ピラティスと理学療法の融合がリハビリにもたらした化学反応とは?〜キーワードは「楽しさ」(後編)

実際、アメリカでは一般の人が読めるような形でピラティスに関する情報が日常的に出回っているのですか?

医学的な記事はもちろんありますし、最近はそれだけでなく、たとえばTIME誌などの一般的なメディアでも取り上げられるようになっていますね。

そこで発信されるメッセージも、以前とは変わってきている?

そう思います。その結果として、人々のピラティスの捉え方もどんどん変わってきているように思います。というのも、もとはと言えば私自身も「ピラティスなんて知らないわ」というところから始まったので。

どういうことでしょうか?

私がBASIピラティスの創始者であるラエル・イサコウィッツと初めて出会ったのは、もう20年も前のことです。当時私はフィットネスのインストラクターをやっていて、ラエルからピラティスがすごくいいと聞かされたのですが、「ダンサーのための、ちょっと難しいものでしょ」と聞く耳を持ちませんでした。そうした認識を改めたのは、もっとずっと後のことです。

認識が変わったのにはどんなきっかけがあったのでしょう?

当時私はバスケットボールのプロチームのトレーニングをしていました。その中のスタープレイヤーがある時怪我をしたのですが、その奥さんがピラティスをやっていて、彼のリハビリにぜひピラティスを取り入れてほしいと私にリクエストしたんです。スタープレイヤーなので、断るわけにはいきませんよね(笑)。

指導するためにはまず自分でやってみなければならない。それで1回受けてみたら、理にかなっているし、すごく役に立つと思えたんです。それですぐにラエルに連絡を取り、学びに行くことにしました。1999年のことです。

ピラティスと出会ったことで、サマンサさん自身に何か変化はありましたか?

先ほど、ピラティスの楽しさが患者さんの自主性を促すというお話をしましたが、実は私自身も伝統的な理学療法に対して少し飽きていたところがあったんです。そこにピラティスが入ってきたことで、また学ぶのが楽しくなったというところがありますね。

お話を伺ってると、「楽しむ」は一つのキーワードのように感じます。

楽しむって大事なことだと思うんです。リハビリをやるにはもちろん正確性を持つことや注意深くやることが大切ですが、あまりに固執すると力が入ってしまって、身体も心もガチガチに硬くなってしまう。

そうではなく、リラックスすることで初めて、身体と頭と心を統合することができるのだと思っています。それは患者さんもそうだし、指導する側だった同じでしょう。

では最後に、サマンサさんが今後やっていきたいと思っていることはありますか?

いまは世界中で指導ができることにすごく喜びを感じているので、引き続き自分の経験や、ピラティスと理学療法をどう結びつけていくのかということをシェアしていきたいですね。実はいまピラティスに関する本を書いているところでもあるので、それをちゃんと仕上げて、世の中に出すというのも目標です。

私はピラティスというものが多くの人を助けるのにすごく役に立つと強く信じています。そのことを理学療法士はもちろん、それ以外の人たちにもシェアすることで、そこから多くの困っている人たちに広めていければと思っています。

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