増加する気象病。気圧低下による血流悪化は「気圧くすみ」を誘因

株式会社ポーラ(本社:東京都品川区、社長:横手喜一)は、一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:石川裕己)との共同研究により、「肌」と「気象環境」との関係性を都道府県別に調査してきました。第四弾では「現地気圧」に着目し「肌のくすみ」との関係性を、さらに肌データ1件ごとに行っている「体調アンケート結果」と「現地気圧」との関係性についても同時に調査を行いました。その結果、現地気圧が低くなると肌がくすむ傾向があることを発見し、「気圧くすみ」と名付けました。また「寝つきが悪い」「貧血気味」「顔や足のむくみ」が、現地気圧が低くなるとアンケートのチェック率が高まる結果を得ました。気圧と体調の関係に関する研究は、今後も当社の所有するビッグデータを活用し、継続研究していきます。
なおこの結果は、全国47都道府県で、4年間(2014年9月1日~2018年8月31日)に集めた女性の肌と体調データの分析結果及び、同時期の気象データをもとに調査したものです。
  • 【新発見】気圧の低下で肌がくすむ 「気圧くすみ」を発見

「肌のくすみ」は、複合的な悩みであり、その要因も肌の内側と外部環境の両方が考えられます。気象環境の「日照時間(UV)」「水蒸気密度(低湿度)」がくすみに影響を及ぼすことは既知ですが、今回は、気象環境の3つめ「現地気圧」に着目しました。ポーラの考える気象環境を原因とする肌のくすみを【表1】に示します。気圧の影響により肌がくすむことを「気圧くすみ*」、同様にUV の影響をうけるくすみを「UVくすみ*」、低湿度の影響をうけるくすみを「低湿度くすみ*」と名付けています。調査の結果、気圧とくすみには相関があり、気圧の低下で肌がくすむことがわかりました。肌のくすみに気圧の影響がある4県と、影響がややある19府県を【図1】に示します。本知見(分析手法)により、くすみとの関係性が知られている2つの気象要因、UVと低湿度に加え、「現地気圧」も要因の1つとして考えることができます。

【肌のくすみに気圧の影響あり・ややありに該当する県】
2014年9月1日~2018年8月31日(4年間)
●影響あり
石川県、福井県、滋賀県、長崎県

●影響ややあり
青森県、岩手県、秋田県、宮城県、 山形県、新潟県、福島県、山梨県、
富山県、三重県、和歌山県、大阪府、京都府、兵庫県、香川県、愛媛県、
福岡県、佐賀県、沖縄県

※すべてポーラの造語。

  • 【新発見】現地気圧が低下すると「寝つきが悪い」「貧血気味」「顔や足のむくみ」を感じる人が増加

気圧の変動による頭痛、眠気、気分の落ち込みなど、気圧と体調との関係は一般的に知られています。体調は、気圧だけの影響を受けるわけではありませんが、今回ポーラの肌データ1件ごとに行っている「15項目※1の体調アンケート結果」を活用し、現地気圧との関係性について調査を試みました。その結果、【図2】に示す地域で、現地気圧が低くなるとアンケート項目の「寝つきが悪い」「貧血気味」「顔や足のむくみ」のチェック率が高まることがわかりました。これらは、肌情報だけではなく体調生活面についても膨大なデータを所有する当社ならではの結果です。今後は、年代別や季節別など詳細な調査を継続し、新知見を発表するとともに、不定愁訴かもしれないと感じているような多くの方々にも、体調管理に活用いただける情報を提供していきます。

【現地気圧の低下で体調アンケートチェック率が高まる項目に該当する県】

2014年9月1日~2018年8月31日(4年間)
●寝つきが悪い
千葉県、神奈川県、大阪府、奈良県、宮崎県
●貧血気味
埼玉県、愛知県
●顔や足のむくみ
北海道、青森県、岩手県、山形県、東京都、富山県、福井県、和歌山県、鳥取県、徳島県、佐賀県、熊本県、沖縄県
●寝つきが悪い・貧血気味
兵庫県、山口県
●貧血気味・顔や足のむくみ
静岡県、京都府、広島県
●寝つきが悪い・顔や足のむくみ
群馬県、茨城県、岐阜県、三重県、岡山県、島根県、香川県、愛媛県、福岡県、鹿児島県
●寝つきが悪い・貧血気味・顔や足のむくみ
長崎県

