起業家のストレス

起業家を取り巻く不確実な環境

 起業家を取り巻く環境は、不確実なことだらけです。インド出身の経営学者サラス・サラスバシー博士は、起業家を取り巻く不確実な環境の特徴をいくつか指摘しています。その1つが、将来生じるビジネスの結果を確率論的に予測することが困難であるという点です(これを「ナイトの不確実性」といいます)。起業家が事業ネタを複数考えたとして、どれが最も成功する確率が高いかを統計的に予測できれば良いのですが、そのような予測自体が困難だということです。したがって、起業家の「野生の勘」や「嗅覚」のようなものが重要になってきます。

 起業家を取り巻く不確実な環境の2つ目の特徴は、目標の曖昧性です。起業の目標が自身の強烈な原体験に基づいていて、一切ブレない場合は、あまり当てはまらないかもしれませんが、多くの起業家(私自身も含め)は、商品やサービスのプロトタイプを作ってみて、潜在顧客の反応を見た結果、ビジネス領域を変更(ピボット)することがしばしばあります。それが続くと、「一体自分は何を達成したかったのか?」と自問自答することになります。このような時は、起業家は状況に応じて、目標自体を柔軟に見直していく必要があります。これらは起業家に限らず、会社で新規事業を担当する人などにも、共通に当てはまることだと思います。
このように不確実なことだらけの環境に長時間晒されていると、人間は間違いなくストレスを感じますので、メンタルをいかにマネジメントするかがとても重要になってきます。

 

タイプAの行動特性とは?

 起業家は上述の通り、不確実な環境下で多くのストレスを感じますが・・・

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【執筆者プロフィール】

板生 研一

WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中