いつかの大成功より、今日の「小さな創造」を ~ キャリアアップを目指す若手こそ「リトルC」を積み上げよう ~

キャリア志向の落とし穴──「がんばっているのに、なぜ成果が出ないのか?」

「もっと上に行きたい」「結果を出して認められたい」──

そう願う若手ビジネスパーソンは、日々プレッシャーの中でもがいています。

でも実際には、出世意欲が高い人ほど、自分の心と脳の限界に気づきにくい
「努力が足りない」「もっとスピードを」と自分を追い込み、気がつくと思考が硬直し、ひらめきも余裕もなくなってしまっています。

この状況を科学的に説明してくれるのが、アメリカのシラキュース大学経営学部のクリスティン・バイロン博士らのメタ分析(2010)です。

彼らは、仕事におけるストレスと創造性の関係について、多くの研究結果を統合して分析しました。
その中で浮かび上がったのは、ストレスには「多すぎても少なすぎても創造性にマイナスになる」という、「ヤーキーズ・ドッドソンの法則」にも通じる非線形の関係です。

*「ヤーキーズ・ドッドソンの法則」とは、適度な緊張が最も高いパフォーマンスを生むという心理学理論

この法則では、「ストレスや覚醒レベル(緊張感)」と「パフォーマンス(ここでは創造性)」の関係は、逆U字型を描くとされています。

つまり、

  • ストレスがなさすぎると、脳は刺激を受けず、注意力も集中力も上がらず、創造的な思考が起きにくい。

  • 適度なストレス(緊張感)があると、脳は活性化され、柔軟で新しいアイデアが生まれやすくなる。

  • ストレスが強すぎると、脳は防衛モードに入り、発想力や問題解決力は一気に落ち込んでしまう。

「創造性を発揮できない」のは意志の問題ではなく、脳がひらめきを生み出せる最適な「心理的コンディション」からずれてしまっていることが原因かもしれません。

大きな成果より「小さな創造」──「リトルC」を発揮する

創造性というと、“すごいアイデア”や“革新的な発明”を思い浮かべがちです。
でも実際は、「ちょっとした工夫」や「日々の発想の工夫」こそが、本当の創造性の土台です。これを「リトルC(小さな創造)」と呼びます。

アメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校経営学部のマーカス・ベア博士らの研究では・・・