【雨の日に頭が痛い】低気圧頭痛の治し方は自律神経の乱れを防ぐ「1分あご押し」

空が低気圧に覆われ雨が降ると(もしくは雨が降る前)、「頭が痛くなる」「体がだるくなる」といった体の不調を訴える人が増えます。
こうした雨の日の頭痛やだるさは、低気圧によって自律神経(意思とは無関係に内臓や血管の働きを支配する神経)が乱れるのが原因ではないか?と推測されるようです。雨を晴れにする力は人間にはないので、雨の日の頭痛やだるさを引き起こさないための対策としては、自律神経の乱れを極力防ぐ体になることが重要です。そのためには、自律神経の通り道である首や肩に過剰な負担がかかるような「悪い姿勢」を正してみてはいかがでしょうか。雨の日と頭痛の関係、自律神経と姿勢の関係については医師の記事がありますので、一番下の関連記事をご覧ください。この記事では、雨の日に自律神経の乱れを招かないために、悪い姿勢を正す「1分あご押し」のやり方をAYATAカイロプラクティック院長の綾田英樹先生にお聞きしました。
もちろん、病院で専門医の治療を受けることも忘れないでください。

【雨の日の頭痛】は頸椎が変形した人ほど注意!?

悪い姿勢といってもいろいろありますが、圧倒的に多く見られるのが、首が前傾し、頭が前方へ出た「頭突き出し姿勢」です。
一時的に頭突き出し姿勢を取るだけでは、あまり問題はないでしょう。しかし、スマートホンやパソコン作業などで毎日長時間この姿勢を取りつづけていると、どうなるでしょうか。

頭突き出し姿勢を取りつづけるには、重い頭を首だけで支えなくてはなりません。つまり、本来は全身に分散されるべき負荷が、首に集中してしまうことになります。

その結果、首から背中にかけての筋肉が硬くこり、重い頭を支えている首の骨(頸椎)に大きな負荷がかかって変形しやすくなるのです。自律神経をコントロールしている司令塔は脳内にあるとされていますが、首の後ろ側には自律神経が通っています。

頸椎が変形すると自律神経が圧迫され、その働きが乱れて頭痛や耳鳴り、難聴、めまいなどさまざまな体調不良を引き起こすと考えられるのです。
そして、雨の日や雨が降る少し前などは低気圧がくると、頸椎が変形した人はさらに自律神経の乱れを招きやすくなる可能性があります。

また、首の周囲にある筋肉の緊張そのものが、血管を収縮させたり、ほかの神経を圧迫させたりして頭痛や関節痛などを招くこともあります。

雨の日頭痛を防ぐため、頭突き出し姿勢を正そう

首の筋肉のこりや、頸椎の変形を改善し、自律神経の乱れを防ぐためには頭突き出し姿勢を正すことを試してください。とはいえ、クセになった姿勢を変えるのは容易なことではありません。そこで私は「1分あご押し」という体操を考案しました。

頭突き出し姿勢が固定化すると、頭の位置は10~20センチ前方へ移動するため、頭を元の位置に戻すことが理想的です。しかし、私の治療経験では、実際には5センチ程度、頭の位置を矯正するだけで、さまざまな体調不良が改善する人が多いと明らかになっています。

頭突き出し姿勢を正す「1分あご押し」のやり方

1分あご押しは、イスに座って行います。そのさい、座面が沈み込むソファなどではなく、座面が硬めでしっかりした、ダイニング用や事務用のイスを選ぶことが大切です。そのようなイスが用意できない場合には、正座をして行ってもかまいません。

イスに座って肩の力を抜き、目線を正面に向ける。胸は張らないが、腰が丸まりすぎないようにする。姿勢が悪くても、意識して背すじを伸ばす必要はない。

❶基本姿勢の状態から、一方の手を使ってあごを持つ。
❷あごを後ろに押すと同時に後頭部を引き上げ、7秒間保つ。目線を正面に向けて、頭を水平に保つち腰が反らないように、おなかに軽く力を入れる。①②を5回行う(約1分間)のを1セットとして、1日計5セットを目安に仕事・家事の合間、入浴中、就寝前などにこまめに行う。

上のやり方に慣れてきたら次は手を使わないで挑戦してみてください。


注意点

  • 軽めの力でゆっくりと頭を動かす。
  • 高血圧や心臓病の人は行わない。
  • 体のどこかに強い痛みがある場合は、痛みが落ち着いてから行う。
  • 万が一、しびれが強まるなど症状の悪化が見られたら、すぐに中止する。

【体験談】雨が降る前に起こる頭痛が、ピタリと改善

実際に、自宅などで「1分あご押し」を行って頭痛の症状が改善した患者さんをご紹介します(健康情報誌『夢21』で2016年に紹介されたものです)。

山岸恵子さん(仮名・55歳)は、雨が降る前や梅雨の時期になると、側頭部にズキンズキンという片頭痛が起こり、首の後ろ側がこって痛みが出ることが習慣化していたようです。

山岸さんは秘書という職業柄、常に周囲に気を遣い、心身ともに緊張した状態で仕事を続けていたようです。パソコン作業をする時間も長く、私が見たところでは頭突き出し姿勢がクセになり、首に大きな負担がかかっていたのです。

そこで私は、山岸さんに頭突き出し姿勢を矯正する施術を行い、自宅や職場で1分あご押しをやってもらうことにしました。山岸さんは、私の指示どおり、自宅や会社で1日3〜4回は1分あご押しをすることを心がけ、パソコン作業時の姿勢に気をつけるようになりました。

その結果、1カ月後には雨が降る日も、降る前の日も片頭痛がピタリと起こらなくなったそうです。悪い姿勢を正すことで、自立神経の乱れを防げている可能性があります。
もちろん、それだけでよくならな人もいると思います。でも、頭突き出し姿勢を正すことは健康維持に役立つと私は考えています。

雨の日に頭が痛い低気圧頭痛で悩む人は、一度試してみてください。もちろん、やりすぎは禁物。上の注意点は必ず守ってください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

関連記事

参考サイト紹介

カラダネ

「カラダネ」は、『わかさ』をはじめとした健康情報誌を出版する、わかさ出版が運営するセルフケア情報サイトです。体の不調や病気、老化の悩みに「いま役立つ」「すぐ使える」情報を、医師をはじめとする専門家の執筆・監修のもとで毎日更新中!