なぜ、マルチタスクは仕事の効率を下げるのか?

マルチタスクにメリットはあるか?

マルチタスクとは、複数の作業を同時並行、あるいは、短時間で切り替えながら行うことを指します。例えば、プレゼン資料を作成しながら、合間にメールを返信するなどが典型例ですが、まずは、マルチタスクのメリットを、自分の経験を踏まえ、考えてみたいと思います。

【マルチタスクのメリット】

① 複数のタスクを同時にあるいは連続的にこなすので、仕事を片付けているという安心感につながる、あるいは、周りから「デキる人」と思われ、自信につながる可能性がある。

② 抱えている様々なタスクにひとまず着手することになるので、タスクの全容を把握でき、不測の事態を避けることができる可能性がある。例えば、やってみたらすぐに、とても時間がかかるタスクであることが判明し、時間が全然足りない、といった事態を避けられる。

③ 1つのタスクに集中しすぎて、煮詰まってしまい、作業効率が低下する事態を避けられる可能性がある。(この場合、気分転換に他のタスクを少し挟んで、また元のタスクに戻るといった方法が考えられるが、これをマルチタスクと呼んで良いかはわかりません。)

個人的には、特に②のメリットは結構大きい気がします。つまり、マルチタスクによって、抱えているタスクの全体像がはっきりし、優先順位を間違えなくて済むということです。しかし、各タスクに少しだけ着手して、全容を把握し、所要時間の目処がわかれば、そこからは、1つずつタスクを片付けていく方が良い気がします。なぜなら、人間はそんなにパッパと思考を切り替えられないのではないかと思うからです。

この直感を検証してくれた研究があるので、次に紹介したいと思います。

マルチタスクで生まれる「注意残余」とは?

私たちはマルチタスクを行っても、そんなにパッパと思考を切り替えられないのではないかという直感を実証したのは、米ニューヨーク大学レナード・N・スターン経営大学院のソフィー・ルロイ博士の研究です。

この研究では・・・

 

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【執筆者プロフィール】

板生 研一

WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中