マインドフルネスとセラピー(前編)

さて、今回のテーマはセラピーです。
マインドフルネスが欧米で注目を集め始めたのはジョン・カバット・ジン氏が仏教の中のコンセプトのマインドフルネスをマインドフルネス・ストレス逓減法(Mindfulness Based Stress Reduction,MBSR)というプログラムにしたことから始まります。

それは、宗教色を無くしマインドフルネスを効率よくトレーニングするように作り上げられています。

そして、実は50年ほど前に現在のマインドフルネスの潮流はドイツ人に予言されていました。
上智大学の神父だったフーゴー・ラサールは日本で禅に触れ次のような言葉を残しました。

「治療法としての坐禅は、おそらく欧米の医学を遠回りしたうえで日本の医術にその座を占めることになるであろう」

今まさにその予言の通りになりつつあります。
今回はマインドフルネスがセラピーに取り入れられた流れを紹介していきたいと思います。

 

 

マインドフルネス・ストレス逓減法(MBSR)

マインドフルネスがセラピーとして取り入れられたのは1970年代です。
マサチューセッツ工科大学のジョン・カバット・ジン氏がマインドフルネス・ストレス逓減法(Mindfulness Based Stress Reduction,MBSR)というプログラムを始めました。

そのプログラムの目的は西洋医学で見放された人たち、末期がん、慢性疼痛、高血圧など様々な苦しみを抱えた人たちを集めそういった方たちに教えていくというものでした。

すべての痛みは取れなくても生きるための痛みとの向き合い方、病気との関係性、生き方、人生をそのプログラムを真摯に行っていくことにより気づかせるというものだったのでしょう。

プログラムの内容はヨーガのアーサナ、仏教の手法を元にする瞑想方法を8週間のプログラムにしたものでした。

そして、ジョン・カバット・ジン氏はそのプログラムの効果を科学的に論文発表し世の中に広めていきました。

Pub Med(世界最大医学論文データベース)では1990年代には数本だったマインドフルネスの研究が現在では年間数百本と驚くべきスピードでマインドフルネスの研究が行われています。

いままで瞑想というと怪しいとかスピリチュアル系などと言って一部の人しか興味を持たれませんでしたが、科学的裏づけによりセラピーとして現在では世界的に認められています。

また、セラピーとしてだけではなく、病気の予防として、仕事のストレス軽減、集中力UPなどにも注目が集まり現在では治療以外の場面でも多方面取り入れられています。

イギリスでは日本よりうつ病患者が多いため、学校の義務教育の中にマインドフルネスのプログラムが取り入れられているそうです。

それほど、世界ではマインドフルネスは注目を集めその効果に期待を寄せています。

 

マインドフルネス認知行動療法(MBCT)


次にマインドフルネス認知行動療法(Mindfulness Based Cognitive Therapy,MBCT)の話に移ります。

マインドフルネス認知行動療法は1991年にマーク・ウィリアムズ、ジョン・ティーズデール、ジンデル・シーガルといったイギリスの研究者が開発したものです。

このMBCTはうつ病などの心の病気を持った人たち向け考案されたプログラムです。

MBSRはうつ病などの病気だけではなく痛み苦しみのある疾患に対して広く対象としているところが異なります。

このMBCTプログラムは認知行動療法という心理療法にマインドフルネスの要素を融合させたプログラムになります。

認知行動療法は貝谷先生の言葉を借りると演劇舞台での演技指導をするようなものだといいます。
それは、ある行動に対ししっかり認識をまず持つという事、認識をしたらどういう行動をとるかという事を意識して練習をしていく事を行います。
そこに気づきを向けるマインドフルネスの要素を融合しうつ病の治療に効果を上げています。

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