ふだんからガムをよく噛む人は髪が太い?!咀嚼による頭皮血流の影響か
今回の研究では、毛髪関連の症状を自覚しないロッテ中央研究所員27名を対象に、これまでの生活(平日)の中でのガム咀嚼時間が多い群と、少ない群に分け毛髪径を比較したところ、ガム咀嚼時間が多い群で頭頂部毛髪が有意に太いという結果が得られました。
本研究はあくまでこれまでのガム咀嚼習慣と毛髪径についての調査研究であり、ガム咀嚼習慣と毛髪の太さに関する因果関係を証明したものではありません。今回の研究結果を足掛かりに、今後、専門家のご意見を伺いながら、咀嚼による頭皮血流への影響や長期ガム咀嚼介入研究による毛髪径への影響を評価することで、咀嚼が毛髪に影響を与える可能性について継続して研究を進めて参ります。
■研究概要
ガム咀嚼習慣(普段どれだけの時間ガムを噛むか)と、頭部の毛髪の太さが関連する可能性について調査。
【対象】
ロッテ中央研究所の研究員27名(男性21名、女性6名、24~51歳:平均年齢36.4±8.7歳)
*毛髪関連の症状(毛髪が無い人を含む)が認められる人、毛髪に対するサプリメント・製品を使用している人、妊娠している人、2親等以内に毛髪の薄い人がおり、かつストレスを強く感じている人は、調査から除外。
【方法】
1) ガム咀嚼時間アンケート:これまでの日常的なガム平均咀嚼時間を集計し、咀嚼時間により群分け
*ガム咀嚼時間が多い群:14名(男性11名、女性3名、平均34.0±5.9歳)・・・1日の平均 51.1±13.0分
*ガム咀嚼時間が少ない群:13名(男性10名、女性3名、平均38.9±10.9歳)・・・1日の平均 10.0±6.8分
2) 毛髪径評価:頭頂部(両耳を結んだ頂点)、側頭部(耳の上部で咀嚼時に側頭筋が隆起する点)の毛髪を根元付近から10本ずつハサミで切り落とし、毛髪の切り口から約1cmの箇所をマイクロスコープで撮影し、太さを計測。
■研究結果
1日のガム咀嚼時間が多い群では、少ない群と比較して、頭頂部の毛髪径が有意に太かった
<研究結果概要>
【掲載紙】
アンチ・エイジング医学ー日本抗加齢医学会(2021年17巻2号、82-85)
タイトル:ガム咀嚼習慣による毛髪への影響 -観察研究-
著者:大島直也、菅野範、大澤謙二
【研究背景・目的】
地肌マッサージによって頭皮における血流量が上昇すること1)、頭皮マッサージを24週間行うことで毛髪径が増加すること2)が報告されています。
またガム咀嚼により、脳血流や総頚動脈の血流が増加する3)4)ことが報告されています。以上より、ガム咀嚼は頭皮血流にも影響を与え、ひいては、毛髪径に影響をあたえると仮説をたて、ガム咀嚼習慣と、頭頂・側頭部の毛髪径の関係について調査しました。
【研究方法】
■対象:ロッテ中央研究所の研究員27名(男性21名、女性6名、24~51歳:平均年齢36.4±8.7歳)
*毛髪関連の症状(毛髪が無い人を含む)が認められる人、毛髪に対するサプリメント・製品を使用している人、
妊娠している人、2親等以内に毛髪の薄い人ががおり、かつストレスを強く感じている人は、調査から除外。
■内訳:1日の平均ガム咀嚼時間が多い(平均51.1±13.0分)群:14名(男性11名、女性3名、平均34.0±5.9歳)1日の平均ガム咀嚼時間が少ない(平均10.0±6.8分)群:13名(男性10名、女性3名、平均38.9±10.9歳)
■内容:各群の頭頂部、側頭部の毛髪を毛根付近から10本切り落とし、マイクロスコープ(EV-80Z, GOKO)にて毛髪の切り口から約1cmの所を撮影し、太さを計測し、平均値を比較した。
【結果・考察】
1日のガム咀嚼時間が多い群と少ない群の頭頂部と側頭部の毛髪径を比較したところ、ガム咀嚼時間が多い群の方が、頭頂部の毛髪径が有意に太いことがわかり、ガム咀嚼習慣と毛髪径の関連性が示唆されました。
参考文献
1)曽我元,森田康治,新井賢二. 地肌マッサージの頭皮への作用. J Soc Cosmet Chem Jpn. 2014;48:97-103
2)Koyama T, Kobayashi K, Hama T, et al. Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue. Eplasty.2016;16:e8.
3) Momose T, Nishikawa J, Watanabe T, et al. Effect of mastication on regional cerebral blood flow in humans examined by positron-emission tomography with 15O-labelled water and magnetic resonance imaging. Arch Oral Biol. 1997;42:57-61.
4) 鈴木政登,石山育郎,滝口俊男, 他. チューイングガム咀嚼時総頸動脈血流量、酸素摂取量、心拍数および血圧反応に及ぼすガムの硬さの影響. 日本咀嚼学会雑誌. 1994;4:51-62.
株式会社ロッテ
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