中高生の創造性自己認識を高めるのは「答えのない問い」へのチャレンジ!

アドビ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:神谷 知信、以下:アドビ)と、世界中の創造力と10代をつなぐEdTechプログラムを手がける『Inspire High(インスパイア・ハイ)』(運営企業:株式会社Inspire High、本社:東京都世田谷区、代表:杉浦太一)は、全国29の学校と合同で、3,500人以上の中高生を対象にした創造力(クリエイティビティ)育成に関する調査を実施いたしました。

予測不可能で不確実な時代において、新たな学習指導要領が「生きる力」を中心に改訂されたことからも、未来を生き抜くための21世紀スキルおよび非認知スキルの重要性が高まっています。中でも創造力(クリエイティビティ)は、アドビとInspire Highの両社が最も重視しているスキルの一つです。一方で、非認知スキルは数値化が難しいために、習得方法や評価方法が確立していない分野でもあります。

そこで今回、世界中のクリエイティブな大人と「答えのない問い」について考えアウトプットをするInspire HighのEdTech教材を活用し、全国の中高生の創造力の自己認識がどのように変化するのか、また、上昇した回答者の生活環境や学習環境はどのようなものかを調査しました。今回の調査で明らかになった主な結果は以下の通りです。

  • 中高生の84.3%は創造力とは「自分らしい個性を表現する力」と考えている
  • 学校で「答えのない問い」に対する取り組みを実施することは、生徒の創造力の向上に寄与する効果がみられる
  • 創造力の自己認識の向上と相関が強かった項目は「ものづくりや人とのコミュニケーションが好き」「希望の進路が決まっている」「ロールモデルがいる」「不安や悩みの相談相手がいる」
  • 創造力の自己認識と従来型の学力や学業成績との関連性はみられない
  • 創造力の自己認識が高い中高生は、低い中高生と比較して、普段からものづくりに取り組んでおり、PCやタブレットなどのデジタルデバイス利用歴が長い

詳しい調査結果資料は以下よりご覧いただけます。
https://download.macromedia.com/pub/learn/start/adobe_inspirehigh_research_final.pdf

また、今回の調査をふまえて教育関係者の方々への報告会、交流会を開催いたします。詳細は下記をご覧ください。

■調査結果分析(概略)
●中高生の84.3%は創造力とは「自分らしい個性を表現する力」と考えている
「自分らしい個性を自由に表現する力」が全体で84.3%、次いで「何もないところから新しいものを生み出す力」が62.0%となった。「生まれ持ったもの」や「一部の特別な人に備わった力」といった項目が低いことからもクリエイティビティとは先天的なものではないという認識が伺える。「創造的な教室」を目指す教育活動においては、指導者や教員が、創造力を誰でも伸ばすことができ、発揮できる力であるという姿勢を持つことが重要であると思われる。

●学校で「答えのない問い」に対する取り組みを実施することで、生徒の創造力の向上に寄与する効果がみられる
Inspire Highのプログラムを全校2回、授業にて体験。体験前後において、創造力を問う7項目すべてにおいて値が上昇した。普段出会わない考え方や生き方からインスピレーションを受け、「答えのない問い」に挑戦する学びや経験が、創造力の上昇に寄与すると推測できる。

※創造力の構成要素を問う7つの質問
・問の立案「日々『これって、なんでだろう?』と思うことがよくある」
・アイデア「色々なアイデアを生み出せる方だ」
・組み合わせ「いくつかのアイデアを組み合わせて、新しいアイデアを生み出すことができる」
・自分の考え「自分なりの考えや視点を持っている」
・表現「自分なりの考えや視点を、言葉や絵や写真などで表現することができる」
・社会への影響「自分が表現したもので社会に影響を与えたいと思う」
・行動「日常において何かを作ったり表現したりするような創造的な活動をしている」
※回答形式は5段階スケール(「行動」のみ「創造的な活動をしている」「創造的な活動をしたいと思う」「創造的な活動をしたいと思わない」の3段階スケール)

●創造力の自己認識の向上と相関が強かった項目は「ものづくりや人とのコミュニケーションが好き」「希望の進路が決まっている」「ロールモデルがいる」「不安や悩みの相談相手がいる」
「創造的な教室」として望ましい学習環境は、進路やロールモデルなどの目標を発見する出会いが提供される学び、画一的な評価や中傷のない安心安全な学習環境であることが推察される。

