インターネット・セルフヘルプ(自助)認知行動療法プログラム臨床試験で、不眠症患者のうち45%が症状改善

千葉大学病院認知行動療法センター 清水栄司教授、千葉大学大学院医学研究院 佐藤大介特任研究員らの研究グループは、睡眠薬服用後も不眠症状が持続する不眠症患者に対して、インターネット・セルフヘルプ認知行動療法のプログラムが有効であることを臨床試験により明らかにしました。
その成果は、国際医学雑誌 Journal of Medical Internet Research 誌
に4月11日付(日本時間)でオンライン版が掲載されました。
  • 不眠症とは

寝つきが悪い(入眠困難)、何度も目が覚める(睡眠維持困難)、朝早く目が覚める(早朝覚醒)を主症状とする精神疾患で、全人口の10-12%に認められます。
これまでの睡眠薬を用いた薬物療法は、不眠症に対する標準的治療として世界的に最も普及しています。しかし、睡眠薬治療では十分な改善を示さないことが多いことが課題として指摘されており、新たに有効な治療法を確立していく必要がありました。

  • 認知行動療法とは

自分の「感情(気分)」や「考え方(認知)」や「行動」を見直して問題の解決を目指す、セラピストと対面で行う精神療法・心理療法です。薬物療法に勝るとも劣らない効果を持っているため、不眠症、うつ病、不安症、強迫症などの多くの疾患で、治療の第一選択とされています。

  • 今回の臨床試験の概要

本学認知行動生理学教室が開発したセルフヘルプ認知行動療法のプログラムは、セラピストがいるクリニックなどに行かなくても自宅にいながら自分で認知行動療法を実践することが可能です。毎日20分程度、インターネットで睡眠日誌をつけ、思考や行動を見直すプログラムを6週間実践する臨床試験を行いました。その結果、通常治療単独群(不眠症や睡眠薬についての心理教育が提供されるメールマガジンのみ)に比べ、通常治療にインターネット認知行動療法を併用する群の方が45%の患者において不眠症状の改善が認められました。

  • 清水栄司 子どものこころ発達教育センター長・認知行動療法センター長よりコメント

不眠症に悩む患者さんにとって、インターネット・セルフヘルプ認知行動療法のプログラムは、薬物療法以外の治療の選択肢となると期待しています。
このプログラムの利点は、利用者が自分の好きな時間に、好きな場所で認知行動療法を実践でき、対面による認知行動療法に比べ、通院の負担が少なく、治療を継続することができます。

 


掲載元:PR TIMES

Selected by COCOLOLO ライフ magazine 編集部