平成時代の課長調査。最もやる気が失われたのは直近の5年間。その理由は「職場の●●関係」の悪化

JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザイン(東京都港区、代表取締役 社長執行役員:細野 顕宏、以下JTBコミュニケーションデザイン)は、「平成の課長調査」の報告書をまとめました。

 本調査では、平成から令和への転換期にある日本を、中間管理職として支える課長1,000人に平成時代の日々と新時代令和への思いについて聞きました。比較対象として若手社員への質問も行っています。調査結果からは、平成時代の課長職の厳しさが浮き彫りになり、令和時代の会社のあり方や多彩な働き方の可能性が示唆されました。

<調査概要>
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査対象者:全国在住の男女有職者で、以下の対象者を抽出。
①  現在30~59歳で、従業員数100人以上の企業で「課長」または同等の職位にある人
(部下のいない人は対象外)
②  現在18~24歳で、従業員数100人以上の企業で「一般社員」の職位にある人
有効回答者数:① 1,000サンプル ② 200サンプル
実施期間:2019年3月1日~3月6日

※2019年3月の実査時点の質問表には、新元号令和の時代を「新時代」と表示。

<主な調査結果>
【1】 平成時代の課長は、「ストレス」「板ばさみ」「これでいいのか不安」。かつての課長の権威はなく。
平成時代を課長として過ごした日々を振り返ってもらったところ、最も多かったのは「ストレスが多い」(46.8%)で、以下「上司と部下の板ばさみになる」(37.1%)、「課長としてこれでいいのかと不安がある」(34.0%)、「忙しく、時間の余裕がない」(32.6%)、「課長は孤独である」(32.1%)が続きます。なお、30代課長では、「人として成長できる」(31.0%)、「挑戦できる」(23.5%)など前向きの意見も目立ちます。(図1)
その課長自身が新入社員だった当時、上司であった“当時の課長”は「権威があった」「部下から頼りにされている」と見えていました。(図2)
さらに、いま課長の部下である若手社員からは、「ストレスが多そうだ」(38.5%)という見方もあるものの、「部下から頼りにされている」(33.5%)、「部下からよく相談されている」(27.5%)とも映っています。(図3)
部下の信頼を受け、頼られつつも、かつての課長が持っていた権威は感じられず、ストレスや不安を胸に仕事をする、平成時代の課長の姿がうかがえます。

【2】 やる気が高かった時期は、30代課長「最近の5年間」、40代課長「いざなみ景気」、50代課長「バブル崩壊期から平成不況期」が最多。
平成時代でやる気が高かった時期は、30代課長は「最近の5年間」(34.5%)が最多、その主な理由は「昇進した(65.2%)です。40代課長は「いざなみ景気(2002~2007年)」(30.3%)が最多、その主な理由は「ハードだったが、やりがいがあった「成長できた(ともに49.6%)です。50代課長では「バブル崩壊期から平成不況期(1991~2001年)」(43.8%)が最多、その主な理由は「ハードだったが、やりがいがあった」(48.0%)です。

【3】 平成時代にやる気が失われたのは、各年代とも「最近の5年間」がトップ。やる気が失われた理由は、
いずれも「職場の人間関係」。

平成時代で、やる気が失われたのは、各年代とも「最近の5年間」がトップ(30代課長28.0%:40代課長34.5%:50代課長44.8%)。特に、高年代層ほど、やる気が失われたとする割合が高くなっています。
やる気が失われた理由は、いずれの年代でも「職場の人間関係がくなかった」が最多でした。

【4】 課長の令和への意気込み、「まだやれることはたくさんある」「管理職としてもっと成長したい」「部下を成長させたい」など前向き。
令和を迎えるにあたっての課長の意気込みは、「まだやれることはたくさんある」(35.2%)が最も高く、以下「管理職として、もっと成長したい」(33.5%)、「組織の長として、部下を成長させたい」(31.9%)、「新しいことに挑戦してみたい」(30.6%)など、前向きなものが続きます。
なお、若い課長ほど「もっと成長したい」「もっと高い役職」など、上昇志向が強いこともわかります。

