8割は実感アリ?!花粉症による労働力低下の経済損失額は、1日あたり約2,215億円

パナソニック株式会社は、20歳から60歳までの花粉症であると回答した社会人1,324名※1を対象に、「社会人の花粉症に関する調査」を実施しました。

本調査の結果、回答者である花粉症を患う社会人の8割が花粉症の症状が仕事のパフォーマンス低下に影響していると回答し、その経済損失額は1日あたり2,215億円に該当することがわかりました。一方で、花粉シーズンより前に対策を行う人は39.6%に留まり、花粉症発症後に花粉対策をはじめる人が大多数であることが明らかになりました。また、昨今リモートワークや働き方改革など、働き方の柔軟性の促進が進むなか、花粉の時期に有給休暇や在宅勤務を希望する割合が高いことがわかりました。本調査結果に基づき、総合情報サイトAll About「耳・鼻・喉の病気」ガイド(耳鼻科医)の坂田 英明が花粉症と集中力の関係、有効な花粉対策について解説、また、All About睡眠」ガイドの坪田聡医師/睡眠専門家が花粉症と睡眠の関係性ついて解説します。

■□■調査結果のポイント■□■
①花粉症に起因する労働力低下の経済損失額は、1日あたり「約2,215億円」。
花粉症が仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすと回答した割合は約8割。

②花粉症の社会人の多くが、花粉シーズンを迎え症状がでてから対策を開始。
花粉症重症者の約半数が「花粉対策に年間1万円以上支払う」と回答。
花粉対策の上位は「マスク」、「目薬」、「空気清浄機の使用」。
導入したい対策は「舌下治療」「空気清浄機」「エアコンの掃除」「加湿器」。

 

③花粉飛散時に有給休暇もしくは在宅勤務を希望する割合は約6割…
ビジネスシーンで約7割が「花粉症ですか?」という会話を経験し、
半数以上が、相手も花粉症だった際に、親近感や好感を覚えると回答。

■花粉症に起因する労働力低下の経済損失額は、1日あたり「約2,215億円」。
花粉症が仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすと回答した割合は約8割。

花粉症の社会人に、花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が影響があると回答しました。<そう思う(32.4%)+どちらかというとそう思う(46.6%)>【図1】また、1日のうち花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間平均2.8時間となりました【図2】。これらの花粉症による労働力低下の平均時間を元に試算した、花粉症の社会人の労働力低下による経済損失額は、1日あたり「約2,215億円※2と推計されました。

 

【図1】花粉症の症状が自身のコンディションに影響を及ぼしていると思うかについて(N=1324)

 

【図2】花粉症の影響による、仕事のパフォーマンス低下を感じる時間について(N=893)※有効回答を元に算出し、0時間以上1時間未満の回答は1時間、法廷労働時間を超える8時間以上の回答は8時間として算出。

仕事のパフォーマンスに最も影響を与える花粉の症状の上位には、「鼻水(37.0%)」、「鼻づまり(20.0%)」、「くしゃみ(13.3%)」がランクインし、の症状から仕事のパフォーマンスが低下していると感じる社会人が多いことが推察されます【図3】。

【図3】仕事のパフォーマンスに最も影響を与える花粉の症状について(N=1046)

■花粉症の社会人の多くが、花粉シーズンを迎え症状がでてから対策を開始。
花粉症重症者の約半数が「花粉対策に年間1万円以上支払う」と回答。
花粉対策の上位は「マスク」、「目薬」、「空気清浄機の使用」。
導入したい対策は「舌下治療」「空気清浄機の使用」「エアコンの掃除」「加湿器」

春の花粉対策計画について尋ねたところ、毎年計画的に行っている人が51.0%と最も多く、次いで「症状がでてから」が31.6%、「対策をしていない」が10.3%となりました。計画的に対策を行うと回答した人(653名)に、具体的な開始月を聞くと、春の花粉シーズンを本格的に迎える2月~4月に対策を開始する人が60.4%と多く、2月より前から花粉症対策をしていると回答した人は39.6%に留まりました。以上の結果から、花粉症の社会人の多くが、花粉シーズンを迎え症状がでてから何かしらの対策を行っていると推察されます。【図4・図5】

【図4】春の花粉対策をはじめる時期について (N=1324)

【図5】計画的に花粉対策する人の開始時期について(N=653)

