スマホの影響大か?!10年前に比べて角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増加

ライオン株式会社(代表取締役社長・掬川 正純)は、眼科専門医101名を対象に「角膜上皮障害」の診療実態について調査いたしました。角膜上皮障害とは、ドライアイやアレルギーなどの様々な原因から角膜が傷つき、発症する角膜の病気です。調査の結果、6割以上(63.4%)の眼科医が「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者(※1)」が、スマートフォンが普及し始めた10年前に比べて増えていると認識していることが分かりました。近年は、乾き(ドライアイ)の症状だけではなく、目そのものが傷がついてしまうほど、多くの人が目を酷使していることが示唆されました。

(※1) 角膜上皮に傷等がみられるドライアイ患者

【調査概要】

・期間:2019年9月25日(水)~9月30日(月)

・方法:インターネット調査

・対象:以下のいずれかに該当する眼科専門医101名

(1) ドライアイ研究会所属

(2) フルオレセインスコア検査(生体染色検査)(※2)を

診療で実施している

(※2) 角膜の状態を判断するための検査

・監修:東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授 堀 裕一先生

1. 調査結果サマリー

[1]眼科医の6割以上が10年前に比べて「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増えている」と回答

[2]「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増えている」と指摘した眼科医のうち、

(1) 「10年前に比べ、患者は3割以上増えている」と約4割が回答。目は“乾く”時代から、“傷つく”時代へ。

(2) 「女性は年代に関わらず、男性よりも角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増加」と回答

(3) 約7割が「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者増加とスマホの普及は関係している」と指摘

なお、本調査をご使用いただく際は、「ライオン・スマホ時代の角膜上皮障害実態調査」と明記ください。

2. 調査結果詳細

■眼科医の6割以上が、10年前に比べて角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増えていると回答

ドライアイや角膜上皮の状態を普段から診察している眼科医101名に、「角膜上皮障害を伴うドライアイの患者さんは、10年前に比べて増えているという印象はありますか。」と聞いたところ合計63.4%が「増えている」と回答(図1)。多くの眼科医が、角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増えていると実感していました。

図1. 角膜上皮障害を伴うドライアイの患者さんは、10年前に比べて増えているという印象はありますか。(SA、n=101)

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■「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者は10年前に比べて3割以上増えている」と約4割が回答。

目は“乾く”時代から、“傷つく”時代へ。

「角膜上皮障害を伴うドライアイの患者は増えている」と回答した眼科医に対し、10年前に比べどのくらい患者が増えているか聞いたところ、「2割くらい」と答えた眼科医が43.8%と最も多く、「3割以上」と答えた眼科医も4割(40.7%)を超えました(図2)。このことから、眼科医が、角膜に傷がついてしまっている患者が10年前に比べて大きく増えていると実感していることがわかりました。近年、目は乾くだけに留まらず、傷つくほど酷使されているようです。

図2. 角膜上皮障害を伴うドライアイに関して、具体的に10年前に比べてどのくらいの割合で増えている印象ですか。

(角膜上皮障害を伴うドライアイが増えていると回答した眼科専門医64名が対象、SA、n=64)

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■「女性は年代に関わらず、男性よりも角膜上皮障害を伴うドライアイ患者が増加」と回答

「角膜上皮障害を伴うドライアイの患者は増えている」と回答した眼科医に対し、「どの年代で増えている印象があるか」について聞いたところ、全年代において、女性の「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者」が男性よりも増加している印象を持っていることが明らかとなりました(図3)。

女性は、一般に加齢に伴う女性ホルモンの減少などが原因でドライアイになりやすい傾向にありますが、今回の調査では20代女性の患者増加の印象が顕著であることから、女性ホルモンの影響以外の原因がある可能性が考えられます。

本調査の監修者である、東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授の堀 裕一先生によると、長時間のVDT(Visual Display Terminals)作業やカラーコンタクト、目のマイボーム腺(上下のまぶたの内側にある、目に油分を供給する腺)を埋めるようなアイメイク、まつ毛の生え際に負担がかかりやすいまつ毛エクステンションの普及などが原因として考えられます。

