「瞑想は普通の人の、普通の悩みを解決するためにある」山下良道師に聞くマインドフルネス入門(後編)
瞑想とマインドフルネスはどう違うんですか?
日本ではこれまで、宗教的な抵抗感からか、「瞑想」という言葉を口にしづらい雰囲気がありました。禅宗における座禅だけは例外ですが、オフィスや仲間内で「ヨガやピラティスをやっています」、「鎌倉の禅寺で座禅をしています」とは言えても、その先にある「瞑想をやっています」と言うのには、どうしても心理的な壁がありました。
一方で、こうした宗教色を極力薄くすることで、誰もが抵抗感なく実践できるものとして海外で生まれたのが、マインドフルネスと呼ばれるメソッドです。
最新のマインドフルネスをめぐる動きには、大きく分けて3つあります。一つは、Googleの社員研修から広まった「Search Inside Yourself」。一つは、ジョン・カバット・ジンさんが中心となってやっているセラピー由来のマインドフルネス。そしてもう一つがティク・ナット・ハン師が説くマインドフルネスです。
これらはどれも、現代人の悩みを効率よく解決できるようにアレンジされているものの、その中には仏教が育んだ知恵がたくさん活かされています。
日本でも去年くらいから、ようやく堂々と「瞑想をしています」と言えるような状況が生まれてきているようです。こうして座禅以外の瞑想が市民権を得つつあるというのには、このマインドフルネスが果たした役割が小さくないのでしょう。
では、まず何から始めればいいですか?
アーサナと並行して、瞑想のクラスや、BMS-R Labで私が担当するワークショップなどに参加して、実際に体験してみるのはいかがでしょうか。
瞑想はもちろん1回やって終わりというものではありませんが、それはヨガやピラティスと一緒です。もともとの動機はダイエットや美容だったとしても、まずはやってみたからこそ、その先にある安らぎを感じられているのでしょう。
ヨガやピラティスをやる中では、「体の中の微細な感覚に意識を向けて」とか「マインドフルに動いて」などと言われることがあると思います。今はまだそれがよく分からないという人も、並行して体を動かさない「静的な瞑想」に取り組むことで、徐々にこうした「動的な瞑想」としてのアーサナの意義を実感できるようになるはずです。
私は、日本で瞑想を実践する上で、これからヨガスタジオが果たす役割に大きな可能性を感じています。なぜなら、ヨガスタジオではお寺や病院や瞑想会などと比べて圧倒的に多くの人が、すでにヨガを実践しているからです。
そしてその中には、アーサナを通じて自分の悩みの本質が自分の心にあることに気づき始めている人が、すでに一定数以上いる。そういう人たちは自分でも意識しないうちに、瞑想をするための準備ができているんですよ。
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