また、花粉対策にかけている費用について、花粉症の重症度別に聞いたところ、五千円未満と回答した割合が軽度、中度、重度のいずれも多いものの、重度の花粉症を患う社会人の約半数(44.0%)は「一万円以上」と回答し、「十万円以上」費用をかけているという割合5.7%おり、花粉の重症度によって、花粉対策や治療の費用に大きく差がみられる結果となりました。

【図6】花粉対策や治療に年間かけている費用の合計【重症度別】 (N=1324【内訳】重度:N=193、中度:N=612、軽度:N=519)

なお、実際に実施している花粉症対策で最も多かったのは「マスクをつける(70.4%)」で、次いで「目薬(54.2%)」、「空気清浄機の使用(35.6%)」、「自宅に入る前に服の花粉を落とす(23.9%)」、「加湿器の使用(22.1%)」となりました。この結果から、一般的な花粉対策と知られるマスクや目薬による対策に加え、室内の空気中に漂う花粉対策も広く認識され、一般的な対策なりつつあることがうかがえます。【図7】次に、花粉対策を強化するために、今後導入したいものを聞くと、「舌下治療(17.8%)」に続き、「空気清浄機の使用(15.2%)」、「花粉シーズン前にエアコンを掃除する(12.6%)」、「加湿器の使用(22.1%)」が上位を占めており、治療以外では、家電を活用した室内環境対策への注目が集まっていることがわかりました。【図8】

【図7】花粉対策で実施している事柄について (N=1261、複数回答形式)

 

【図8】今まで実施したことがない花粉対策で 今後導入したいものについて(N=1261、複数回答形式)

■花粉飛散時に有給休暇もしくは在宅勤務を希望する割合は約6割!
ビジネスシーンで約7割が「花粉症ですか?」という会話を経験し、
半数以上が、相手も花粉症だった際に、親近感や好感を覚えると回答。
昨今の「働き方改革」により、在宅勤務やフレックス・タイムの導入をはじめとした、多様な働き方を選択できる社会の実現が進んでいます。そこで今回、花粉が多く飛散する際に、有給休暇もしくは在宅勤務をしたいと思うかについて聞いたところ、そう思うと回答した割合は62.1% <そう思う:28.0%+どちらかというとそう思う:34.1%>と、会社へ出勤せず、自宅にいることを希望する社会人が多いことがわかりました。【図9】

【図9】花粉が多く飛散していると感じる際に、有給休暇を取得する、 もしくは移動せずに自宅で作業をしたいと思うかについて(n=1324)

また、ビジネスの場において、「花粉症ですか?」という会話をしたことがあるかについて聞いたところ、「ある」と答えた割合は67.8%となり、相手が花粉症だった際に、親近感や好意を覚える割合も51.2%と高く、花粉症に関する話題は、ビジネスシーンにおける春のアイスブレイクのテーマとして鉄板であることもわかりました。【図10・図11】

【図10】花粉の時期に、ビジネスシーンの最初で 「花粉症ですか?」という会話をした経験有無(n=1324)

 

【図11】ビジネスシーンにおいて、相手も花粉症だった際に、 相手に対して親近感や好感を覚えた経験について(n=1324)

なお、商談や会議中に花粉症の方がマスクを着用していた場合に気になるかを聞いたところ、約6割(61.3%)が「気にしない」と回答しました。(気にならない:38.2%+どちらかといえば気にならない23.1%)一方で、くしゃみについては54.2%にあたる約半数が「気にする」(気にする:17.7%+どちらかといえば気にする:36.5%)と回答する結果となりました。【図12・13】

【図12】商談や会議中などに、花粉症の方が マスクをつけていたら気にしますか(n=1324)

【図13】商談や会議中などに、花粉症の方が くしゃみをしたら気にしますか(n=1324)

■調査結果について、専門家に解説いただきました

All About 「耳・鼻・喉の病気」ガイド (耳鼻科)
坂田 英明 
https://allabout.co.jp/gm/gp/1531/profile/
医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医。東京大学医学部客員研究員、埼玉県立小児医療センター副部長、目白大学保健医療学部教授を経て、現在川越耳科学研究所クリニック院長

花粉症の主な症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみが一般的です。特に鼻づまりが持続すると口呼吸になりやすくなります。それが原因で頭痛や咬合の異常、夜間の睡眠などに影響が出てしまい、これらは直接的に集中力の低下にも繋がります。また、アレルギーによって自律神経の変調をきたした結果、生活リズムが崩れ、日常生活のパフォーマンスに影響すると言えるでしょう。

