シンプル イズ ベスト!「おいしい呼吸」を味わうことを通して健康の価値を伝えたい 株式会社ブレストラン代表 沖 知子さん 前篇


今回の「こころトーク」は、ブレストラン代表の沖知子さん。初代ミスヨガでもある沖さんですが、社名に込めた「おいしい呼吸を味わう」をミッションに、現在は健康経営や働き方に沿った従業員の心の健康に特化したサービスとしての呼吸プログラムを、企業への出張スタイルで展開しています。呼吸の大切さ、ご自身の心身メンテナンス、そして今後の夢などについてお話を伺いました。前篇、後篇2回に渡ってお届けします。


 

健康を考えるようになった原点は大学生時代

編集部:どうぞよろしくお願いします。まずは、沖さんはヨガインストラクターでもありますが、健康をテーマに起業されたのですか?

沖:ヨガは、10年くらい前、丁度ホットヨガが流行り始めていた頃に出会いました。もともとスポーツをしていたのですが、部活がなくなって運動不足気味だったこともあり、エクササイズの一環としてスタートしてその後ずっとレッスンに通っていました。

そんな中、私が大学生の時に5人きょうだいの一番の上の姉が病気で亡くなり、社会人になって間もなく父親も他界し、立て続けに身近な人の死というものに直面しました。実はこのことが健康をテーマに会社を興すことになる私に大きな影響を与えています。
大学卒業後はオーダーメイドの枕メーカーに就職して、睡眠から健康を考えていたのですですが、「自分の本当にしたいことは何か?」と考えるようになり、もっと健康に関わることを自分から発信をしたいと思うようになりました。

その頃には、ヨガに対する向き合い方もどんどん深まり、哲学的な考え方や呼吸など本質的な部分をもっと知りたいと思うようにもなっており、ヨガのインストラクターになろうと決意しました。会社を辞めてヨガの養成スクールに入り、今から4年前にインストラクターデビューをしました。

 

一番シンプルな「呼吸」を通して健康の大切さを伝えたい

編集部:ヨガの中でも、なぜ呼吸にフォーカスしたのですか?

沖:私はシンプルでわかりやすいのが好きで、それが呼吸だったのです。

少しヨガの話をしますと、ヨガの考え方に八支則(はっしそく)という8つの段階・行法があります。1段目と2段目は哲学や思想の部分(日常でやってはいけないことと、実践すべきこと)、3段目は体を整えるための「ポーズ(アーサナ)」、次の4段階目に「呼吸法(プラナマーヤ)」があります。その後「五感の制御」「集中」と続き、そこを超えると「瞑想」、最期は悟りである「三位一体(サマーディ)」に達すると考えられます。
これらのどの段階でも行っており、要ともいえるのが4段階目の「呼吸」です。

 

編集部:一番シンプルなのが呼吸ということですか?

沖:そうです。みなさん生きている間、毎日呼吸をしていますが、改めてそのことを考えることはあまりないと思います。
でも私は、家族を亡くして「生きる」ということを学びました。そして、生きていることが当たり前ではないし、みなさんにもっと「生きている」ということを実感してほしいと思う気持ちが強くなりました。

先ほどお話したヨガの教えの中に瞑想がありますが、瞑想といってもなかなか伝えるのは難しいですよね。シンプルにメッセージを伝えたい!と考えると「呼吸」に行き着き、「呼吸のレストラン」をそのままブレストランという会社名にして、「呼吸」にフォーカスして健康の大切さを伝えていくことにしたのです。

 

ヨガの枠を超えて、「呼吸」の大切さを企業への出張スタイルで伝える

編集部:企業研修などをされて、難しいと感じられることはありますか?

