「思い込みに気づかせる」スポーツメンタルコーチの仕事とは?スポーツメンタルコーチ・鈴木颯人さん


仕事や趣味で最高のパフォーマンスを発揮するにはどうしたらいい?

悩みや不満など、ネガティブな気持ちはどのようにして解決すればいい?

心と身体に休息を与えて、心身のバランスを上手に保つ方法は?

 

現代はストレス社会と言われますが、適度なストレスはヒトの成長に欠かせません。日々「こころを整える」ためにどうすればいいのか、COCOLOLOライフmagazine編集部が様々な分野で活躍する人物からそのヒントを探る「こころトーク」。

今回のゲストは、数々のアスリートのパフォーマンスをコーチングによって激変させてきた、スポーツメンタルコーチ・鈴木颯人さん。高校時代にプロを目指した野球での挫折。そして社会人生活でのリストラから始まった、多くの悩みや葛藤。そうした自らの経験をもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮するメソッドを構築したそうです。

全9回にわたってお届けするインタビュー第1回では、自分の能力を制限してしまっている人々に、スポーツメンタルコーチの立場から気づいてほしい事を、COCOLOLOライフmagazine編集部の板生研一(WINフロンティア㈱代表・医学博士)との対談形式でお話しいただきます。

編集部:多くのアスリートを飛躍させてきたご経験をもとに、色々なお話や考え方をお伺いできればと思います。宜しくお願いします。

鈴木:ぜひ、宜しくお願いします!

 

スポーツメンタルコーチの仕事とは

編集部:ではまず、スポーツメンタルコーチのお仕事内容について聞かせてください。

鈴木:はい。大きく分けて、僕の仕事は3つあります。資格講座の主催やミニセミナーでの講演、そして一番のメインは個別のコーチングです。セミナーは、地方に行ったり、外部から委託されてやったりしています。僕の仕事は簡単に言えば、アスリートの結果を引き出すといいますか、結果を出させてあげるために、メンタル面からサポートしていくという事ですね。

結構メンタルトレーナーとか言われるんですけれど、僕はどちらかと言うと、『メンタルコーチ』というコーチングの部分を目標にしています。

メンタルトレーニングだと、「この症状に対しては、こういうことをやって下さいね。」という処方箋を与えるようなイメージですが、コーチングと言うのは、どちらかというと二人三脚で行うものなので、その人が叶えたい夢や目標に導いていくという感じです。その時の心理状況は人それぞれ異なるので、その人がどうしてうまくいっていないのかという根本的な部分を突き止めて、それが思い込みだということに気づかせてあげる。これが仕事だと思っています。

 

 

編集部:メンタルトレーニングで処方箋を与えるというのは、選手のメンタル的な悩みに対して解決策を提供するようなイメージですか?それとも、もっとずっと寄り添うようなイメージですか?具体例を教えていただけると助かります。

鈴木:はい。これは実際にあった陸上の女子選手の話なんですけど、彼女が自分のメンタルトレーナーに、「モチベーションがあがらないんですが、どうしたらいいですか?」と聞いたところ、「じゃあ、このビデオ見ておいて…」という単純な答えが返ってきたそうです。

他にも、過度に緊張してしまう性質の選手に対して、「そうなんだ、緊張しちゃうんだね。じゃあこういうことやってみましょう。」と言って、体にぎゅっと力を入れてからパッと手を緩ますことで、緊張感を和らげる方法を伝えていたりするトレーナーもいます。

どれも悪い事ではないし、効果的なので、否定するつもりはないのですが、ずっとやっていく中で、これでは一時的な効果しかありませんし、根本的な部分は変わってない訳ですよね。

試合になると緊張してしまう選手の場合、一番良いのは、試合を楽しめる、そして、いいパフォーマンスを発揮できる、あるいは、自分を信じられるとか、自信が持てる、ということだと思います。

そういうあるべき姿に自分を持っていくサポートをすべきだと思うんです。じゃあそのためにどうしたらいいか?緊張してしまう理由を二人で一緒に考える。そして、それを突き止めるということですね。そういうことを僕は大切にして仕事をしています。

 

 

「思い込み」に自分自身で気づかせる

編集部:なるほど。表面的な現象だけではなくて、その根本的原因にさかのぼって、一緒に考えて解決していくということですね?

鈴木:そうですね。その時に、僕がアドバイスするのではなく、本人に気づいてもらう、自分の「思い込み」に気づいてもらうことが大事なんです。自分でも想像以上の返答が来たりするので、僕は質問して、一緒に考えて、答えを引き出す・・・。

 

 

編集部:なるほど、まさにコーチングですね。「思い込み」に気づかせるためには、どういう質問をその選手に投げてあげるかが大事ですね。

鈴木:そうですね。僕はメンタルコーチを始めてもう6年経つんですけど、これは結構シンプルなものなんです。自分自身のイメージ、これを「セルフイメージ」と言いますが、このセルフイメージの話をすると、選手はだいたい「思い込み」の話をしてくれるんです。

というのも、セルフイメージの話をする中で、その選手の経験の話をしてくれることが多いのですが、たいていその話の1つ前の話が、その選手の「思い込み」であるケースが結構多いんですよ。

 

つまずく原因は、能力でなく、能力を制限するその人自身の「思い込み」。そう語る鈴木さんの言葉からは、誰しもが秘めた力を気づかないまま発揮できずにいる可能性を、強く感じさせられます。

次回は、鈴木さんがスランプに陥った選手たちを立ち上がらせた、意外な方法をお届けします。どうぞお楽しみに!

 


鈴木颯人
スポーツメンタルコーチ

1983年、イギリスに生まれ東京で育つ。
スポーツ推薦で入学した高校時代にプロを目指した野球で挫折。その時の経験をもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮するメソッドを構築。競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによって数々のアスリートのパフォーマンスを激変させている。著書に「一流をめざすメンタル術」などがある。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部


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