生活情報誌から見えた「今の気分」。健康意識が倍増する中、求められるのは「ワクワク感」「高揚感」!

「オレンジページくらし予報」では、今年で創刊34周年の生活情報誌『オレンジページ』が発売以来欠かさず続けている読者アンケートや、編集企画のタイトルなどを分析して、読者の生活意識の変化を調査しました。最近では、ふだんは家計を引き締めつつ、外食などにはお金をかける「メリハリ消費」の傾向や、「大そうじ」を、気になる場所だけ行う傾向が見られるなど、読者の意識の変遷を追いました。

【ダイジェスト】

料理は「とにかく安く!」から、「ぜいたくするときはする!」へ

大そうじは「フルコース型」から「アラカルト型」へ、「解放感」がポイント

健康テーマの人気は30%上昇、「わくわく感」「高揚感」でやる気もアップ

「あると幸せ家電」が、家族の「”交“福感」を高める!?

料理は「とにかく安く!」から、「ぜいたくするときはする!」へ

今どきの読者の「食」の特徴は、ふだんは節約しつつも、楽しみにはお金をかける「メリハリ消費」をしていること。「収入が減ったら、食費から切り詰める」という回答は、2004年の48.8%から、2019年の37.9%へと11ポイントダウン。同様に、「旬や季節感よりも低価格を重視する」という回答も、8ポイントダウンしていました。一見、節約マインドが減少しているように見えますが、「ふだんの料理にはお金をかけない」という意識は、この15年間で変わらず、すでに「節約することが当たり前」となっていることがうかがえます。編集企画のタイトル名を見てみると、2000年代前半は「100円どんぶり」「大満足4人分500円献立」など、「節約重視」の傾向がくっきりしていましたが、2010年代になると「食材を使いきるコツ、教えます」「大根1本・白菜1/2株使い切り!」といった、「ムダを出したくない」ニーズに応えるものが人気になりました。ただし、日常では家計を引き締めつつも、「楽しみ」への消費は意欲的なよう。「外食をすることは楽しみだ」79.0%、「ふだんの食事は質素でも、ぜいたくをするときはする」70.2%といった人が多く、ふだんはムダな消費を抑えつつ、外食などにはお金をかける「メリハリ消費」が今どきであることがうかがえます。

大そうじは「フルコース型」から「アラカルト型」へ、「解放感」がポイント

オレンジページ読者が苦手な家事のひとつ「そうじ」では、「自分なりでいい」「ゆるペース」へのマインドの変化が見られます。大そうじの実施率は、2014年の63.2%から2018年の50.3%へと、この4年間で12.9ポイントダウンしています。創刊間もない1988年には、「簡単・完璧大そうじ」というタイトルのもと、浴室やトイレ、キッチンなど、すみずみまできれいにする「フルコース型」の提案をしていました。ところが、2010年代以降になると、「寒い年末に、窓や風呂など冷える場所をそうじしたくない」「年末は忙しいので、秋口からそうじしておく」といったアンケート回答が見られるように。反面、「大そうじをしたほうが気持ちよく新年を迎えられる」と感じている人も7割以上いて、行動と気持ちにギャップがあることがわかりました。そうした実情に合わせて、誌面では「すきま時間で」「好きなところだけ」など、気になる場所だけ行う「アラカルト型」大そうじを紹介して好評を博しました。今や、大そうじは「完璧にするべきもの」から、「短時間で、好きなところだけきれいにできる、気持ちのいいもの」へと価値観が変わってきています。忙しい年末に「家じゅうをピカピカにしなければ」という思い込みから、「気になるところだけでいい」「自分なりでいい」と読者を「解放」したことが、人気につながったのかもしれません。

 

健康テーマの人気は30%上昇、「わくわく感」「高揚感」でやる気もアップ

「健康」は、読者からの支持が高まっている分野です。健康テーマに関心がある人の割合は、1999年は26.7%、2009年は33.6%、2018年は58.5%と、20年足らずのうちに倍増していることがわかります。こうした人気の背景には、健康テーマの取り上げ方の変化もあるようです。健康のなかでも取り上げられることの多い、「ダイエット」で調べてみると、1990年代は、「ローカロリー」にこだわった王道の方法が主流でした。タイトルは「健康ダイエット」「豆腐でヘルシーダイエット」など、調理法や素材の選び方で、カロリーダウンする方法が主流になっています。それに対し、近年は「続けられる」「おいしく食べてやせる」ポジティブな方法が主流に。タイトルも、「おからでかさ増し 夢の増える肉」「おなかやせスペシャル オレペ特製酢玉ねぎ」など、長続きするような「楽しい」「気持ちが上がる」ダイエット法が取り上げられています。ややもすると、ダイエットは空腹感を覚えたり、短期間で結果が出なかったりと、意欲がそがれがちです。それだけに、「わくわく感」「高揚感」で気持ちを鼓舞するようなテーマが、求められているのかもしれません。

「あると幸せ家電」が、家族の「“交”福感」を高める!?

読者のお宅を訪問する調査では、基本的な生活に必要なもののほかに、プラスアルファの楽しみをもたらす家電や商品、いわば「あると幸せ家電」を持つ家庭が目立ちました。例えば、ロボット掃除機の所持率は、2015年の5.3%から、2018年には9.8%と倍増し、「今後欲しい」と回答した人も23.1%に上りました。「掃除が苦手な私に、夫がロボット掃除機を買ってくれた! スイートテンダイヤモンドならぬ“スイートテン家電”」といった声も寄せられ、妻の苦手家事をフォローするために、夫が家電をプレゼントする、家事シェアのひとつの形が浮かびあがります。他にも、「友人が来たときに盛り上がる」ビールサーバーや、「大人数のパーティーで活躍する」おしゃれなたこ焼き器など、その家電を軸に家族や友人と心が通い合う様子が見られました。心が交わる「“交”福感」をもたらす「あると幸せ家電」は、今どきの家族を象徴するアイテムといえそうです。

こうした変化から、オレンジページでは、今の生活者の心を動かすキーワードは「気もパ」であると考えました。「気もパ」とは、気もちパフォーマンスの略。日々わくわくする「高揚感」、やらなければという義務感から自分を解き放つ「解放感」、家族や友人とコミュニケーションをとり、心が交わることで生まれる「“交”福感」という、3つの「K」に働きかけることが重要です。苦手なそうじは「かわいい」グッズでテンションを上げる、忙しい日はミールキットを使って「がんばりすぎずに」手料理を楽しむといったことが考えられます。日々の生活を楽しくするために、「気もパ」を上げることを意識してみるのもよいのではないでしょうか。

アンケート概要

●オレンジぺージ読者調査(1999年、2004年、2009年、2014年、2015年、2016年、2018年、2019年)

●「オレンジページくらし予報」について

読者モニター「オレンジページメンバーズ」には、さまざまなくらし情報・くらし体験によってはぐくまれた“くらしの目利き”たちが数多く所属しています。そんなメンバーたちの声を集めて<次のくらし>を読み解いていくのが「オレンジページくらし予報」です。WEB上でのアンケート調査、座談会など、ご相談に応じて展開いたします。

●『オレンジページ』について

失敗なくおいしく作れるレシピ情報が支持され、今年創刊34周年を迎えた生活情報誌。30~40代の主婦を中心に幅広い読者層を誇ります。発行部数=325,088部(2018年印刷証明付発行部数)。

 

 


掲載元:@Press

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部