図3. 角膜上皮障害を伴うドライアイに関してお伺いします。具体的にどの年代で増えている印象がありますか。

(角膜上皮障害を伴うドライアイが増えていると回答した眼科専門医64名が対象、MA、n=64)

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■約7割が「角膜上皮障害を伴うドライアイ患者増加とスマホの普及は関係している」と指摘

近年、パソコン(PC)やスマートフォン等のVDT作業時間がどの世代においても増加しています。中でもスマートフォンはPCと比較して、画面との距離が近いことから、目への影響も大きいと言われています。そこで、「角膜上皮障害を伴うドライアイが増えている理由として、スマホが普及してきたことは関係があると思うか」について聞いたところ、約7割(71.9%)が「関係ある」と回答しました(図4)。

図4. 角膜上皮障害を伴うドライアイが増えている理由として、スマホが普及してきたことは関係があると思われますか。

(角膜上皮障害を伴うドライアイが増えていると回答した64名が対象、SA、n=64)

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■東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授 堀 裕一(ほり ゆういち)先生のコメント

角膜はレンズとしてモノを見る重要な役割と、異物が入ってこないようにバリアする役割を果たす重要な部分です。今回の調査では、その角膜上皮に障害があるドライアイ患者が10年前に比べて増加していることが明らかとなりました。増加している背景としては、PC・スマートフォンの利用時間が増えたことで、瞬きが減少してドライアイが進み、角膜に傷がつきやすくなっていることが原因として考えられます。以前は仕事の合間の休憩時間に目を休めることが出来ていましたが、近年では休憩時間にもスマートフォンを使用する人が多い為、目を休める時間が減っている傾向にあると思われます。また、若い世代の女性の角膜上皮障害が増加していることも明らかとなりました。これは、ここ10年でコンタクトレンズを安易に購入できるようになったことや、レンズが大きい為比較的ドライアイになりやすいカラーコンタクト、まつ毛エクステンションの流行が背景にあるでしょう。角膜を守るためには日頃から、角膜のケアを意識することが重要です。

【監修者プロフィール】

東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授 堀 裕一先生

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1995年大阪大学医学部卒業、大阪大学医学部眼科学教室入局。2001年米国ハーバード大スケペンス眼研究所研究員。06年大阪大学医学部眼科助手(助教)、09年東邦大学医療センター佐倉病院眼科講師、11年東邦大学医療センター佐倉病院眼科准教授、14年東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授。現在に至る。

<参考情報>

■角膜上皮障害とは

角膜上皮障害とは、下記のような様々な原因から角膜が傷つき、発症する角膜の病気のことを言います。障害の軽い順に「点状表層角膜症(SPK)」、「角膜びらん」、「角膜潰瘍」があり、症状は軽くても眼球の内部に異常があることも多いため、注意が必要です。

<角膜上皮障害の主な原因>

・ドライアイ

・アレルギー

・強い紫外線による刺激

・爪や紙で角膜をひっかいてしまう

・逆さまつ毛、異物が目に入ってしまう

・コンタクトレンズの誤った使用

・病原微生物による感染

・点状表層角膜症(SPK)

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・単純性角膜びらん

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傷の部分を染めた目。細胞がはがれたところが染まっている

・角膜潰瘍(左:細菌性角膜炎 右:真菌性角膜炎)

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写真出典:東邦大学医療センター大森病院 眼科

■目が乾く3つの原因と、VDT作業について

目が乾きやすくなる原因には、「コンタクト」「エアコン」「パソコン」の3つの“コン”の影響が大きいと言われています。VDT作業にあたるPC・スマートフォンでの作業は、瞬きの回数が通常時に比べ、1/4に減少してしまう(※3)ことも分かっています。仕事やプライベートでも、スマートフォンが手放せない時代だからこそ、大切な目を守るためにケアが必要です。

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(※3) 出典:佐藤直樹「VDT作業とドライアイの関係」あたらしい眼科 9, 2103-2106, 1992

 

ライオン・スマホ時代の角膜上皮障害実態調査


掲載元:@Press

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部