「フロー」と自律神経

「フロー」とは?
米国の心理学者ミハイ・チクセントミハイ博士は、時間感覚を失うほど、何かに没入している状態を「フロー」と呼びました。「フロー」の状態のときは、称賛や金銭的報酬といった外部からの利益は一切関係なくなり、活動それ自体が楽しく、自分の全ての意識がその活動に向けられている状態になります。(詳しくは、「仕事に没入するために必要なこと」をご覧ください)スポーツ選手やクリエイターは、この「フロー」という状態を経験しやすいと言われています。
チクセントミハイ博士は、フローが起きやすい主な条件として、次の7つを挙げています*1。
1. 目標が明確である(何をすべきか理解している)
2. どれくらいうまくいっているかを知る(ただちにフィードバックが得られる)
3. 挑戦と能力の釣り合いを保つ(活動が易しすぎず、難しすぎない)
4. 注意の散漫を避ける(活動に深く集中し探求する機会を持つ)
5. 自己、時間、周囲の状況を忘れる(現実から離れ、我を忘れる)
6. 活動に本質的な価値がある(活動が苦にならない)
7. 行為と意識が融合する(自分はもっと大きな何かの一部であると感じる)
上記のうち、「3. 挑戦と能力の釣り合いを保つ」は特に重要だと個人的には思います。つまり、自分にある程度の能力がある領域で、少し難易度の高いことに挑戦すると、フロー状態に入りやすい(=時間を忘れて没頭できる)ということです。フロー状態に入っている時には、クリエイティビティも最高に高まるということが研究でわかってきていますので、次に紹介したいと思います。

「フロー」がクリエイティビティを高める
英グラスゴー・カレドニアン大学心理学部のレイモンド・マクドナルド博士らは、チクセントミハイ博士が提唱した「フロー」の状態がクリエイティビティにどのような影響を与えるかについて、音楽の作曲を対象に調査を行いました。
調査は・・・
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【執筆者プロフィール】
板生 研一
WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中