還暦を超えてオスであり続けるために~弁護士・上西浩一さんのライフスタイルとしてのピラティス【My Story】(前編)
ピラティスを継続的に実践することで、身体や精神、はては人生そのものが変わったという先輩たちの話から、ピラティスで自分を「変える」ためのヒントを得ようというこの連載。今回紹介するのは、ピラティス歴3年の弁護士、上西浩一さんだ。一般的に、心身両面でハードなイメージのある弁護士という仕事だが、上西さんはもう何年も、週1回のピラティスを欠かしたことがないという。還暦を迎えてなおバイタリティーに溢れる上西さんのライフスタイルに迫った。
「このままでは相談を受ける前に自分が逝ってしまう」
上西さんは1957年、鹿児島生まれの60歳。東京・神田に自身が代表を務める弁護士事務所を構え、会社、交通、労働問題など幅広い案件の弁護にあたっている。
「弁護士の仕事は医者と似ている」と上西さんは言う。
「患者さんが何か身体に不調があった時に医者のところへ行くように、お客さまは何か困ったことがあるから弁護士のところを訪れるわけです。困ったことがあって弱っている人に対して、相談を受ける側が弱々しくて不健康に見えたのでは、安心させてあげられないですよね。安心感を醸成するためには、弁護士は健康である必要があるんです」
だが、一方で弁護士の仕事はハードだ。日中はもちろん、連夜の酒席も欠かすことのできないものであり、どうしても体調を崩しやすい。筋力や健康には自信のあった上西さんも、数年前には脳出血や心筋梗塞を患った。
「このままでは相談を受ける前に自分の方が逝ってしまう」--。そう思っていた矢先に付き合っていたパートナーの女性から勧められたのが、ピラティスとの出会いだった。以来3年間、週1回のプライベートレッスンを欠かしたことはほとんどないという。
「やってみると、すごく自分に合っているように感じました。私はもともと筋肉の付きやすい体質なのですが、ピラティスで使うのは他のアクティビティで使うのとは違う筋肉のようで、足りない部分をバランスよく補うアプローチがいいように思えたんです」
調べてみると、もともと第一次世界大戦中の傷病兵のリハビリとして始まったという背景があることが分かり、解剖学の観点から体系化されていることも信頼に足ると感じた。マンツーマンの個人レッスンにより、その時の自分の状態に合ったメニューを組んでくれるというのも、ピラティスにのめり込む一因になったという。
「ピラティスからの逆算」で生活をデザインする
「ピラティスに行かないと、まるでお風呂に入っていないかのようで気持ちが悪いんです」
ピラティスはいまや、上西さんのライフスタイルに完全に組み込まれているようだ。担当インストラクターからはかなりハードな動きを要求されることも増えてきたが、それも含めて楽しんでやれているという。
「もちろん、時にはきついと感じることもありますよ。でもきついと思う時というのは、だいたい体調が悪いから。そしてなぜ体調が悪いかといえば、だいたいは前夜の飲み過ぎが原因なんです。だから最近はピラティスをちゃんとやるために、そこからの逆算で日々の体調管理をするようになりました」
弁護士の仕事に酒席は欠かせないと言っても、もちろんその頻度には個人差がある。「若い頃は毎晩気を失うくらいまで飲んでいた」と言うように、上西さんは元来が無類の酒好きなのだ。
特に目がないのが日本酒、ワイン、紹興酒などの醸造酒。だが、それも今ではビールと芋焼酎中心に変えた。「美味しいものを飲むとついつい3合4合といってしまって、翌日のピラティスに響くから」と、なんとも人間味あふれる“節制”を自らに課している。
仮に毎週欠かさずピラティスに通い続けたとしても、スタジオで過ごすのは1週間のうちのたった1時間に過ぎない。残りの6日間と23時間を自堕落に過ごしていては、得られるものは決して多くはないだろう。
その意味では、上西さんのように「ピラティスからの逆算」で生活をデザインするというのは、まさに理想的と言えるのではないだろうか。
「週1時間だけで健康になれるわけはないのだから、ピラティスはあくまで一つのバネとしての利用ですよね。その1時間を最高に集中して過ごすために、日々を律していくイメージでやっています」
続きは後編で。
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