心が折れやすい人、折れにくい人の違いとは? ライフバランスマネジメント研究所 代表 渡部卓さん Vol.3


現代社会はストレスとの闘いです。「こころを整える」ためにどうすればいいのか、各界の著名人をゲストに招いてCOCOLOLOライフmagazine編集部がメンタル面の変化に着目しながら切り込んでいく「こころトーク」。

今回のゲストは、豊富な職場とマネジメント経験をもとに、現代職場特有の問題と改善対策など難解なテーマに対し、専門用語を使わずに数多くの講演・ワークショップをされている渡部卓さんです。今回は心が折れやすい人と折れにくい人の違いについて語っていただきます。

心の折れやすい人、折れにくい人の違いは?

編集部:心の折れやすい人と折れにくい人がいると思うのですが、その違いはなんでしょうか?

渡部:精神科のケアが必要な病気の方も一部いますが、一般論でいいますと性格が云々というのは学術的に証明されているわけではありません。心が折れやすい人というのは「心配性」の人が多いと感じています。余計なことを心配する。大抵その心配より何ともないことの方が圧倒的に多いのですが、またすぐ忘れて次の心配事がでてくる。

 

編集部:“心配しないようにしよう”と思ってもなかなか難しいかもしれませんね。何か良い対処方法などはありますか?

渡部:「日記」をお勧めしています。あまり構えずに、嫌なことや頭にきたこと、悲しかったことなどを中心に書き溜めていくのです。

 

編集部:毎日嫌なことを書いていたら、ますます嫌になったりしませんか?

渡部:その逆なのです。
例えば、上司に「会社やめちまえ」なんて酷いことを言われて、ものすごいパワハラなんじゃないかと怒って、10点満点中8点の怒り!みたいなことを書いておく。その後、期間をあけて自分で見直すのです。頭を冷やしたり友達だったらどう客観的にみるだろうか、という感じで。
学会でも発表したことがあるのですが、このように嫌なことを書き出して点数をつけて、一週間後や一か月後などに自分でもう一度見直す。そして改めてその嫌なことに点数を付けなおしてもらうと8割の方の点数が改善されました。

 

編集部:客観的に振り返ることが大事なのですね。

渡部:やっぱり記録しておかないと、どんどん流れていってしまいますからね。上司は自分のことを嫌っているとか、上司はいつも自分を目の敵にしているとかなんでもいいから気になったことを書いておきます。そして後日振り返ったときに、あのとき上司は機嫌悪かったけれども翌日はそうでもなかったとか、隣の山田さんにも怒鳴ってたから私だけではなかった、とかそういうことが見えてくるのです。
記録することによって少しずつ溜っていくと、心の堤防ができていきます。
自分の認知の仕組みを理解できてくると歯止めがかかってきますよね。
極端に言えば、このような思い込みや誤解偏見が自分を苦しめているのです。

 

編集部:考え方の癖のようなものでしょうか?

渡部:「絶対」や「必ず」などの言葉に現れることもありますね。世の中に絶対なんてないですから。「絶対失敗します」「私の上司は必ず怒ります」とか。「なんとかしなければならない」や「確実に」などもありますね。
簡単に言えば頑固な人。今までは日本社会は頑固一徹真面目にやっていれば会社も国もまわってきたと思うのですが、今の時代は変化の時代ですから。頑固さが結局自分を苦しめてしまうと思うのです。

認知の歪みをただすきっかけとして、私は「錯覚のトリック」をやることもあります。目の錯覚のようなものありますよね?ああいうものをすると皆さん驚かれるんですよね。こんなもんですよと。思っていることも本当にそうなのかは、この錯覚みたいなものかもしれないと。そこから少しほぐれていく気がします。あとはやはりカウンセリングですね。しかしカウンセリングというと、自分が病人扱いされているようで嫌がる方もいます。その場合はコーチングをしています。内容はカウンセリングなんですけどね。

不安を抱えている方というのは、過去のことを思い出したり将来のことを不満に思ったりしていてるのですが、現時点ではそんなに悪いことは起きていないことが多いのです。今のことだけを一生懸命やることが大事ですね。

 

編集部:まさにマインドフルネスの考え方ですね?

渡部:そうですね。マインドフルネスは私ももう10年以上意識していやっています。シンプルに、目を閉じて呼吸を意識して、寝ながらのんびりボディスキャンみたいなことをしています。不安を抱えている方には「今」を感じてほしいですね。

 

「心配しないように」「不安にならないように」と意識しても、現実的には難しいですよね。
「日記」という身近なものに想いを書き綴ることで、気づきを得られたり少しずつ心の堤防ができていくというのはとても心強いと感じました。思い込みで心配したり、先のことを考えて不安になるよりも、「今」を感じて心穏やかに過ごしていけたらいいですよね。日記でのメンタルヘルス予防をもっと知りたい方は、渡部先生より推薦図書を教えていただきましたので参考になさってみてください!
※「体と心が健康になる感情日記のつけ方」最上悠(著)CCCメディアハウス刊

 


渡部 卓(わたなべ たかし)

帝京平成大学現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表、産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ
グローバル企業からベンチャー企業まで、豊富な職場とマネジメント経験をもとに、職場のメンタルヘルス対策、ワークライフコーチングの第一人者として、講演、企業研修、教育分野、マスコミでの実績は海外も含めて多数に上る。著書に『折れない心をつくる シンプルな習慣』、『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』、『人が集まる職場 人が逃げる職場』などがある。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部


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