※1ポーラ アペックス スキンチェック体調アンケート

 □1.疲れやすい □2.朝すっきり起きられない □3.風邪をひきやすい、治りにくい □4.寝つきが悪い、ぐっすり眠れない □5.イライラすることがある □6.貧血気味 □7.生理不調がある □8.冷えを感じやすい □9.肩や首がこりやすい □10.物忘れしやすい □11.唇が乾きやすい、あれやすい □12.便通が不規則 □13.季節の変わり目に、鼻や目がむずむずする □14.顔や足がむくみやすい □15.汗をかきにくい

【愛知医科大学 学際的痛みセンター 客員教授 佐藤 純 先生コメント】

佐藤 純 先生

愛知医科大学 学際的痛みセンター

客員教授(医師)
30数年にわたり、気象と痛み、自律神経との関係を、臨床実験で本格的に研究してきた日本で唯一の医学博士

 

生活習慣やストレスによって気象病になりやすい体質になったり、局地的大雨(台風やゲリラ豪雨等)や猛暑などの極端な気象現象が目立つ昨今、年々、気象病の患者数は増加傾向にあることを実感しています。
今回、調査の対象となった女性は、健康な方が大部分だと考えられますが、女性活躍の時代、ストレスによって自律神経の調整がうまく働かずに、東洋医学でいう「未病(不定愁訴)」を感じている方が多いのではと思います。体調アンケート15項目はどれも気象病(気圧等)との関係があると考えられますが、36都道府県において、現地気圧と「寝つきが悪い、ぐっすり眠れない」「貧血気味」「顔や足がむくみやすい」とに相関の可能性があるという結果は、大変興味深いです。不定愁訴を感じる項目は年代によって異なるため、年代比較など今後の研究の深耕に期待します。

また、気圧が低くなると、自律神経が乱れて末梢血管が収縮し、そのため血行不良となります。肌に十分な血液がめぐらず、そのため肌色が暗くなるのです。これが気圧の変動によって起こる肌のくすみです。ストレスなどにより末梢の血管がダメージを受けていると、肌のくすみをさらに感じる方が増えると考えます。

  • 「気圧くすみ」を感じたときに
「気圧くすみ」は、気圧の低下により、血行不良になってしまうことが要因と考えられます。毛細血管が多く存在する耳のマッサージ(耳もみ)や表情筋のコリをほぐすマッサージがおすすめです。また自律神経をととのえるのに有効だと言われている「湯船につかる」、「呼吸を深くする」、または「好きな香りをかぐ」等も効果的です。POLA Beauty Tipsではマッサージ方法等の動画を配信しています。
動画は本ページ下部をご参照ください。

  • ​調査手法の概要

【調査方法】

●気圧くすみ
ポーラの実施する肌分析結果のうち、うるおい、メラニン、キメの乱れ、コラーゲンの糖化の4項目の合計点をくすみ分析値(数値が大きいほうがくすみがない)とした。都道府県ごとに、くすみ分析値と現地気圧との相関性を確認した。次に、現地気圧とそれ以外の気象要素(日照時間、水蒸気密度)を含めて関係性の確認を行った。
●気圧と体調
都道府県ごとに、現地気圧と体調15項目との相関性を確認した。次に、相関関係がみられた項目について、現地気圧とそれ以外の気象要素(気温、水蒸気密度)を含めて関係性の確認を行った。
【調査期間】
 2014年9月1日~2018年8月31日
  • 参考資料

【現地気圧とは】

気圧はその場所の標高に大きく影響を受けます。観測された場所で計測された気圧を「現地気圧」と言います。今回の調査では、この現地気圧を用いました。参考までに、天気図に示されている気圧は、平均海水面(海抜0m)での気圧相当に換算した値であり、この気圧を海面更正気圧」と言います。
【水蒸気密度とは】

実際の大気中の水分量を表します。空気1㎥に水分が何グラム含まれているかを示し、その温度における飽和水蒸気密度×相対湿度から求めます。単位体積中の水分量が変わらなくても、気温が上がれば相対湿度は下がり、気温が下がれば相対湿度は上がります。例えば相対湿度が同じ50%でも、0℃と22℃の空気では、その水分量は1.9gと8.2gで4倍も違います。

【水蒸気密度 計算方法】
各都道府県の温度と飽和水蒸気密度の値より相関係数0.999の近似式を作成し、これに気温と相対湿度の値を当てはめ算出。
各都道府県の気温℃、相対湿度%RH、水蒸気密度g/㎥
水蒸気密度=a×b÷100 〔a:飽和水蒸気密度(a=5×10(0.025c))、b:相対湿度、c:気温〕

 


掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部