うつ状態やストレスの改善に。ガーデニングがもたらす癒し効果を解説

「仕事を辞めたい」「育児を放棄したい」「人間関係で悩んでいる」
現実から逃げ出したくなるほど心身ともに追い詰められた人間は、そのストレスから、うつ状態をはじめとしたさまざまなリスクを引き寄せるといわれています。精神疾患や免疫機能の低下、体重の増加(減少)、心臓病など日常生活に大きな影響を与えかねない「ストレス」は現代人にとって深刻な問題です。

このコラムでは、世界的に発表された論文をもとに「ガーデニング」を取り入れたストレス解消法を解説します。

 

うつ状態のレベルが高いほど効果が期待できるガーデニングの力

一般的なうつ病の治療には、休養や精神療法、薬物療法が基本としてありますが、ガーデニングは薬に依存させない治療を目指した方法です。

スウェーデン大学の研究チームが実際に行った検証実験では、うつ症状のレベルが異なる約50名の被験者を対象に12週間にわたりガーデニングコースを実施。ガーデニングコース終了時に世界的に最も広く使用されている自記抑うつ症状評価「BDI-II(ベック抑うつ質問票)」を行い、うつ症状の変化を定点観察しました。

その実験結果が上記のBDI-IIで評価した被験者の抑うつ度合いの割合グラフです。うつ症状が重度である人(Severe depression)の大半がガーデニングを行うことでストレスが大きく下がり、病気で会社を休む割合が減るという傾向が減ったという結果に繋がっているのです。

人はストレスを感じると、体内でコルチゾールと呼ばれるホルモンを放出するといわれていますが、現代に生きる人は常にストレスと隣り合わせで生活をしているようなもの。自然に触れるというガーデニングセラピーは、忙しない心を癒して安らぎを与えてくれる効果があるというわけです。具体的に期待できるガーデニング効果には、以下のようなものがあります。

・ストレスレベルを下げる
・熟睡しやすくなる
・緑に触れることで心を癒す
・コミュニケーションが生まれる
・脳を活性化させる
・注意欠陥の改善
・社交性が向上する

 

なぜガーデニングが心身を癒すのか?

前述に記したとおり、ガーデニングにセラピー効果が期待できることは、大学の実験結果からも分かりました。では、なぜここまでの効果が出るのでしょうか。そもそもガーデニングという行為はストレスを下げる要素が凝縮されています。

〈五感を刺激する〉
花や緑を見て、触れて、聴いて、香りを味わう。これらは全て五感を刺激し、感性を豊かにします。

〈責任感を養う〉
植物を育てるという行為には、さまざまな知識と技術、そして工夫が必要です。「大切に育てる」という行動が忘れかけていた母性本能などを呼び覚ますチャンスに繋がります。

〈体力をつける〉
太陽の光を浴びながら行うガーデニングは身体を使うため運動不足の解消はもちろん、健康的な体づくりにも最適です。

うつ状態やストレス改善に効果が期待できるガーデニング。「好きな植物を育ててみたい」「大切な人との思い出の花がある」「食材として使うハーブがほしい」どんなに小さなきっかけでも、興味を持たれたら挑戦してみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見があるはずです。


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部