お客さまの手に触れて、「ちょっと話せる人」という立ち位置で感じること uka代表・ネイリスト 渡邉季穂さん Vol.1

現代はストレス社会と言われますが、適度なストレスはヒトの成長に欠かせません。では、ストレスに負けないためにはどうすればいいのでしょうか?「こころトーク」では、自身の不調と向き合い様々な分野で活躍する方や、こころに寄り添うお仕事をされている方に編集部がインタビューを行い、様々な角度から「こころ」にまつわるお話をうかがいます。

今回のゲストは、トータルビューティインダストリーとしてビューティにまつわる様々な事業を展開するukaの代表でネイリストの渡邉季穂さんです。7割は女性スタッフという会社のトップであり、ネイリストとしてもサロンワークを続けておられます。日々多くの人とコミュニケーションをとる中で感じることや、商品開発にもつながっているご自身の自律神経の乱れに関するお話などを4回に渡ってお届けします。

 

友だちほどは近くないけれど「ちょっと話が出来る人」、という立ち位置が好き

編集部:渡邉さんは会社の中でいろいろな役割をお持ちだと思います。現在のお仕事内容はどのような感じですか?

渡邉:以前は私自身も他のネイリストと同様に、朝から夜までサロンで施術をしていましたが、最近は、店舗開発や商品開発のディレクションなどukaのブランディングに関わる領域の仕事が増えています。

でも、私自身は根っから人と会話することが好きで、適職だと思ってネイリストになりましたし、商品を開発するときもお客様の声からインスピレーションを得ることが多いので、今でもサロンワークは欠かせません。
ネイリストって長ければ2時間くらいの施術中、手に触れながらおしゃべりをします。お客様にとって、友だちほど近くはないけれど「ちょっと話せる人」というとてもいい立ち位置をいただいていると思っています。

色やデザインを考えるにしても、その方の生活や気持ちの変化を考慮します。だから会話はとても重要です。そして、施術をした後、「爪もきれいになって、おまけに話も聴いてもらって、気分もよくなった!」と仰っていただくとうれしいですし、私自身も、お客様に話を聞いてもらって励まされていると思っています。

 

年下世代との溝を感じ、コミュニケーションに悩むマチュア世代

編集部:定期的に通われるお客様が多いことを考えると、ちょっとしたカウンセラーといった感じでもありますね。女性たちとお話される中で、最近の悩みとかストレスの傾向はありますか?

渡邉:そうですね。そこは人それぞれではありますが、、、。やはり長くお付き合いするお客様は年齢も社会的地位も上がって、会社で部下ができたり、独立してアシスタントを持つ人が多くなり、悩みの種類にも変化がみられます。

それこそ昔は、好きな人が出来たとか、結婚どうしようとか「恋バナ」をしていましたが、今は部下や後輩たちとのコミュニケーションの取り方に悩んでいます。部下への怒り方やモチベーションアップに難しさなど共通の話題もあり、私自身も長い年月の中で共に成長させてもらっている感じがします。

 

気がかりなのは、パワー不足でちょっとしたことで心が折れそうな20代

編集部:そういう意味では、渡邉さんも日々たくさんの女性スタッフに接していらっしゃいます。心の面で何か気になることはありますか?

渡邉:約150名いる社員の7割が女性です。19歳の新卒から上は50代まで、幅広い年代と接していますが、そのような中、最近の20代の女性たちに辛抱できない人が多いと感じています。
彼女たちは膨大な情報とたくさんの選択肢の中で生まれて育っているので、せっかく仕事に就いても「私には向いていない」「もっと私に合う仕事があるハズ」と簡単に別の可能性に賭けてしまうところがあります。

確かに、パワーがある人は若くして起業したり活躍している人もいますが、それはほんの一握り。自分とそういう人を同一視して軽い気持ちで今の環境を手放して自分探しの旅に出てしまうのでしょうが、それはもったいない。多く人はパワーと体力が不足気味な印象を受けますし、パワー不足だと、ちょっとしたことで心が折れてしまうと思うのです。

 

 

お客様の手に触れてネイルを施術することで培われた渡邉さんならではの鋭いこころの洞察でした。

次回は、そんな渡邉さんが25年以上スタッフを育てて来た中で、人のこころとどう向き合ってきたかについてお話をうかがいます。どうぞお楽しみに。

 


渡邉 季穂(わたなべ きほ) KIHO WATANABE
uka代表 /ネイリスト

トータルビューティインダストリーとしてビューティにまつわる様々な事業を展開する「uka」代表。サロン経営、サロンワークや媒体での創作、後進の育成のためのセミナーや講師として活動し、ネイルケアならびに独自のネイル技術の普及に努める。ネイルを単に指先のお洒落という概念からではなく、一人ひとりの個性を活かし、その人のライフスタイルをも考慮した、ナチュラルかつシンプルなネイルスタイルの提案を行う。その技術・経験・センスには定評があり、各界著名人やビューティ関係者からの信頼も厚い。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部

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