海外に学べ?ワークライフバランスの整え方 ライフバランスマネジメント研究所 代表 渡部卓さん Vol.2
現代社会はストレスとの闘いです。「こころを整える」ためにどうすればいいのか、各界の著名人をゲストに招いてCOCOLOLOライフmagazine編集部がメンタル面の変化に着目しながら切り込んでいく「こころトーク」。
今回のゲストは、豊富な職場とマネジメント経験をもとに、現代職場特有の問題と改善対策など難解なテーマに対し、専門用語を使わずに数多くの講演・ワークショップをされている渡部卓さんです。ワークライフバランスの整え方について語っていただきます。
「ワークライフバランス」日本と海外の違い。どう整える?
編集部:昨今「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」が大事と言われていますが、現実のところはどうなのでしょうか?作業量が減らない中早く帰れと言われ、20時には電気を一度消され食事の時間や休む時間を削ってやりくりしているという人の声も耳にします。
渡部:働き方革命と言われていますが、実際には8~9時あたりから19時くらいまでずっと集中して働いていたりして、全然よくなっていない気はしますよね。生産性も上がっていないのではないでしょうか。よく聞くのは、やっぱり「日本人は働き方が下手」ということですね。
日本は会議が多い。その際遅刻にはうるさいですが、終わりの時間がダラダラしがちです。海外だと会議の到達目標が明確で進捗を確認しながらやっていて、遅刻する人がいても終わりの時間がしっかりしています。また、日本組織はヒエラルキーがあり、ピラミッドを上がっていくのは時間がかかります。責任の所存をはっきりさせるのも嫌いますよね。それだけに根回しに時間がかかります。
このように、効率が悪いと感じる要素があります。
編集部:ワークライフバランスを整えるという意味で、オンとオフの切り替えが大事になってくると思うのですが、そのあたりについても教えてください。できるビジネスマンはオンオフの切り替えがうまい、ということはあるのでしょうか?没頭する趣味があったりですとか。
渡部:趣味にはアクティブ系(積極的)とパッシブ系(受動的)があって、アクティブ系はストレスを抱えてしまう人が多いですね。目いっぱい活動してしまうイメージです。海外は圧倒的に休みが長いですよね。長期間休みをとれるなら、アクティブ系もパッシブ系もバランスよくコンビネーションできるわけです。でも日本は大抵1週間ほどなので、どうしても目いっぱいギリギリまで遊ぶというか活動してしまいますね。休むタイミングも重複するので効率も悪い。旅行に行くのも渋滞で帰りには疲れてもう旅行に行くのが嫌だとなってしまいます。
編集部:そんな日本人におすすめの方法はありますか?
渡部:私は軽井沢に小屋を持ち、そこでバランスをとっています。「セカンドハウス効用」ですね。ロシア人なんかはみんな持っていて、最近では中国人も増えています。もし小屋(別荘)を買ってまでは厳しいということであれば、車で2時間程度の場所へドライブするのもいいと思います。車の中でいろいろ頭の整理ができてとてもおすすめです。私の場合は、不安やイライラみたいな気持ちが到着するころには半分以下になっています。
ただ、最近の若い人は自然に触れることをストレスに感じる人が増えています。虫が怖いとか。私のような世代とは感覚が全く違うので、自分がよいと思うものの押し付けにならないように注意が必要かもしれませんね。
なかなか遠出できない場合は、音楽もお勧めです。私はキリスト教のゴスペルを歌うと心が整うことを実感できます。また最近はウクレレやギターを習いにいっています。部屋でがしゃがしゃやっているだけで機嫌もよくなっています。いわゆる音楽療法ですね。
最近では、オンオフを分けること自体よくないのではないかという論調もでてきています。「遊ぶように働いて遊びながら働く」というイメージでしょうか。ご自身にあったバランスをうまく取り入れていけるといいですね。
IT社会になり、私たちの生活環境は大きく変化しました。そんな中、現代の大きなストレス原因が「気疲れ」と「漠然とした不安」と語られた渡部さん。長寿社会になった今、「どう過ごすか」を意識してワークライフソーシャルバランスをとっていきたいと感じました。
次回はワークライフバランスの整え方についてお話いただきます。お楽しみに。
渡部 卓(わたなべ たかし)
帝京平成大学現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表、産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ
グローバル企業からベンチャー企業まで、豊富な職場とマネジメント経験をもとに、職場のメンタルヘルス対策、ワークライフコーチングの第一人者として、講演、企業研修、教育分野、マスコミでの実績は海外も含めて多数に上る。著書に『折れない心をつくる シンプルな習慣』、『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』、『人が集まる職場 人が逃げる職場』などがある。
編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部