沖:あります!ブレストランを2年間やってきて実感しているのは、ヨガ教室と企業研修では受ける方ではそもそも意識の持ちようが違うということです。

ヨガ教室のクラスには、女性を中心に、元々ヨガに興味のある人が来てくださっていました。企業の中で行うレッスンも、自由参加が多いので自分の意思で受けて下さる方がほとんどですが、やはりみなさんがそこまで興味があるというわけでもなく、呼吸に意識を向けるときなども今一つ集中力に欠けているな~と感じることがあります。やはり企業の中で行う場合は、多少なりともやらされている感が働くのかもしれません。そこをグッと集中してもらう必要があります。

 

編集部:企業の場合は、男性も多いと思いますが、男性と女性で反応の違いはありますか?

沖:一般的に言えることでもありますが、男性はヨガと聞くと、「身体が硬いから..」と抵抗感を示される方が多いです。ヨガという言葉は出さず「呼吸」というワードを打ち出すと、男性でも興味を示されて比較的入りやすそうな印象を受けます。

 

編集部:レッスン後はどのような反応を示されるのでしょうか?

沖:レッスンではもちろん呼吸を大切にするのですが、身体が固まっていると深い呼吸はできないので、まず少し身体にフォーカスしてほぐしてから呼吸へ移っていって、より深い呼吸へ導くようにしています。
レッスン終了後、女性は感覚的に気持ちよさを実感されて、「すっきりした~」「気持ちよかった~」という声がたくさん出てきます。一方で、男性は身体が硬い人が多いので、どうしても、レッスン後の気づきがそちらに行ってしまうところはありますね。

 

深い呼吸にはセロトニンの分泌を促す力がある

編集部:呼吸を深めることでの効果やメリットといったことはあまり前面に出されていないのでしょうか?

沖:実際に働くみなさんの悩みは、肩こり、腰痛、眼精疲労etc.ですが、そこにはあまりフォーカスしません。ブレストランでは、一般的なヨガのレッスンではお伝えしない、脳で起こっていることを説明します。

具体的には、ONからOFFスイッチへの切り替えや、交感神経が優位な時に出る脳の神経伝達物質アドレナリンのバランスを整える働きのあるセロトニンの重要性についてです。別名‘幸せホルモン’とも言われるセロトニンは、現代生活はパソコンやスマホ漬けで脳がずっとON状態であると不足しがちですから、深い呼吸によってOFF(リラックスモード)に切り替えることで分泌を高めるという説明をします。また、セロトニン濃度を高めることで、意欲や好奇心や創造力に関わる脳の前頭前野の働きが高まることもお伝えします。

 

編集部:働く人たちが興味を持つ分野でもありますね。

沖:企業研修を始めて、男性は左脳からのアプローチがある方が呼吸にも興味を示されることがわかってきました。ですから、「脳を休めて生産性を上げる」と言ってみたり、データやグラフなどのエビデンス、脳の図解を使いながら説明をするような工夫をしています。

実際、企業でレッスンする前は10分ほど、こういった知識面の話をするようにします。こうやって左脳を刺激することで男性でも「お、呼吸、大事そうだな。じゃ、やってみるか」という心構えになりますし、実際にレッスンをやった後に「あ、そういうことなんだ…」と実感してもらえるという手応えを感じています。

後篇に続く


沖 知子(おき さとこ) SATOKO OKI
2007年にヨガと出会いYOGA歴11年。
2014年に資格取得後、多くの企業向けヨガを担当する。
2016年にはMissWORLD JAPANファイナリストに選抜され、初代「ミス・ヨガ」を受賞。その後、ファッションの祭典神戸コレクション出場、ヨガポーズモデルとして様々な書籍・雑誌に抜擢される。
また、海外でのヨガレッスンや世界遺産「金峯山寺」にて寺ヨガを大成功させるなど、国内外問わず多くの実績を積む。
2017年から株式会社ブレストラン、代表取締役を務める。
同年、健康の大切さを伝えるため、日本の地上波では初のヨガ番組「GINZA YOGA」の監修と出演を担うなど多岐にわたり活躍中。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部


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