~17歳で55g、18歳以上で50g
さらに、カレーの中でも野菜が多く入っている商品や、中華丼などの野菜が具だくさんの商品などを選ぶと、不足しがちな微量栄養素や食物繊維が補給できるのでおすすめです。
また、飽和脂肪酸や食塩の摂りすぎは、生活習慣病のリスクを高めます。
こちらも同様に、パッケージの栄養成分表示をみて、なるべく「脂質」「食塩相当量」が少ないものを選ぶと良いでしょう。
■免疫力を維持するためにレトルト食品と一緒にとるべき「+α」は?
レトルト食品のみで食生活を完結させることは、おすすめできません。レトルト食多めの食生活をしていると、免疫に関わる代表的な栄養成分である、タンパク質、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンD、亜鉛などが、不足しやすくなると考えられます。それらの栄養素を補える食材のほかに、腸内環境を整えるための食材をプラスすることで、免疫力アップが期待できます。[2]
主食・主菜・副菜をそろえると、簡単に栄養素のバランスを整えることができますが、具体的に免疫力アップに繋がるおすすめの食べ合わせを、レトルト食品に手軽にプラスできる食べ物・飲み物をメインにピックアップしてご紹介します。[3]
◎タンパク質を補う(乳製品、豆類)
・ヨーグルト
(特に通常のヨーグルトよりもおよそ2倍にも及ぶたんぱく質を含むオイコスやギリシャヨーグルトがおすすめ)
・飲むヨーグルト
・豆乳 ・牛乳 ・チーズ ※ただし食べ過ぎによる塩分の摂りすぎに注意。
・プロテインドリンク
◎ビタミンAを補う
・にんじんなどの緑黄色野菜ジュース
・ケールなど緑の濃い野菜ジュース
・枝豆 ・ゆで卵 ・ドライあんず
◎ビタミンB6を補う
・ナッツ類(ピスタチオ、ひまわりの種が特に多い) ・バナナ
・サラダチキン(鶏肉に多く含まれるため) ・ドライトマト
◎ビタミンDを補う
魚介類やきのこ類に多く含まれる栄養素で、牛乳、チーズはビタミンDを含みます。
日光を浴びると皮膚で合成できる栄養素であるため、なるべくおうちに引きこもらず、日に当たる生活を意識することでも体内での合成を促進することができます。
◎亜鉛を補う
ナッツ類(かぼちゃの種、アーモンド、くるみ、落花生など)
■腸内環境を整えることでも免疫アップを目指しましょう!
腸は免疫と深く関わりのあることが明らかになっているため、免疫力を整えるために、腸内環境を整える働きを持つ、プロバイオティクス(生きた善玉菌)、プレバイオティクス(善玉菌のエサ)の摂取もおすすめです。プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせて摂ることをシンバイオティクスといい、より腸活の効率を上げてくれることが明らかになっています。[4] お気に入りの食品を、レトルト食品を食べた後のデザートに加えるのを習慣にするのもおすすめです。
◎プロバイオティクス…腸内で善玉菌として働く菌を含む食品
・ヨーグルト ・乳酸菌飲料 ・甘酒 ・チーズ
◎プレバイオティクス…腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維、オリゴ糖を含む食品
・果物全般(食物繊維を含む。特にバナナはオリゴ糖の含有量も多くおすすめ)
<大豆オリゴ糖を含む食品> ・豆乳
<食物繊維を含む食品> ・寒天ゼリー ・全粒粉のビスケットやクッキー
・シリアル ・こんにゃくゼリー ・おからクッキー ・ドライフルーツ ・ナッツ
・焼き芋、干し芋
◎いろいろ考えるのが面倒?だったら、総合栄養食であるユーグレナをプラス、がおすすめ。
ユーグレナのドリンクやパウダーを一緒にストックしましょう
近年話題になっているユーグレナですが、実は、肉・魚・野菜などが含む栄養素を全方位的に持つ藻であることがわかっています。5億年前から地球で生き続け、強い再生力を持つユーグレナは、自力で動けるという動物の特性、日光を浴びて光合成を行うという植物の特性、その両方を兼ね備えている食品。ビタミン・ミネラル・アミノ酸・DHA・食物繊維など、人間に必要な59種の豊富な栄養素を含み、細胞壁(通常植物には存在します)を持たないため、体内への吸収率も高いので、レトルト食品にプラスするだけで手軽に栄養バランスがとれます。
また、「パラミロン」という水溶性の食物繊維を含み、このパラミロンは水分を吸収したり腸内細菌のエサになったりすることなく、腸管粘膜に直接作用し、免疫力の向上に寄与する可能性も示唆されています。[5]
青汁やケールのような味のユーグレナですが、市販のパウダーを水や豆乳、牛乳と一緒に溶いて飲んでもいいですし、ドリンクを買い置きしておけば手軽です。また、裏技として、ユーグレナのパウダーをレトルトの焼きそばなどに「青のり」として振りかけるなども、“藻”であるユーグレナには海苔に似た風味もあり、美味しく摂れるので試してみてください。
【左】からだにユーグレナ Green Powder(株式会社ユーグレナ)
⽯垣島ユーグレナに加え、有機⼤⻨若葉と明⽇葉を ブレンド。ほのかに⽢く苦味がない⾵味で飲みやすい。
21本入り(ドラッグストアなどで販売) 2,880円(税抜)
31本入り(ユーグレナオンラインショップ、amazon等で販売) 4,200円 (税抜)
【右】からだにユーグレナ Green Smoothie(株式会社ユーグレナ)
⽯垣島ユーグレナに野菜&フルーツをブレンド。 手軽にすぐ飲める美味しいグリーンスムージータイプ。
1本 各240円(税抜)
食糧をストックしなくてはならないこの時期。
便利で美味しいレトルト食品と上手に付き合いながら、免疫力も維持!
楽しく前向きな食生活を送りましょう!
【出典リスト】
[1] 厚生労働省「e-ヘルスネット|加工食品」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-017.html
[2]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
[3]文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
[4]厚生労働省「e-ヘルスネット|腸内細菌と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
(全て2020-03-19閲覧)
[5] Nakashima A, et al. β-Glucan in Foods and Its Physiological Functions.J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2018;64(1):8-17.
■株式会社マコトプランニングでは、2020年3月よりヘルスケアコンテンツ制作事業を開始しました。
Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部