「自分軸」が大事な時代。自分と向き合うのを恐れないで! 心理カウンセラー 石田より子さん
現代社会はストレスとの闘いです。「こころを整える」ためにどうすればいいのか、各界の著名人をゲストに招いてCOCOLOLOライフmagazine編集部がメンタル面の変化に着目しながら切り込んでいく「こころトーク」。
女性のための電話カウンセリングで活躍する心理カウンセラー石田より子さんのインタビュ-もいよいよ最終回です。石田さんがカウンセリングのテーマとするのは「自分軸」。今回のお話は、外向きにエネルギーが向かいがちな現代人に向けた「自分と向き合うこと」の大切さについてです。
引き出したいのは「主体性」と「自立性」
編集部:いよいよインタビューも最終回です。今回は、石田さんのカウンセリングのポリシーや今後の目標についてお伺いします。
石田:私はカウンセリングでその人の「主体性」と「自立性」を引き出したいと思っています。
なぜならば、そこまで持って行かないと、その人に本当の意味での変化が起きないからです。
でも、人は、変化することが嫌いで、実は悩んでいる状態が良かったりします。だから、カウンセリングする際は、その人が求めているものが、気持ちを聴いてほしいだけなのか、あるいは何か自分で行動を起こすきっかけまで欲しいのか、そこを見極めないといけません。
編集部:変化するのは我慢も伴うから、そこは避けたいということでしょうか?
石田:最近、20代前半の女性で自分のキャリア形成がきちんとできないケースが多いと感じます。転職を繰り返したり、簡単に仕事を辞める人が多いのが気になります。
そして、そういう人たちに共通しているのは、仕事にワクワク感や楽しさだけを求めていることです。目の前にある仕事をきちんとやってこそキャリアのベースができるのに、そこはすっ飛ばして、先の方にある幻想的な楽しさだけを求めているケースが多いと思います。ですから、SNSなどで元手がなくても儲かるといった、ラクな話に引っ張られる人も結構いますよ。
「自分軸」のある人は、自分のこころと向き合うのが怖くない人
編集部:石田さんはブログなどで「自分軸」が大事と仰っていますが、そこにも通じるお話でしょうか?
石田:そうですね。自分軸って、自分の中心のことです。自分軸があるというのは、自分が大切にしたいことがわかっている、目標や目的がわかっているということです。
でも、私がカウンセリングをしていて思うのは、今、「自分のことがわかっていない」人が多いです。さらに、「自分のことがわかってない」ということがわかっていない人も多いですね。
編集部:では、自分軸を持てる人と、持てない人の違いはどこにあると思われますか?
石田:それは、自分自身のこころと向き合えるかどうかです。自分軸がある人は自分のこころと向き合うのが怖くない人だと言えます。
自分のこころと向き合えない人は幼少期に端を発するイラショナルビリーフ(非合理な思い込みで、両親との関係によるものが多い)と言われる辛い思いが根底にあって、なるべく本当の自分を見ないようにします。
でも、その思い込みは、後天的に身につけた思い違いや勘違いなので、本当は変えられるのです。
編集部:とはいえ、蓋をしてきたものを見るのは勇気も時間もいりますよね。
石田:そうですね、自分のこころと向き合うことは実は一番大変なことですからね。
よく、自分を責めがちな人っていますよね。でも、そういう人の方が救われやすいのですよ。一方で、外交的な人は自分の気持ちに触れたくないから、その反転として外向きのエネルギーが働くのです。外向きのエネルギーのベクトルを自分の方にひっくり返すのは、結構大変なのです。
カウンセリングで、その人が持つエネルギーを引き出したい
編集部:外向きエネルギーというと、やはりSNSの影響も大きいでしょうか?
石田:外向きエネルギーの対象は、世の中に溢れていると思ますよ。
元々女性にはファッションとか美容とか外向きエネルギーの対象がありますが、それに今はインスタなどが加わっています。幻想を作りだしてそこに承認を求めているわけです。
でも、自分を認めて自分に満足をしていたら、本当はひけらかす必要はないのです。
編集部:ベクトルを内向きにするために、カウンセリングでサポートできることはありますか?
石田:今は、こころの時代だと思います。物質的な豊かさだけではなくてどうやってこころが豊かになれるかというと、それはもう自分と向き合うしかないんです。
そして、ひとり一人のこころの中には、ベクトルを変えて変化を起こすことのできる無限のエネルギーが溢れているのです。
これからの目標としては、変化を起こすところまで引っ張っていくカウンセリングをしたいですね。「あなたにはポテンシャルが溢れているんだよ」「こころと向き合うことはこんなに素晴らしいことなんだよ」ということをカウンセリングを通して伝えていきたいと思います。
石田より子
心理カウンセラー
航空会社のCAとして34年間勤務。会社在籍中6年間に渡り、コーチ仲間と共に社内コーチングセミナーを毎月開催。2013年、両親の介護のため退職。同時に心理カウンセラー、コーチとして独立。「気軽にカウンセリングを受ける文化」を日本に根付かせることを目標に活動中。著書に、『さぁ、運を引き寄せる達人になろう!』文芸社刊。私生活では、4年間の両親の終末ケアを終えた1年後、5才年下の最適な人と出会い初婚同士で結婚。
編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部