『失敗の本質』から学ぶ仕事のメンタル術(その1)

経営学のバイブル『失敗の本質』


一橋大学名誉教授の野中郁次郎さんが先月1月25日に89歳にて永眠されました。私の在学期間は、野中教授が一橋に在任されていた期間とも重なりますが、(不真面目な学生だったので)講義を受けたことはなく、勿体ないことをしたなと思っています。

それはさておき、野中教授は学術界のみならずビジネスの世界にも大きな功績を残された方です。その代表的な著書が、『失敗の本質:日本軍の組織論的研究』(戸部良一ら共著、1984年、ダイヤモンド社)です。

読んだことのない人のために、簡単に説明すると、

太平洋戦争における日本軍の敗因を分析し、日本的組織の問題点を明らかにした書籍です。ミッドウェー海戦やインパール作戦など6つの戦例を通じ、日本軍の失敗を、①長期戦略の欠如、②全体最適の欠如、③精神論に依拠した非合理的判断、④現場意見の軽視、⑤失敗からの教訓の軽視、という観点から鋭く分析しています。

これらは現代の日本企業にも通じる問題として詳述されており、経営者やビジネスパーソン、そして、MBAや経営学部の学生には必読書と言えるでしょう。

そんな名著ですが、ビジネスパーソンのメンタルマネジメントに役立つ教訓を、大胆にも導き出そうというのが、今回のテーマです。今回は、2回に分けて書いていこうと思います。

なぜ、環境の変化に適応できないのか?

『失敗の本質』では、日本軍は戦況の変化に柔軟に対応できず、旧来の戦法に固執した結果、敗北に至った経緯が細かく書かれていますが、これは今日のビジネスパーソンにも大事な教訓と言えます。

ビジネスの現場でも、環境が大きく変化しているのに、従来からのやり方にギリギリまで固執し、取り返しのつかない状況に陥ってしまうことはよくあります。この時に・・・

 

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【執筆者プロフィール】

板生 研一

WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中