●創造力の自己認識の向上と従来型の学力や学業成績との関連性はみられない
通塾(集団)の有無、宿題への取り組み姿勢、学校の成績に対する回答との関連性が低いことがわかる。個別最適されていない従来型の学習環境や学校での成績と創造力は関連性が低いことが推測される。

●創造力の自己認識が高い中高生は、低い中高生と比較して、普段からものづくりに取り組んでおり、PCやタブレットなどのデジタルデバイス利用歴が長い

・日常的にものづくりをするか

・PCの利用期間

タブレットの利用期間

■体験した中高生のコメント
・日々の授業やちょっとした疑問でも、普段よりも深く考えられるようになった。(東京都・中2)
・好きなことをとことん突き詰めることも、創造には大切なんだとわかった。(東京都・高1)
・社会を変えるきっかけは誰でも持っているという考え方を持てるようになった。(京都府・中3)
・10代後半はみんな不安なんだと知ってなんか落ち着いた。(東京都・高3)
・自分が悩んでいたり・疑問に思ったりしていたことが色んな人も同じことを思っていて、心が少し軽くなった。(熊本県・高1)

■調査協力校の教員によるコメント
相模女子大学中学部・高等部 美術教諭  新井啓太先生

美術の表現活動用にアレンジしてInspire Highを実施しました。生徒たちは言語化しきれない沢山の想い(良い意味で一貫性のない)を秘めています。手段を問わず、それらを自然なかたちで外へと吐き出せる機会が増えると、周囲と刺激し合い創造力を高めていきます。
学び方のデザインはもっと自由になれる!そのために「新しい視点」との出会いや、探究の「余白」を取り入れることが重要だと感じました。

同志社中学校 技術家庭科教諭 外村拓也先生
今回Inspire Highのプログラムを実施して、多様なガイド陣の話を聞き、同世代の違う学校の生徒と共有し、考えにふれ自分とさらに深く向き合うという思考を可視化するプロセスが、社会に近いリアルなカタチだと思いました。
学校は「実社会との関連性」や「学ぶ楽しさ」を感じ難いことが多いですが、授業が終わっても見ている生徒もいて、学ぶことの本来の楽しさを感じているように思いました。実社会のような多様性も担保されているので、生徒の中で「コネクト」されたのだと思います。

■専門家によるコメント
国立大学法人奈良教育大学 教職大学院 准教授 小崎誠二先生

子どもたちが教室で、自らの思いを「創造的」にアウトプットするためには、信頼できる先生や友だちの中で挑戦できる安心感と、デジタルも活用できる自由度の高い環境が必要です。

できそうなことは自分ひとりでやってみたい。無理だと思うことは誰かに助けてほしい。答えのない課題と向き合って試行錯誤を繰り返しながら、自らの力と可能性を感じながら成長していく子どもたち。特性や状況を理解しながら場を創り、見守る先生の存在がとても大切です。

■調査主体によるコメント
アドビ株式会社 デジタライゼーションマーケティング本部長 小池晴子

このたびの調査結果で「創造力の自己認識が高い中高生は、普段からものづくりに取り組んでおり、PCやタブレットなどのデジタルデバイス利用歴が長い」という興味深いインサイトが得られました。これは、GIGAスクールによる小中学校でのデバイス導入や、今後の高校のBYOD化の加速など、これからの未来で活躍するデジタルネイティブ世代の教育のICT化を後押しするものと考えます。アドビは、「Creativity for All: すべての人に『つくる力』を」という理念のもと、日本の子どもたちの創造力を伸ばし、また子どもたちが自分の創造力に自信を持つためのサポートを続けてまいります。

株式会社Inspire High 代表取締役 杉浦太一
今回の取り組みで私たちにとっては特に意義深かったのは、全国29の公立私立の学校が幅広くご協力くださったことです。創造力という、これからを生きるために必要な力を養う機会が、地理的、経済的、学力的な違いによって格差が生まれてはいけないと考えています。今回、多様な学校が主体的にご協力くださったことは、そのように考える私たちにとって大きな希望となりました。同時に、「答えのない問い」を考えることや、私たちがプログラムを考える上で最も大事にしている「心理的安全な環境」が創造性教育において大切であるということを証明できたことも、望ましい結果でした。ご協力くださった先生方、生徒の皆様、誠にありがとうございました。

