仕事の「ひと工夫」でメンタルを改善する
働くことの意味を実感しづらい時代
今の時代、働くことの意味(meaning of work)を実感することが難しくなっていると言われています。その理由の一つとして、仕事の複雑化が挙げられます。経済が右肩上がりで伸びていた時代は、物質的な豊かさを得たい、生活水準を欧米諸国のように上げたいという明確な目標がありました。しかし、今の時代は、生活水準が高まり、社会が豊かになった分、目標がわかりづらくなってしまいました。そして、特に大企業が扱う仕事はどんどん高度化、複雑化し、ひとつの仕事が完成するまでの工程に、多くの人が関わるため、自分がやった仕事がどう成果につながっているか、見えにくくなってしまったのです。そうなると、自分の仕事が本当に付加価値を生んでいるのか、誰のどんな役に立っているのかが実感としてわからず、働くことの意味を実感しづらいという状況が生まれるわけです。
それでも、終身雇用制度を前提とした働き方が成り立っていた時代は、仕事そのものの意味よりも、その会社に所属して働いていることが重視されてきましたので、「会社のために頑張ろう。」というモチベーションが湧きやすかったのですが、終身雇用制度の実質的な崩壊により、会社との長期的な関係を考えることが難しくなってしまうと、社員の関心は、会社よりも、「仕事そのものの意味」に向かうことになります。しかし、上述の仕事の複雑化により、社員は「今ここで、この仕事をする意味」を感じにくくなっています。つまり、これまで終身雇用が覆い隠してきた問題が浮き彫りになってきたということですね。
では、社員はどうしたらいいのか。
・部署の異動を申し出る
・副業に活路を見出す
・転職する
・趣味に生きる
など、色々あると思いますが、「もう少し今の仕事でできることはないのか」という視点で考えると、仕事のやり方や、職場の人との接し方、そして仕事に対する考え方を工夫する「ジョブ・クラフティング」という方法があります。
ジョブ・クラフティングとは?
「ジョブ・クラフティング」は、 働く人が自ら、仕事に新たな意味を見出したり、仕事内容の範囲を変えたりすることです。つまり、「やりがいを持って働けるように、働き方を工夫する手法」といえます。そして・・・
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【執筆者プロフィール】
板生 研一
WINフロンティア株式会社創業者&CEO / MBA&PhD(医学)/ SONY出身 / 東京成徳大学経営学部特任教授 / メンタル・マネジメント、クリエイティビティ・マネジメント、アントレプレナーシップの研究と実践 / 信頼できるエビデンス(海外学術研究等)に基づき発信 / noteで『起業家兼研究者が考える メンタル・マネジメント法』を連載中