副交感神経にスイッチを入れる、快眠アプローチとは?② 

日本メディカルハーブ協会主催「心地よい眠りへのアプローチ」シンポジウム参加レポート

9月の最終日曜日、東京で行われたセミナー「心地よい眠りへのアプローチ」の参加レポートの後篇です。
「快眠」にも関係する音楽療法のお話に続いて、今回は、音楽の実際の効用、そして、今注目される睡眠のゴールデンタイムをつくるための「入眠儀式」についてお届けします。

 

目を閉じて、1回20分程度、心地よいと感じる音楽に聴き入る

理学博士で免疫学と音楽の研究の第一人者である和合治久先生は、音楽療法に関する実験室での実験を繰り返し行っておられ、その結果を発表されました。
具体的には、様々なモーツアルトの楽曲を分析器で解析し、セラピー効果の高い周波帯の楽曲を30分間聴き入ってもらい、生体機能の変化を調べると、

-自律神経バランス(パルス測定器による)
-唾液分泌量
-唾液IgA(免疫抗体)
-唾液コルチゾール
-抹消血中の免疫細胞機能(好中球、NK細胞、リンパ球)

などのスコアで、音楽を聴く前後で優位的な差が得られています。
また、被験者の実感として、「サラッとした唾液が分泌される」「体が温かくなる」「心拍が安定する」など、副交感神経にスイッチが入った反応も得られたそうです。

前回ご紹介した「不眠症の4パターン」(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難)に応じた音楽療法の用い方はあるのか質問したところ、
「基本は寝る前に聴くのですが、たとえば中途覚醒する方は、目覚めたタイミングで聴いてほしいです。眠っていても耳は音の振動を浴びています。聴いているうちに寝落ちしてしまったらそのままにしておいて大丈夫です」とのお答えでした。
また、「音楽を聴くタイミングとして、昼休みもおススメしています。脳を休め(=副交感神経を優位にする)、昼食後の消化を良くすることは腸内環境に良いので、習慣化することで睡眠の質が良くなります」とも仰っていました。

 

睡眠のゴールデンタイムをつくるための「入眠儀式」を!!

快眠へのアプローチとして、登壇者3名が共通して仰っていたことは、「生活のリズムを整える」ということです。

中でも昨今注目されているのは「睡眠サイクル」を味方につけることです。
「一晩の眠りの最初に訪れる最も深い眠り(ノンレム睡眠-脳を休める睡眠)をきちんと作る」のがポイントとなります。通常入眠後の3時間がそれに当たり、成長ホルモンの分泌が最も盛んになることから、ここを睡眠のゴールデンタイムと捉えます。細胞の修復など生体機能にとても大切な眠りの時間帯です。

 

睡眠サイクル

そして、そのゴールデンタイムための「入眠儀式」を取り入れることがとても有効なのです。
例えば、人間の身体は、一度深部温度を上げると、手足の末端からその熱を逃し始めると眠気を誘導することがわかっているので、お休み前に39~40度の湯船に15~20分使ってしっかり身体を温めることは大切です。

 

五感に訴えかけるハーブタイムを、睡眠儀式の一つに

最後に、メディカルハーブのお話をされた村上氏も、まさに「入眠」のタイミングが大事で、「身体を温めて刺激を少なくしてリラックスすること」がポイントだと仰っていました。そして、その観点でメディカルハーブの活用は入眠儀式にピッタリなのです。

メディカルハーブには「緊張緩和」「鎮静」「血行促進」「抗不安作用」などが期待できる薬理作用があります。それをハーブティや精油を使ったマッサージなどで取り入れることで嗅覚、味覚、皮膚感覚、視覚といった感覚器を通したセラピー効果が期待できます。

以下、入眠儀式の一部です。

【ハーブティ】ハーブティはカフェインレスで刺激が少なく、身体を芯から温めるのに適します。

-ジャーマンカモミール、ラベンダー、リンデン、オレンジフラワー、ベルベーヌなど
この辺りは私自身も日常使いしていて香りもよく飲みやすいハーブティだと思います。ベルベーヌは夕食後~お休み前までのイブニングティとして知られています。
これらに加えて、抗うつ作用のあるセントジョンズワートもリストに挙げられていまし
た。

【精油】芳香浴(アロマポットなど)やハーバルバス(数滴をバスタブに入れるなど)やマッサージ(キャリアオイルで希釈して)で使います。香りは情動や本能を司る大脳辺縁系に直接働きかけます。また、お休み前は、鼻に近いデコルテをマッサージすると布団の中で持続的に芳香作用が得られるというアドバイスもありました。

-ラベンダー、フランキンセンス、オレンジ、ネロリなど
フランキンセンスは呼吸を深くする鎮静作用の高い精油です。柑橘系は誰もが一度は嗅
いだことのある香りで、温かみがあり安心感にもつながるということで入眠儀式に取り
入れやすいのではないかというお話もありました。

いかがでしょうか。快眠へのヒントが見つかりましたか?
前篇の冒頭に触れたように、ポイントは副交感神経にスイッチを入れるということです。あれもこれもやろうとすると却ってプレッシャーになったり、入眠儀式に1時間なんてかけていられない!ということにもなりかねません。
無理のない範囲で、何よりもご自分が気持ちいいな~と心安らぐものから取り入れてみてはいかがでしょうか。みなさまの睡眠の質向上に少しでもお役に立つとうれしいです。

 


編集:COCOLOLO ライフ magazine 編集部

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