【5】 令和の会社の状況予測は、「現状維持」52%、「下降」23%と弱気。理由は「社内の連携不在」「魅力発信不足」。
課長の令和の会社についての、状況予測は、発展18%現状維持52%下降2%と、全般に弱含みです。「現状維持」「下降」の見通し理由は、「社内の連携や協力ができていない」(44.2%)、「自社の魅力を発信できていない」(44.0%)などが中心です。

【6】 平成時代の課長が、新入社員として人生をやり直すとしたら、「家庭や趣味を大切にマイペースの人生を」「専門家として高みを目指す人生を」など、希望は多様。
平成時代の課長に、「新入社員として人生をやり直すとしたら」と聞くと、「家庭や趣味を大切に、マイペースの人生を送りたい」(44.7%)が最も多く、「知識や技術を身につけ、専門家として高みを目指す人生を送りたい」(41.4%)が僅差で続きました。他に、「安定した組織で、安心して仕事をしたい」(24.4%)、「革新的な仕事がしてみたい」(20.3%)など、人生のやり直しに多様な希望があることがわかりました。
若い課長ほど、「昇進」「独立や起業」などの意向が強いことも示されました。

<まとめと提言>
令和は、課長のストレス軽減、挑戦のサポート急務。課長でも多彩な働き方を可能に。
平成時代を会社とともに生き抜き、いま中間管理職として、令和時代への転換期の日本を支える課長。そんな課長1,000人に、平成の日々と令和への思いを聞きました。調査結果から、ハードではあるがやりがいのあった平成前半期、最近5年間のやる気の危機、令和への意気込み、働き方への希望など、平成時代の課長の実像が浮き彫りになりました。
■権威は失われ、ストレス、不安、孤独課長へのサポートは急務
課長の平成時代はストレス、不安、孤独を抱え、以前の課長にあった権威は失われていました。また、「バブル崩壊期から平成不況期」「いざなみ景気」の時代には、「ハードだったが、やりがいがあった」と高いやる気を持っていた課長たちが、「最近の5年間」は人間関係などの要因によりやる気が失われたと答えています。いずれも課長が置かれた厳しい状況がうかがわれる結果です。
組織内に、課長の立場に寄り添い、認め、勇気づける施策や動きが必要と言えるでしょう。同じ立場の人同士で悩みやその解決策を共有する場を設ける、トップから課長層に対する期待を直接の声掛けで伝える、部下との気軽なコミュニケーションの時間を作る等が考えられます。
■令和に向けた、課長の意気込みを活かす
しかし、令和への意気込みとして、「まだやれることはたくさんある」(35%)、「管理職としてもっと成長」(34%)、「組織の長として部下を成長させたい」(32%)、「新しいことに挑戦してみたい」(31%)など、前向きな気持ちも失われてはいません。
会社は、そんな意気込みを活かす風土や仕組みづくりに取り組むことが求められます。チャレンジをサポートする仕組み作りや課長層対象の学習機会の提供なども一つの方法と言えます。
■令和時代の会社は、「社内連携」「魅力の発信」が不可欠
課長たちは、令和時代の会社の発展には「社内連携」と「自社の魅力の発信」が不可欠と考えています。例えば、こうした問題意識を持つ課長が、解決のプロジェクトを推進するような仕組みが社内にあれば、課長の挑戦意欲を活かしつつ、組織の活性化を実現することも可能と思われます。
■令和は、課長も多彩な働き方を選べる時代に
「人生をやり直すとしたら」の問いに、課長たちの多くが「家庭や趣味を大切に、マイペースの人生を」「知識や技術を身につけ、専門家としての人生を」と答えています。「やり直せないだろうけれど」という気持ちで答えた人が多かったと思われますが、人生100年時代と言われる今、この時点からそうした人生を目指すことは不可能ではありません。令和は、課長職にもそうした多様性が認められ、それぞれの良さが発揮できるような職場づくりが求められます。

<一般のお客様からの問い合わせ先>
JTBコミュニケーションデザイン 総合企画部 営業企画局
TEL:03-5657-0603

 


掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部