本調査の結果、今後取り入れたい花粉症対策として1位になっている舌下免疫療法は、きちんとした説明を受けて、正しく使用すれば一定以上の効果は望めると考えます。しかしながら治療には3年近くの期間が必要です。さらに、すべての人がこの療法に適応するわけではなく、他のアレルギーが合併していると効果が出にくいことがあります。

すぐできる花粉対策で有効なのは、長い時間を過ごす環境に、外からの花粉をできるだけ持ち込まないことです。窓を開けない、洗濯物を外に干さないといったことに加え、外出から戻る際は、玄関外で衣服についた花粉を手で払ってから入室する、自身もすぐにシャワーを浴びて体や髪についた花粉を落とすなどの対策が有効です。また、室内での対策については、調査でも実施している人が多かった「マスクの着用」、「目薬の使用」、「空気清浄機の使用」は、一定以上の効果はあります。さらに、鼻粘膜上皮の扁平上皮部分や、喉が潤っている状態だと、花粉やウイルスをブロックしやすく、花粉を吸いこまない対策として、鼻や喉の粘膜の加湿も有効です。

All About 「睡眠」ガイド
坪田 聡 
https://allabout.co.jp/gm/gp/3/profile/
医師/睡眠専門家。日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。ビジネス・コーチと医師という2つの仕事を活かし、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を提供中。

花粉症と睡眠は深い関係があります。睡眠中にも鼻がつまっていると呼吸がしにくく、睡眠が浅くなります。睡眠の質が悪いと、十分な睡眠時間をとっていても、日中の眠気が強くなります。さらに、睡眠時間が短すぎたり睡眠の質が悪かったりすると、免疫がうまく働きません。花粉症は免疫異常の1つですから、「花粉症→睡眠不足・睡眠の質の悪化→免疫異常がひどくなる→花粉症がさらに悪化」という負のスパイラルが起こります。

睡眠と仕事のパフォーマンスの関係も非常に深く、いつも8時間睡眠の人が睡眠を2時間削ると、酒酔いと同じくらい深刻な影響があるといわれています。このような理由から、職場よりも長い時間を過ごす家庭での花粉対策、良質な睡眠環境をつくることはとても大切です。布団クリーナーや空気清浄機、加湿器をうまく使うと、吸い込む花粉の量を減らせます。きれいな空気の中でぐっすり眠ってアレルギー耐性を高め、花粉症に打ち勝ってください。

また、今回の調査で花粉対策を始める時期について、最も多かったのは「症状が出てから(31.6%)」で、次いで「2 月(17.6%)」、「3 月(10.5%)」でした。スギ花粉は例年、2月上旬に九州や四国、東海、関東の一部から飛び始め、次第に日本列島を北上します。東北北部でスギ花粉が飛び始めるのは3月中旬頃です。マスクや眼鏡を使うのは、花粉が飛び始めてからでも遅くはないかもしれません。しかし、花粉症の薬を飲むなら、花粉が飛び始める2週間ぐらい前から飲み始めましょう。早めに飲み始めたほうが、予防効果が大きくなります。

【パナソニック『社会人の花粉症に関する調査』調査概要】
●調査地域:全国
●調査期間:2020年1月17日(金)~1月19日(日)
●調査方法:インターネット調査(協力:株式会社ジャストシステム)
●調査対象:全国の20歳から60歳までの社会人(男女)6,081名を対象に、花粉症の罹患有無に関するスクリーニングを行い、「花粉症である」と回答した3,198名のうち、本調査の企画意図に合意いただいた3.067名から、無作為抽出した1,324名
●有効回答:1,324名(男性:662名、女性:662名)
※調査結果を引用いただく際は「パナソニック調べ」を引用元として記載ください。

※1:20歳から60歳までの社会人6,081名を対象に、花粉症の罹患有無に関するスクリーニングを行い、「花粉症である」と回答した3,198名のうち、本調査の企画意図に合意いただいた3.067名の中から無作為抽出した1,324名を対象に本調査を実施。

※2:​花粉症による労働力低下の平均時間を元に、平成30年分民間給与実態統計調査結果(国税庁)と2019 年労働時間等実態調査集計結果(経団連)から、労働が低下すると感じる社会人の平均の給与を割り出し、本調査にて算出された社会人の花粉症患者の割合(53.0%:6,081名中3,198名)と、2019年11月分労働力調査(総務省)から花粉症の社会人数を算出した数値と掛け合わせて、花粉症に起因する労働力低下による経済損失額を算出。

<参考>
・平成30年分民間給与実態統計調査結果
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm
・2019 年労働時間等実態調査集計結果
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/076.pdf 
・2019年11月分労働力調査
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/

 


掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部