いい「ため息」&いい「ことば」、ヨガでいいエネルギーをシェアできる世の中に。 ヨガインストラクター ikumiさん 後篇

ストレス解消にはお金も時間もかからない「ため息」がおすすめ

編集部:それでは、今日はikumiさんご自身のストレス解消法から教えてください。

ikumi:そうですね。ストレスを溜まったときは、意識的にため息をつきます。ため息をつくと要らないものがいったん全部吐き出されるのでクリアになります。みなさん、きっと仕事で嫌なことがあると「あの人イヤだ」とか愚痴を言っていると思いますが、それだったらため息をおすすめします。ため息をつくことは決して悪いことではありません。

やり方は簡単で、思いっきり息を吸って、おなからから要らないものをすべて吐き出すイメージです。心のデトックスで、溜まった悪いものを一回手放すことにつながります。

 

編集部:ため息いいですね。ほかにも何かありますか?

ikumi:今はヨガのおかげもあって布団に入って3秒で眠れるのですが、20代前半は仕事も忙しく、ひどい不眠症に悩まされていました。眠りも浅くて夜中も何度も起きてしまうような状態でした。その頃からやっている習慣ではあるのですが、お風呂にエッセンシャルオイルを1~2滴垂らすのがお気に入りです。

エッセンシャルオイルは手軽ですから、夜のクラスの最後の瞑想の時間にはラベンダー、昼間ならグレープフルーツなど使い分けています。

 

会社員インストラクターだからこそ提供できるヨガとは?

編集部:ヨガと出会ってすごく変わったというikumiさんですが、その魅力をもっと伝えたい人たちはいますか?

ikumi:今、私がヨガを練習していると子どもが真似をしたり、私の上に乗ってきたりして、ヨガはコミュニケーションの一環としても使えるなと思っています。ですから、同じ世代のお母さんたちにヨガをもっと知ってもらいたいです。

自分の経験をいかして、マタニティ、産後のヨガのクラスなどをやっていきたいと考えています。私の経験上、保育園のお迎えは、時間ギリギリに行って引き取って、「はい、さよなら!」となりがちですから、お迎え時にちょっとヨガをしてから帰るとか、そういう提案も保育園などにできるといいなと思います。

 

編集部:会社と家との切り替え、働く母親には必要ですね。

ikumi:お迎えに行って、買い物をして、ご飯を作って、お風呂に入れて、寝かしつけて、、、夕方~夜の時間帯は地獄ですから、そこで15分でもお母さんたちが自分と向き合える時間が持てるといいですね。

また、私は産後2年で職場復帰して今でも社会人として働き続けているので、会社員経験のあるインストラクターだからこそお伝えできるヨガもあると思います。

オフィスワーカーのための季節とかライフスタイルにあったヨガを提案していきたいですね。例えば、今は繁忙期だなとか、飲み会が多いシーズンだから胃腸を壊しがちかなとか、異動の時期で不安定になりがちな季節だなとか、、、私ならではの気づきを活かしたオフィスヨガです。

 

癒し系からチャレンジ系へ。人生を変えたくてヨガを始める人も

編集部:インスタのみの宣伝とお聞きしていますが、ikumiさんのところへヨガを習いに来る方の動機はどのような感じですか?

ikumi:私のところへは、「もうちょっと私、変わりたい!」といって来てくださる方が結構います。特に最近は、淡々として変化の少ない日常を変えたいという欲求が見え隠れしますね。一言でいうと、癒し系というより、チャレンジ系でしょうか。

ヨガブームはもう10年以上も続いているので、ポーズに対してのレベルが上がり、レッスンのクオリティに対する舌も肥えてきていると感じますが、それに加えて、少し前までは「癒されたい」「リラックスしたい」という目的が多かったのが、今は「ポーズを極めたい」「もっと私がんばれるんじゃないか」といった声が増えているのが特徴的です。

 

編集部:癒しだけじゃない、動いてすっきりするというのはフィットネスブームとも関連していそうですね。

渡部:それはあると思います。私のヨガはどちらかというとパワー系になります。バーッと動いて一気に落とす。流れとしては、内観からはじめて、呼吸法、ウォーミングアップを経て、あとは動いて動いて動いて、、、最後にメディテーション、マントラ。これを1時間でおこないます。

 

編集部:その流れの中で特に意識してみなさんにお伝えしていることがあれば教えて下さい。

ikumi:始めの内観1~2分は、自分の呼吸の音に注意を向けて、「今日は呼吸が速いな」とか「疲れているな」とただ感じます。鼻の息の出入り口とか奥のほうの感覚、目を閉じて暗闇の中に何かを見るような感覚とか、ふだん意識していないところを意識するようにします。

最後のメディテーションというのはシャバーサナのことですが、この段階で力が抜けにくいという人には、イメージとしては「トーストをイメージして、自分はバター、マットはトーストでどろ~んと溶けていく感じ」と伝えます。そういうイメージでおこなうと、脱力がうまくできます。

 

ヨガを通して、いいエネルギーをシェアできる社会に

編集部:それでは、最後に、これからの抱負をお聞かせください。

ikumi:先ほどの話と通じるのですが、企業の中にヨガルームがあって、仕事中に眠くなる午後などに、ヨガを活用して気分転換が上手にできるといいなと思っています。

15分の瞑想は2時間の睡眠に匹敵するといわれています。そういうリフレッシュする場や時間を働く場に提供していきたいです。ただ、短時間のヨガでも、きちんとできていないと効果も得られないので、そういった場でインストラクターとしてお役に立ちたいです。

そして、前回の話にも通じますが、ことばは発したら一生消えません。聞いた人の魂のなかにずっと生き続けるので、簡単に人を傷つけてしまう言葉の暴力をなくいたいです。ヨガを通して、「言葉や思考、行動が周りにいいエネルギーを与えられているか」と自分に問いかける時間や空間ができると、気づくと周りの人にやさしくなっています。

人間の悩みの85%は人間関係の悩みだといわれていますし、その原因は言葉であることが多いです。一度言葉を発する前に、自分の体や心、思考をクリアにするいい「ため息」をついたり、ヨガを通じで体や心の芯の強さと柔軟性をつけることが、結果的に周りの人と幸せなエネルギーをシェアし合あえる社会につながると信じます。

 

 


ikumi

20歳で海外アパレルブランドのPRとして勤務。
運動とは無縁の仕事一筋の生活を送り、出産を経て、フルタイムの仕事に復帰。
仕事と子育ての合間を利用し「流行っているから」という軽い理由ではじめたヨガ。
練習を重ねるごとに体の柔軟性や身体能力が高まり、思い通りに自身の体と心をコントロールできることに面白さを覚え、国内外のスタジオで本格的に学びはじめる。
現在、中目黒、代官山、豊洲エリアのスタジオでクラスを開催。
Instagram @ikumi.yoga


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部