■調査概要
サンプル数:合計:3,567ss(内訳:中学生1,509ss 高校生2,006ss その他(小学生)52ss)
調査手法 :Inspire Highのプログラムを2回受講し、その前後でGoogleフォームにてアンケートを生徒に対して実施。
調査期間 :2021/4/1 〜 2021/6/30
調査主体 :アドビ株式会社、株式会社Inspire High
調査協力 :株式会社TesTee
調査協力校(50音順):茨木市立東雲中学校/茨木市立豊川中学校/茨木市立三島中学校/クラーク記念国際高等学校/熊本市立千原台高等学校/工学院大学附属中学校・高等学校/甲南高等学校/相模女子大学中学高等部/四條畷学園高等学校/昭和学院中学校・高等学校/女子聖学院中学校/青翔開智中学校・高等学校/同志社中学校/戸田市立喜沢小学校/戸田市立喜沢中学校/都立新宿山吹高等学校/都立農業高等学校/都立南多摩中等教育学校/ドルトン東京学園 中等部/長野県松川高等学校/日立工業専修学校/広尾学園中学校/広島県立呉宮原高校/広島県立戸手高等学校/宝仙学園中学校・高等学校/明星学園中学校/安田女子中学高等学校/立命館宇治高等学校/立命館高等学校

■調査結果に関する報告会・交流会の開催
「創造的な教室はどうつくる?」アドビ・Inspire Highによる中高生の創造力育成に関する調査報告会
創造的な教室はどうしたらつくれるのか? 新学習指導要領により定義された「生きる力」および「思考力・表現力・判断力」はどのように育んでいけるのか? 今回実施した調査結果の報告とともに、調査実施校の先生方とのトーク、また参加する先生方の意見交換の場としたく思います。お気軽にご参加くださいませ。

開催日時:2021年9月7日(火) 18:30-20:00
場所  :オンライン(zoom)
対象者 :小中高の先生・自治体教育委員会の方
参加費 :無料
登壇者 :アドビ株式会社 デジタライゼーションマーケティング本部長 小池晴子
株式会社Inspire High 代表取締役 杉浦太一
申込期限:9月3日(金)
参加申込: https://forms.gle/v5AyEvaBV5pxa7n1A

■Inspire Highについて

世界中の創造力と自分をつなぐ、10代のためのEdTechプログラム。プログラムを通して、普段ふれあう機会の少ないアーティストや起業家、映画監督、漁師、科学者などクリエイティブに生きる大人たちと、答えのない問いについて考え、同世代で共有し合う双方向型のEdTechプログラム。学校向けに、総合的な探究の時間や特別活動、道徳、公共など幅広くEdTech教材として提供しており、2020年度においては、経済産業省が主導する「未来の教室」実証事業にも採択されています。

Inspire High公式サイト:https://www.inspirehigh.com/
学校・教育機関向けページ:https://www.inspirehigh.com/school
資料ダウンロード・説明会申込: https://www.inspirehigh.com/school_contact

■「アドビ」について
アドビは、「世界を動かすデジタル体験を」をミッションとして、3つのクラウドソリューションで、優れた顧客体験を提供できるよう企業・個人のお客様を支援しています。Creative Cloud( https://www.adobe.com/jp/creativecloud.html )は、写真、デザイン、ビデオ、web、UXなどのための20以上の デスクトップアプリやモバイルアプリ、サービスを提供しています。Document Cloud( https://acrobat.adobe.com/jp/ja/ )では、デジタル文書の作成、編集、共有、スキャン、署名が簡単にでき、デバイスに関わらず文書のやり取りと共同作業が安全に行えます。Experience Cloud( https://business.adobe.com/jp/products/adobe-experience-cloud-products.html )は、コンテンツ管理、パーソナライゼーション、データ分析、コマースに対し、顧客ロイヤルティおよび企業の長期的な成功を推進する優れた顧客体験の提供を支援しています。これら製品、サービスの多くで、アドビの人工知能(AI)と機械学習のプラットフォームであるAdobe Sensei( https://www.adobe.com/jp/sensei.html )を活用しています。

アドビ株式会社は米Adobe Inc.の日本法人です。日本市場においては、人々の創造性を解放するデジタルトランスフォーメーションを推進するため、「心、おどる、デジタル」というビジョンのもと、心にひびく、社会がつながる、幸せなデジタル社会の実現を目指します。

アドビに関する詳細な情報は、webサイト( https://www.adobe.com/jp/about-adobe.html )をご覧ください。

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掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部