現役引退後、第二の人生へ向けての抱負とは?元女子バドミントン選手・小椋久美子さん

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現代社会はストレスとの闘いです。「こころを整える」ためにどうすればいいのか、各界の著名人をゲストに招いてCOCOLOLOライフmagazine編集部がメンタル面の変化に着目しながら切り込んでいく「こころトーク」。

今回のゲストは、前回に引き続きバドミントンの女子ダブルスペア日本代表として「オグシオ」コンビで世界中を沸かせた元女子バドミントン選手の小椋久美子さん。COCOLOLOライフmagazine編集部の板生研一(WINフロンティア㈱代表・医学博士)との対談形式で、現役引退後の第二の人生を振り返りつつ、東京オリンピックを目の前にした抱負を語って頂きました。

 

問題にぶつかっても、抜け穴目線で見れば解決方法は何通りもある

編集部:バドミントン日本代表という華やかな世界を引退し、第二の人生へと進む上で小椋さんはどう考えていますか?例えば人間関係の付き合い方とかメンタル面とか。

小椋:人間関係で悩むことはあまりないですね。たまにあるかな…。以前お伝えした一人旅(小椋さんインタビュー第8回の記事参照)で、すごく人生観が変わってしまって。以前は「行くのがイヤだな」「嫌がらせされているのかな」「何もしていないのに嫌われているかも」って思ってしまう自分がいて、なにをするにも怖かったです。でも今は違いますね。「この人に嫌われる理由もないし、どう思われてもいいや」と思えるようになりました。たとえ自分の仕事を邪魔されても「こう切り返せばいい!」って事前対策を考えるとなんだか楽しくなってきて。解決方法を限定的に考えると抜け道が無いというか自分を苦しめてしまうけど、こんなふうに対抗したら面白いんじゃない?って、大変な状況を楽しむことで強気になれました。

 

編集部:これまでの経験があったからこそ、そう思えるんですかね。

小椋:ありますね。1つ問題にぶつかったとしても、解決方法は何通りもあるんです。すごく高い壁であっても、ほんの少し穴を開けたら通れるわけですよ。変なプライドでかっこつけたり目立たなくても、穴を開けることができればいいんです。どんなに遠回りしたとしても、最終的に成功すればいいやと思えるようになってからは、本当に気持ちがラクになりました。

 

編集部:オリンピック選手として出場された方って、自信と誇りはすごいわけじゃないですか。現役引退後、第二の人生として仕事が変わって裏方となって支えていく…。その一方で、第二の人生で崩れていく成功を収めたアスリート選手たちがいるわけですが、そうなる人とならない人の差はどこにあると思いますか?

小椋:私から言えることは自分自身を「客観視」できるかどうかだと思います。自分が今どの立ち位置にいて、何を求められているのか?自分がやりたいことと求められていることが違う場合もあるので。そこに自分が幸せだと思えるものがあるのかを考えることが大事なのかなって。私も、正直自分の意思とは違うことを我慢してやっていた時期もあったし、挑戦したいことが世間から求められなかったこともありました。だけど今は、自分がやりたいこととやらなきゃいけないことが一致しているからすごく幸せだし仕事にやりがいを感じます。

 

編集部:自分がやりたいことと周りから求められることがマッチするって難しいですよね。現役時代を振り返って今のご自分の役割について、あらためてどう思われていますか。

小椋:選手として活躍していた時「オグシオ」と呼ばれていましたが、実はあまり自分の中ではそれほど注目されているという感覚があまりなくて(笑)もちろん認識はしているんですけど。海外遠征が多くて合宿ばかりでしたし、テレビを見れる状況でもなかったから実感が沸かないというか…。

テレビに映っている私はごく一部で、練習ばかりの地味な世界にいたというのが選手だった時の印象なんです。テレビに映って輝いていた自分はバドミントンをやっていない時点でもうないし、そこを引きずってずっと居座ろうとするのは世間も求めていないし自分でも違うと思っていて。

だからこそ、情報を自分の言葉で伝える瞬間は「小椋久美子」を出してはいけないと思っています。私が出てしまうと本来伝えるべき情報が受け手に伝わらなくなってしまうから、言葉の意味をしっかり汲み取って伝えることに集中しています。その結果、私の言葉で沢山の人に伝わってくれたらいいなって。
それが今の自分の役割だなって感じています。世間が求めてくれることと、今のその感覚が重なるから違和感なく仕事に取り組むことができているんだと思います。

 

編集部:そんな風に考えられるって貴重ですよね。

小椋:そんなこともないですよ(笑)たぶん自分にとって「強み」になる部分があるからそう思えるようになったところはあります。と言っても、自慢できるようなものではない「他人にはない下手くそな個性」なんですけど。あとはバドミントンに関してだけは、誰よりも情報や繋がりがあることだけは胸を張って言えます。現場にも積極的に足を運ぶように心がけていますし、情報量だけは誰にも負けません(笑)そういう自分が好きだし、努力を重ねて少しずつ結果を出すようなコツコツやる泥臭いやり方が単純に好きです。

 

編集部:それって現役時代の頃と通じる部分がありますよね。

小椋:そうですね。プロセスが同じかも。結果が出ない過程は意味がないけど、結果を出すまでってすごく大切。選手時代の結果にこだわるわけではないんですけどね。一生懸命に乗り越えて頑張ってきた過程を大切にしたいです。

 

オリンピックを目指してきた人間として、東京オリンピックという大舞台に何らかの形で携わりたい

編集部:最後に、これから東京オリンピックが控えていますが、小椋さんご自身の抱負はありますか?

小椋:今後もスポーツに関わっていきたいという夢は絶対です。東京オリンピックは選手にとっても1番大きな山場であり目指すべき大会。そして応援してくださるファンの方にとっても特別なんですよね。私も現役時代に選手としてオリンピックを目指してきた人間だから、やはりあの大舞台に自分自身も関わりたいし、何か携わりたいという気持ちがすごくあります。今はバドミントンの情報を伝えることが多いですが、スポーツ全般において自分の言葉で伝えられる仕事ができたらいいなと考えています。あとはライフワークとして子どもたちへのバドミントンの指導を通してスポーツやオリンピックの魅力を直接伝えていきたいです。

 

編集部:これはもう、東京オリンピックが楽しみになりますね!

小椋:スポーツ全般をお伝えできるような仕事をまずは東京オリンピックまでに確立させることが、自分のノルマだと思っていて。やはりそこは結果を出したいですからね。成し遂げたものは常に自分の中に持っていたいなと思うので。

 

編集部:オリンピックの力ってすごいなと改めて思いました。

小椋:4年に1度だからこそ、それまで一生懸命練習して頑張ってきたんだなという選手のストーリーが想像できます。感情移入したり、感動して泣けてくるんですよね。選手の気持ちに寄り添える、そして視聴者の関心を高めることができるような仕事をしていきたいです。

 

 

全10回に及ぶロングインタビューに、現役時代の話から未来までの抱負を終始笑顔で語ってくれた小椋久美子さん。どん底に落ちてしまった時、這い上がろうともがいている時、新しい道を切り開いた時。「バドミントン」という1つのスポーツを通して心の成長をリアルに感じさせて頂きました。

小椋さんのマインドからは心を整えるヒントが沢山凝縮されています。ぜひ第一回からじっくり読んでみてください。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部

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